楽しきこともなき人生に、 いかがですか、ご馳走は。  堺雅人さんと、満腹ごはん。
第12回 後のこと考えてないね。
飯島 なすとカジキのしょうが焼きです。
え?
糸井 え?
飯島 『ほぼ日のレシピブック』
載せたレシピなんです。
糸井 なんだ、なんだ。
飯島 なすを焼いて、上からカジキマグロの
しょうが焼きをかけたんです。
よく、なすを油炒めして、
おかかと醤油でいただくじゃないですか。
そのおかかをカジキマグロにしてみました、みたいな。
糸井 おかかをカジキマグロに?!
これはなす料理なんですね。
飯島 そうですね。なすに、
カジキマグロのしょうが炒めをした汁を
吸わせて食べる料理です。
糸井 なす1対カジキ1なんですか。
飯島 どうでしょう。
糸井 なす2でいいですか。
飯島 2でもいいです。
糸井 いいですか。
いや、なすではさんでみたかったの。
カジキを。
じゃあカジキ半分にしてみよう(笑)。
糸井 なるほどね。
理屈は同じですよね。
理屈は同じです。
糸井 ‥‥これは旨い!
うん。でも、なすが主役ってすごいですね。
正にその通りで。
糸井 うめえ〜!
旨い、これ!
飯島 なすはちょっと塩をして、
ペーパーで挟んで水気をとると、
下味も付くし、あくも抜けるし、
油をそんなに吸わないんです。
下ごしらえの時点でそれをやるっていうことですか。
飯島 だから、なすにも味が付いてると思うんですね。
糸井 ああー。
飯島 なんかよく、こういうやつって、
なすに味がないのって嫌じゃないですか。
糸井 はい、だめですね。
旨い。カジキマグロのあっさりさが、
また、うーん。これ、皆さん。
── はい、のちほどいただきます。
糸井 よくできてる。
口にしてしまえば簡単なんだけど、よくできてる。
温かいっていうのがまたね。
ノリシロがありますよね。なす旨いです。
糸井 いいねぇ。堺くん、
大胆に食べてるねえ。
後のこと考えてないね。
そうでした、ぼく、それで、
京都でも死ぬような思いをしたんですよ。
糸井 危ないよ。
── 次を考えると、ぼくらも、
おにぎりに手をだすのは
やめておいたほうがいいですね。
(笑)。
── 置いといて。
糸井 そう。
── いけたら後で。
糸井 だって、おにぎりは死なないから。
── そうですね。
すごいね。皆さんが
展開を読み出してるっていうのが
すごいですね、なんかね。
糸井 展開を読むね。
だって、さっき予告されてる分もありますからね。
なすは予告外だったでしょう。
不意打ちですから。
これ、でもね、食べちゃうんですよね。
糸井 なすはだいたい食っちゃうね。
食っちゃう。なんでしょうね。
しかも熱いうちに食べたいって
思わせる何かがなすにはありますね。
糸井 イェイ。
── イェイ。
そういえば、その『南極料理人』で、
芦澤さんっていう女性のカメラマンが
撮ってくださったんですが、
現場の印象よりも、
さらにおいしそうだったんですよ。
糸井 へ〜え。
料理が、1つ1つが。きれいだなと思って。
なぜなんだろう。
糸井 ちょっと見せて。
(パンフレットを見る)
料理をスターとして撮るからかもしれないね。
ヌードみたいなもんですよね。
現場の視線でヌードがあっても、
「ああ、ヌードですか」なんだけど、
こういう人が撮ると、
「おお、ヌードですか!」みたいな(笑)。
あの南極の閉ざされた空間の中だけで、
こんな料理がどんどんと出て来るんだよ。
はぁ〜。
『南極料理人』のスタジオのセットの隣に、
もうやってないんだけど、
食堂があったんですよ、東宝の。
糸井 うんうん。
その厨房で、飯島さんと榑谷さんが
料理を作っていたんですね。
じゃんじゃか作って、じゃんじゃか運んで、
じゃんじゃか撮ってっていう。
糸井 何度も同じものを作るっていうのも
あるわけでしょう?
あります、あります。
糸井 大変だよね。
一番回転が速かったのはなんですか。
やっぱりラーメンですか。
榑谷 ラーメンはほんとうに
麺が足りなくなるぐらいつくりました。
びっくりしたよね。
榑谷 でも、おいしそうに映ってましたよ。
あれはおいしかったですよ。
糸井 映画を観た帰りに食いたくてさ。
でも、ああいうラーメン、ないんですよね。
俺、試写行って、
帰りに食いました、ラーメン。
糸井 やっぱり!
一同 (笑)。
糸井 どういうラーメン?
醤油ラーメン食べました。
どうしても我慢できなくて
電車を途中で降りて。
糸井 俺らは結局うどん屋に行っちゃった。
旨かったですね。
(なすとカジキを食べながら)
これ、本当にこういう料理店で、
お客さんだったら、ちょっと本当、
もうこれですね、ウハウハですね。
糸井 ウハウハだよ。最高だよ。
みんなはどう?
── うまいです。
糸井 うまいか。うん、そうか。
(笑)。


(つづきます)

2009-09-01-TUE


(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN