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糸井 |
そういえば、堺くんの
『アフタースクール』も観ましたよ。
あれもおもしろかったよね。 |
堺 |
ありがとうございます。 |
糸井 |
ああいう作りってさ、
ぼくね、『キサラギ』から──。 |
堺 |
『キサラギ』ね、そうですね。 |
糸井 |
『キサラギ』、『アフタースクール』、
要するに、縦軸、横軸を
完全に上手に埋めていってっていう、
そういう映画を作る人が
どんどん増えてってるような気がして。 |
堺 |
かもしれないですね。 |
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糸井 |
で、この間の『スラムドッグ$ミリオネア』。 |
堺 |
ぼく見てないんです。 |
糸井 |
あれも実は、
『キサラギ』型なんですよ。 |
堺 |
へ〜え! |
糸井 |
織物だとすれば、
縦糸はこう、横糸はこうっていうことを
すっごい知的なゲームとして
完全に俯瞰で作っていて、
気の毒なインドの現実みたいなことを言わせない
何かスカッとした部分があった。
「俺はこんなこと言えた義理じゃない」
っていう監督の遠慮があるんですよ。
そこは清潔感があるんですよね。
あれ、『キサラギ』だと思った。 |
堺 |
『キサラギ』の前にあったんですか。
『キサラギ』的な何かっていうのは。 |
糸井 |
あれでしょ、
『レザボア・ドッグス(Reservoir Dogs)』でしょ。 |
堺 |
ああ、そうか、そうか。 |
糸井 |
それからコーエン兄弟の
殺人間違えてやっちゃって、
死体を隠す話(『ファーゴ』)だとか、
結構コツコツと。 |
堺 |
あるんですね。 |
糸井 |
でも、おおむね『レザボア・ドッグス』で、
それのバリエーションで、
『パルプ・フィクション(Pulp Fiction)』。
でも『キサラギ』は、
もうくどいくらいよくできてたよね。 |
堺 |
そうですね。そうですね。 |
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糸井 |
うわーっなんて言ってね。 |
堺 |
『アフタースクール』撮った内田けんじさんは、
ぼくの1コ上なんですけど、
サンフランシスコの映画学校で勉強してるんですよ。
高校卒業して、向こうの大学行って。
で、西海岸ですから、
スノッブさがないんです。全然。
「好きな映画は、ジャッキー・チェンの
『プロジェクトX』だ」とか、
言ってるような人だったりするから。 |
糸井 |
なるほどね。
内田けんじさんって、あとなんでしたっけ? |
堺 |
『運命じゃない人』。
あれも、『キサラギ』的ですね。 |
糸井 |
要するに、神の場所に
ちゃんと立とうっていうことですよね。 |
堺 |
ああ、そうですね、
そうです、そうです。 |
糸井 |
アニメーションってそうだと思うんですよね。
アニメーションって、
脳の中のないものは何も映らないじゃないですか。
で、その意味では、
アニメーションの作り方っていうのと、
影響を受けあってるような気がするんですよ。
「ないものはないんだから、作れよ」っていうさ。 |
堺 |
空虚にちゃんと立ち向かってるところはありますね。 |
糸井 |
そうしたら、ここで矛盾が生じるっていうのを
ひっくり返してもいいし、そのまま通してもいいし。
そこの、その若い世代を感じたよね。 |
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堺 |
内田さんはすごいなと思いましたよ。
西海岸を照れずに西海岸してるっていうのかな。
で、それはやっぱり
アニメとは異なるかもしれないですね。 |
糸井 |
あぁー。もう1個、あれもそうだったな。
『アヒルと鴨のコインロッカー』。 |
堺 |
『アヒルと鴨』の監督と
今、やってるんですよ。
中村義洋監督。 |
糸井 |
『ゴールデンスランバー』ですね。
舞台も仙台で。 |
堺 |
そうです。原作が伊坂幸太郎さんで。 |
糸井 |
そうか、そうか。
それはきっとおもしろいだろうね。
‥‥おっと! |
榑谷 |
たまねぎのチヂミです。 |
飯島 |
新たまねぎを使ったので、
ちょっとしっとりして、外側がカリッと、です。
是非。酢醤油をちょこっとつけて。 |
堺 |
たまねぎだけのチヂミ? |
飯島 |
ちょっと貝柱とネギを入れています。 |
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糸井 |
へ〜え。(食べる)うめっ!!! |
飯島 |
本当ですか。やったー。 |
糸井 |
(口に運びながら)うーん! |
飯島 |
一見チーズに思える歯ごたえのものは貝柱です。 |
堺 |
なるほど!
いろんな味がする。 |
糸井 |
旨い。ああ、食べちゃうなぁ。
これは、今日の料理の中で
口に入れたときに、一番、味を探す料理ですね。
旨い。うまーい。 |
堺 |
これは深い。 |
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糸井 |
このモチモチしてるのは。 |
飯島 |
上新粉と、ちょっと小麦粉を
たまねぎに混ぜて、
それにホタテの水煮缶を
汁ごと入れて。
それに、ニンニクのすり下ろしたのと、
すりゴマと、ちょっと塩を入れています。 |
糸井 |
食べちゃうな、これ。
まずいな、これは。
まだ先があるぞ。 |
堺 |
ここは止めたほうがいいですか。 |
糸井 |
行ってください。あなたはお若いんだから。
ぼくは最後の調節が効かなくなるのが怖い! |
堺 |
(笑)。 |
糸井 |
あなたはお若いんですから。 |
堺 |
でも、やっぱりなすといい、たまねぎといい、
なんかこういうホクホクした野菜に
ぼくどうも飢えてますね。 |
糸井 |
そうだね。そうだね。 |
堺 |
どうもそういう生活なんでしょうね。
それがない生活をしてたんでしょうね。
(つづきます) |