糸井 | 清水さんは、最近は声マネで 男を入れてるじゃないですか。 (忌野)清志郎くんとか。 |
清水 | うん、うん。 清志郎さん、 すごい褒めてくれましたよね、昔。 |
糸井 | ものすごくうまいもん。 清志郎くんは歌う声とか高く出してるから 女の人でも重なるはずなんですよね。 それは理屈ではわかるんだけど、 種類がちがうと思ってたら、 できてるのね。 たぶん、清志郎くんが ちっちゃいからだと思うんです、目方が。 大きい人の声じゃないじゃないですか。 |
清水 | あれ、ほんとに関係あるの? |
糸井 | あると思うよ。 だって、コントラバスの 大きさのバイオリンつくったらさ、 音、変わるじゃないですか。 |
清水 | うんうんうんうん。 そっかそっか。 |
糸井 | 高さは合わせられる。 あるいは、骨格のいかつい人は みんな声がよかったりさ、 するじゃないですか。 ちっちゃい人もあると思うよ。 |
清水 | だけど、共鳴させてるわけじゃないでしょ。 あ、させてるのかな。 |
糸井 | させてると思う。 たぶん、体重の軽い、ちっちゃい人のマネは、 清水さん、全部‥‥、 あ、米良もいけるじゃん、米良も。 |
清水 | 呼び捨てやめてください(笑)。 |
糸井 | 米良美一さんもできるじゃないですか。 |
清水 | うん、できるかもしんない。 |
糸井 | できますよね。 |
清水 | うん。 |
糸井 | (やってほしそうに) 「はりつめた弓」でしょ。 ‥‥「はりつめた弓」。 |
清水 | いまやるかっていったらね、 やらないわよ? |
一同 | (笑) |
糸井 | 要するに大きさでピックアップすれば、 全部いけるんじゃないの。 |
清水 | っていうか、わたしはほんとに、 好きにならないとダメなんですよ。 |
糸井 | そっか‥‥米良は‥‥ |
清水 | きみ、口に出したいだけだろう! |
糸井 | 亀田三兄弟とかは‥‥。 |
清水 | 無理です。 |
糸井 | フライ級だからできるんじゃないか。 |
清水 | 体重じゃないよ! 人を体重で判断したらいけないですよ。 これ、わたしの名言。 |
糸井 | はははは。 清志郎くんは前から ネタにこそ、してなかったけど、 じつは、やってたぐらいの感じですよね。 |
清水 | うん、部屋ではやってました。 LPかけながらね。学生時代。 |
糸井 | 男の人が清志郎くんのマネするけど、 やってても、似ないんですよ。 あの軽さっていうのとか、 歯切れみたいなものが。 清水さんがはじめて似てると思ったなぁ。 |
清水 | へぇー! そうですか。 永ちゃんになったりします? |
糸井 | やりますよ。 |
清水 | やっぱり(笑)。 |
糸井 | ただ、ダメですよ、 似てないんですよね。 見てる自信はあるんで、 似てないんだけど、 「ここができたらすごいんだよな」 っていうのはわかる。 永ちゃんのモノマネって いっぱいいるじゃないですか。 あんまり区別つかないんだけど、 ほんとにいいなっていうのはいますよね。 |
清水 | 一回、コンサートに行きました。 びっくりしました。 すごい、やっぱ、すごいですね。 参拝したような気持ちになった。 「これが日本の」って感じです。 |
糸井 | 参拝ですね。ほんとですね。 ずーっと三波春夫が大人気のままだったら、 ああいうふうになっていったんでしょうか。 |
清水 | ‥‥なんで? |
糸井 | ‥‥なんないですよね。 永ちゃんだけですよね。 |
清水 | うん。 |
糸井 | 仕組みとしてありうるんだけどな。 三波春夫だって、ほんとはよかったはずなのに。 お客さんが歳とっていっちゃうのかな。 永ちゃんは入れ替えしてますからね、 お客さんの。 永ちゃんは、いまは、 「最近は、二十歳代の人バンバン来てるから」 って言うの。 それ、同じことを20年ぐらい言ってる。 そのくらい信じて、 入れ替えていかないと。 清水さんは、モノマネって、 急にやるんですか。 |
清水 | テレビ見てて、 「この人になりたい」と思ったら、 似てなくても、もうリピートずっとして。 それで、おもしろいと思ったら ラジオでやって、 つぎ、テレビでやるんです。 |
糸井 | ラジオでお試しをするの? |
清水 | うん。 その前に家族に聞いてもらって。 |
糸井 | え、じゃあ、例えば、 三谷さんの番組でモノマネ入れる? |
清水 | 三谷さんのは、たまーにかな。 でも、新ネタおろすってことは ありえないです。 三谷さんのときはね、 普通の話のほうがおもしろいんですよね。 |
糸井 | じゃあ、高田さんのときも。 |
清水 | 高田さんのときも、普通の話かな。 「ミッチャン・インポッシブル」 ってニッポン放送の 自分の番組があるんですけれど、 そこでは、おろします。 |
糸井 | それは、いちど、 家庭でやってあるやつですね。 |
清水 | そうです、そうです。 |
糸井 | 家庭はオットとコドモですよね。 |
清水 | オットとコドモです。 |
糸井 | オットとコドモは、 大好きなんですか、モノマネは。 |
清水 | オットとコドモは、そんなに‥‥。 微動だにしないときもある。 「あれ?」って。 |
一同 | わははは。 |
清水 | いつものことだから、 盛り上がらないんです。 でも、いいお客さんなんですよ、 逆に言うと。 |
糸井 | 内容変えたら ウケたってこともあるんでしょ、きっと。 |
清水 | そうですね。 あと、あんまり好きだと、 自分の中でもうOKで。 その人に浸りきって、 そのままラジオにいったこともあります。 |
糸井 | いままでもちょっとそういう傾向あったんだけど、 『バッタもん』に関しては “おもしろくないところ”まで いっちゃったものありますよね。 |
清水 | メドレー? |
糸井 | メドレー!(*) *『バッタもん』収録の 「私の80年代メドレー」のこと。 松田聖子、薬師丸ひろ子、欧陽菲菲、 山下久美子、忌野清志郎、中森明菜を、 清水さんが歌う7分17秒の大作。 これもう‥‥(笑)、 微妙にマネはマネなんだから っていうのがおもしろかったはずなのに、 ほんものになっちゃった(笑)。 |
清水 | なったなった。 何人かなった。 |
糸井 | ぼくみたいな昔からの大向うの人は、 そこで笑うわけよ。 「おまえ、それはちがうだろう!」と。 |
清水 | 「まじめになってどうする!」 (つづきます) |