楽しきこともなき人生に、 いかがですか、ご馳走は。  堺雅人さんと、満腹ごはん。
第14回 険しい顔になっちゃうね。
糸井 いやぁ、たまねぎのチヂミ。
爆発力では一番だ。
なんかこれ、さらわれた感じがする。
(笑)何気にそういう料理が残ってますね。
糸井 そうだね。持っていかないでください。
食べますから。
持っていかないでください。
糸井 太ったからってなんだって言うんだ!
‥‥あ、今ソースの匂いがしてきた。
(キッチンを凝視)
あ、今、何か、‥‥おかか?
削ってましたよ。削り節ですか。
飯島 どうぞ。
これは!
糸井 ソース焼きそば!
これは!!
糸井 ソース焼きそば!!
ぴか、つやっとしてる。
さっきのアサリの塩焼きそばより。
飯島 麺は一緒なんですが、
豚のバラを使っているので。
糸井 旨そう。
ショウガ、ショウガ。
それは何?
飯島 おかかです。
かけますか。
糸井 いや、途中からにします。
(食べる)
‥‥あ(笑)。
── 笑ってる。
‥‥これは!
飯島 ちょっと中濃ソースを入れすぎたかも。
甘くなっちゃった。
糸井 OK。
(もくもくと食べる)
飯島 大丈夫ですか。
糸井 この麺、ものすごくうまくいってますね。
飯島 これも、ラーメンの麺です。
糸井 そういうこと。
ふうー。
でも、まだ何か足されそうな
予感があるのがすごい。
糸井 これ、やっぱりね、今日のスターだね。
やっぱり、いましたね。
飯島 じゃあ、おかかも。
糸井 (かけて食べる)
うまーい。うまーい。
飯島 大丈夫ですか。
糸井 大丈夫です。
おいしいです。
── すごくおいしいです。
これ、完成品って言って
いいんじゃないですか。
飯島 まだなんですよ。
糸井 ある意味、寸止め感がたまらんですね、
このソースの。
これ、飯島さんさ、ただのゴマはどうですかね。
飯島 あ、いいですね。
ゴマかけてみましょうか。
糸井 うん。ちょっとぼくにトライさせてください。
まるでプロ野球の監督のところに
オーナーが来たみたいな言い方。
「ゴマはどうかね」。
(笑)。
糸井 うん、ゴマもいいぞ。
飯島 そしてこちら、唐揚げです。
『南極料理人』の唐揚げです。
おっと!
糸井 ていうことは、
ベチャベチャしてるんですか(笑)。
それが旨いんですよ。
飯島 はい。
映画ほどではないですけれど、
『LIFE』の唐揚げに比べて、
ちょっところもが柔らかいんです。
小麦粉が入ってるんです。
── いつもはパリッとしてますけど。
映画のなかの唐揚げは、
そのベチャベチャさが旨かったです。
飯島 中目黒の近くにあった洋食屋さんで、
ふわっと揚げた唐揚げに
デミグラスソースがかかってる定食があったんです。
その唐揚げを参考にしました。
糸井 これもいいね。ショウガが効いてますね。
飯島 はい、ショウガが効いて。
旨い。
糸井 これ、皮だけも食べたくなるな。
飯島 ああ、いいですね。
おいしいですね、鶏の皮って。
ぼく大好きです、鶏の皮。
糸井 うま〜い。うん。
俺、小学校2年生の時の運動会で、
鶏の唐揚げ食べすぎて
気持ち悪くなったことを
今、思い出しました。
一同 (笑)。
そうだ。大好物だったんだ、俺。鶏の唐揚げ。
糸井 どこかから忘れてたわけ?
忘れてましたね。
飯島 じゃあ、今日は思う存分食べてください。
って、そんなに食べないですよね。
糸井 そんなに、そんなには無理ですよ。
でも、うま〜い。
これもいいね。前のもよかったけどね。
── これもいいですね。
糸井 うん。どうしよう。
1回箸を置いてみよう。
どうしてくれよう。
うん。
(スタッフに)
おにぎり貰っていいですか?
── どうぞ、どうぞ。
飯島 今温かいの握りましょうか。
いや、それには及びません。
飯島 お茶漬けとかでもいいですよ?
いやいや、これで。
糸井 この、端っこのカリッとしたの、ね。
食べながらおにぎり、いいと思うんだ。
飯島 この唐揚げは、
ご飯と一緒に食べる時は、
もうちょっと塩をきかせるんですけど、
今はご飯と一緒じゃないんで、
ちょっと塩は控えめにしました。
糸井 『LIFE』と『南極料理人』では
主に何が違うんですか。
飯島 最初から衣に
小麦粉と醤油と塩など
全部混ぜちゃうんです。
糸井 衣に? へ〜え。
そうか、これが南極版か。
こういうことだけ考えたら
南極行ってもいいとか考えちゃうね、
間違ってね。
── (笑)。
糸井 大間違いですね。
この肉の隙間にさ、小麦粉だから、
入り込んじゃってて、
揚げられてる場所がおいしいんだよ、また。
ちょっと河豚の唐揚げみたいな。
── 「だま」になってるところ。
糸井 そうそうそう。
うん。
糸井 つい、おいしくて、
険しい顔になっちゃうね。
もう、もう。あっ。
名残惜しくなっちゃう。旨いな〜。


(つづきます)

2009-09-03-THU


(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN