糸井 | 一回だけ、清水さんがそういうこと (舞台で相手をいじること)をしないで、 さっと出てきて、さっと帰ったのを見たよ。 みうらじゅんが、 全国の歌を歌うみたいなやつ(*)のゲスト。 *2009年3月の「勝手に観光協会」の 東京公演。 |
清水 | うーん! |
糸井 | 誰もおもしろそうじゃなかった。 |
清水 | はははは。 |
糸井 | みうらじゅんもおもしろそうじゃないの。 なぜかって言うと、 「かっこいいオレ」を見せたいから。 |
清水 | はははは。 かっこよかったね、そう言えばね。 |
糸井 | だから、どうしておまえは 普段ふざけたことしか言わないのに、 歌を歌うときだけ、 二枚目になりたがるんだって、 批判したの、オレ。 |
清水 | そしたら、なんて? |
糸井 | しょうがない、みたいなことを言ってた。 |
清水 | 歌というものは、 オレをどうしてもそうするって? ははは。 |
糸井 | みうらじゅんに直接言う前に、 山田五郎に会ったんですよ。 山田五郎っていう人を、 オレは見そこなってた。 もっと、ふざけた人かと思ったら、 なにあのギターの弾き方は! |
清水 | かっこいいじゃないか、と! |
糸井 | かっこいいというか、 かっこいいと思ってる普通のやつだ。 |
清水 | あはははは。 それダメだよ、記事にしちゃ(笑)。 |
糸井 | 書いていい! |
── | もう、なってます‥‥。(*) *それについてはすでに「ほぼ日」で みうらじゅんさんを相手に、 糸井重里がさんざんしゃべっております。 |
糸井 | ロン毛のイケメンみたいな気持ちで つるっぱげの親父が黒い服着て、 ブリティッシュにギター弾くんだよ! |
清水 | はははは。 |
糸井 | そしたら、あれはみうらさんが悪い、って。 言いだしたわけ。 そんなふざけられる雰囲気じゃないんですよ、 楽屋から、って言うわけ。 |
清水 | ふーん。 |
糸井 | みんながもう音楽家の顔をして集まってたと。 で、ぼくは、じゃあそれは それをやんなければ失礼だと思ってやった、 って言うんだけど、 オレはちょっとそれはどうなんだと。 |
清水 | はははは。 |
糸井 | そしたら、 そう取られちゃたのは、すいませんでした、 みたいなことを(笑)。 |
清水 | よし、そんならよし。 |
糸井 | 来てくださっただけでも、ありがたいのに、 そんなこと思わせてとか、 調子のいいこと言ってた。 |
清水 | はははは。 |
糸井 | どうして、吉田拓郎になっちゃうの? ギター持つと。 |
清水 | 吉田拓郎、好きだからね。 |
糸井 | お前は、誰だってことになるよね。 |
清水 | モノマネって言っちゃえばいいんだね、きっと。 |
糸井 | そうだね。 おおもとは、モノマネだよね。 だから、お笑いの人たちの ほんとは歌がうまい選手権みたいな番組とかも、 枠がお笑いの人たちのっていうふうになってるから、 そのことを笑えるんだけど、 みうらが一所懸命歌うと、笑えないもん。 |
清水 | はははは。 |
糸井 | 山田五郎も。 |
清水 | ちょっと、わかるわかる。 |
糸井 | で、清水ミチコがただ弾いて帰った。 |
清水 | 「勝手に観光協会」では、 わたし、一応ユーミンになったよ。 |
糸井 | そうだね。 仕事したね。 |
清水 | はははは。 |
糸井 | そうだ、そうだ。 ユーミンやったのは 清水さんだけだったっていうことなんだ。 オレはそれちょっと褒めたんだ。 清水ミチコだけだよ。 ただ、すっと帰ったなって言って(笑)。 |
清水 | ははははは。 わりとね。 人のイベントって、でも難しいね。 |
糸井 | ああ、そう。 |
清水 | うん。 |
糸井 | そうかそうか、そこの法律があるんだもんね。 |
清水 | いつもはやっぱり、 誰もがお客さんのこと第一に考えて、 おもしろおかしくしようと思うんだけど、 その前に、人のだから、 どこまで自分がその気持ち出していいの? みたいな、そういうさじ加減が みんな、難しいかも。 |
糸井 | うんうんうん。 それは清水さんが特別 それを考えるタイプなんじゃないの? |
清水 | そうかなぁ? |
糸井 | みんなさ、テレビに出てるときでも、 ギャラ分だけ出ないじゃない。 みんなギャラ以上に自分を出して、 暴れて帰ってこようみたいな人たちが、 マラソンランナーの集団みたいにいるじゃない。 |
清水 | うんうん。 |
糸井 | 清水ミチコは、 みんなが出ないときがもしあるんだったら、 わたしはやっても、いいんだけど‥‥ やるのはいやじゃないですよ、 もちろん来てるんだから、みたいな感じで。 |
清水 | そうですね。 うんうん。 |
糸井 | そういう人って あんまりいま、 テレビにいなくなっちゃったんで。 |
清水 | そうね。 ぎりぎりに。 |
糸井 | その割には出てるんで。 |
清水 | はははは。 |
糸井 | 人からは省エネと言われるかもしれないけど、 凡人としては非常にうれしいですね。 |
清水 | はははは。 |
糸井 | ああいう人だっているんだからさって。 |
清水 | そうだよ。 たのむよ、バランスって(笑)。 |
糸井 | だって、オレ、 もうテレビ出られなくなっちゃったもん。 |
清水 | あ、そう? |
糸井 | うん、やっぱり、もう無理になっちゃった。 普通に文化人の役で出ててもそれなりに、 入っていく場所を必死で捉えてないと、 もう入れないんだ。 いまテレビに出ているのは そこに入れる人たちですよ。 |
清水 | ふーん。 それはいいんだけど、 指でこうやって取るのはダメですよ! |
糸井 | ん? |
清水 | いま、指でなんか、 歯につまったものを取ったでしょ! |
一同 | (笑) |
糸井 | あ、そう? |
清水 | そんなあなたに言われたくないです!(笑) |
糸井 | ははははは。 (突然、スタッフのテーブルに向かって 口調を変えて) 「あ、よかったねぇ。 ずいぶん、出してもらったねぇ。 この子たち、 だいぶ大盛りをしてもらったよ。 あとで飯島さんには、 よくしておきますから」 |
清水 | はははは。 食べづらいでしょ。 |
一同 | はははは(‥‥また始まっちゃった)。 |
糸井 | 「今日はね、正座もしないで、 椅子に座らしてもらってねぇ‥‥ いや、うん、いいんだよ?」 |
清水 | 「まぁ、わたしたちの若いころはね、 立って食べたね(笑)。 ああうらやましいね」 (このあと、しばらくプレイが続きますが、 あまりに長いので割愛させていただきます) |
糸井 | 「ま、温かいものでも買いなさい。 それからね‥‥」 |
清水 | ‥‥長いよっ! |
── | 長いですよー。 出張とかの車中で このモードが入るとずっとですよ。 |
清水 | ちっちゃいころから、 そういう人だったの? えっ、そういう子だったの? |
糸井 | ‥‥。 |
清水 | 調子に乗っちゃうの? |
糸井 | ‥‥うん。 |
一同 | (爆笑) |
清水 | しょげるなよ。 |
糸井 | こういうのがたのしいのに‥‥。 |
(つづきます!) |