糸井 | 塩味をもうちょっと、っていうとき、 飯島さんが梅を使うの、いいねぇ。 |
清水 | 梅は、叩いたものがあるんですか? |
飯島 | いえ、そのたびに叩いてます。 |
清水 | 一回一回叩くの?! |
飯島 | はい。 |
清水 | うわー、やらないなぁ‥‥。 |
糸井 | 叩けよ、そのくらい。 |
一同 | (笑) |
糸井 | 梅ぐらいさ。 |
清水 | 人のこと叩いてるんだから? |
糸井 | はははは。 梅ぐらいさ。 |
清水 | がんもどきだって、つくったことない。 揚げようっていう頭がないんだもん。 |
糸井 | がんもどき、うちで何回かやったんだけど、 揚げるだけで、手一杯になっちゃうんだ。 |
清水 | 揚げものって、ほんとしんどい。 |
糸井 | がんもどき、特にしんどい。 |
清水 | がんもどきって何が難しいの? 水分が多いから? |
糸井 | なんか、いっぱい入ってるじゃん。 あ、だってさ、落語で 「寝床」ってやつがあるでしょ。 |
清水 | その落語聴いたことない‥‥。 |
糸井 | あ、そうか。 じゃあ、聴いたことない人用に言うとさ。 |
清水 | 鼻につくよ、さっきから(笑)! |
一同 | (笑) |
糸井 | 「寝床」っていう落語がございまして。 |
清水 | うん。 |
糸井 | 旦那の義太夫を聞くのがいやで、 みんなが仮病を使ったりするんだけど、 豆腐屋のなんとかさんは来ないのかい? って言ったときに法事がでちゃって、 がんもどきをたくさん注文されちゃってるんで、 たいへんなんですよ、行けないんですよ、と。 |
清水 | うん。 |
糸井 | がんもどきというのは、 旦那ご存知ないかもしれませんが、 ああして、こうして、こうして ってたいそう手間がかかるもんで、 ってことを、ずーっとしゃべるんだよ。 がんもどきのつくり方を。 |
清水 | ふーん。 |
糸井 | おいおいわたしはがんもどきのつくり方を 訊いてるんじゃないんだよ、という。 |
清水 | ははははは。 |
糸井 | ものすごくいいところがあるのよ。 それ聞いてるだけでも がんもどきはたいへんだなぁ、と。 |
清水 | ふーん。 ああ、そうなんだ。 |
糸井 | 清水さんはあんなに落語関係の人と ばっかり付き合ってるのに! |
清水 | そう、高田さんとかね。(*) *放送作家の高田文夫さんのこと。 立川談志に師事し、真打昇進。 噺家として、立川藤志楼の名を持つ。 ニッポン放送のラジオ番組 『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』では 毎週木曜日の放送で 清水さんがサブパーソナリティをつとめている。 |
糸井 | ねぇ。 |
清水 | 一切聴いたことない。 昨日はじめて立川志の輔さんを ちゃんと聴いたって感じです。 |
糸井 | 高田さんは、落語を紹介するのに、 とてもやさしい人ですね。 口は悪いけどやさしくない人って山ほどいて。 高田さんはやさしいなぁ。 実際やってることがやさしいですね。 |
清水 | どういうこと、どういうこと、例えば。 |
糸井 | ヘタな子の扱い。 |
清水 | へぇー! |
糸井 | みんながみんな、 上手なはずないじゃないですか。 |
清水 | うん。 |
糸井 | 芸人さんなんて、全員が全員。 |
清水 | うんうん。 |
糸井 | それを、先輩ぶって、からかいながら、 見てるね、やさしく。 あの目の届きかたは。 |
清水 | ふーん! |
糸井 | 立派だね。 |
清水 | そうかー。 |
糸井 | ぼくはひそかに、そういうところを ものすごく尊敬してますね。 あなたがぞんざいに扱ってる高田文夫さん。 |
清水 | はははは。 |
糸井 | はははは。 おじさん殺しだよね、 けっこう清水さんね。 |
清水 | ああ、平気ですね。 |
糸井 | 三谷(幸喜)さんとかさ。 |
清水 | そうですね、ぞんざいですね(笑)。(*) *三谷さんと清水さんは J-WAVEで「DOCOMO MAKING SENSE」という番組を 2005年から続けている。 その会話のようすは幻冬舎から単行本になっています。 『むかつく二人』 『いらつく二人』 『かみつく二人』 |
糸井 | ぞんざい、すごく。 さすがに和田さんにはしないよね。 |
清水 | うんうん、しないしない。 |
糸井 | 伸坊には、きっとぞんざいでしょ。 |
清水 | そうですね、うんうん。 |
糸井 | おじさんを雑に扱ういい女。 |
清水 | ははは。 |
── | むかしムーンライダーズのライブで、 清水さんがゲスト司会をなさって。 |
清水 | うん、あったね。 |
── | あんときのいじり方、 すさまじかったですよね。 |
糸井 | ひどかった? |
清水 | ほんと? ひどかった?(笑) |
── | 矢野さんのマネをして、 ピアノを弾きながら、 「慶一くん、ついてらっしゃい」って すごくむずかしい和音を歌わせるんです。 どんどん高くしていって。 |
糸井 | わるっ(笑)。 |
一同 | (笑) |
清水 | はははは。 ほんと? そんなことしたっけ? |
── | ぼく、客席で観てました。 新宿にあった 日清パワーステーションで。 |
清水 | ナンシー関さんが来てたときね。 |
── | ナンシー関さん、来てたと思います。 |
糸井 | ひどいなぁ。 |
清水 | たしかに。 (つづきます) |