いろどり 稼ぐおばあちゃんたちの町。
2 悪い話題。いい話題。

山田 写真集に掲載される写真を
拝見したのですが、
おばあさんたちの笑顔、
ちょっと驚くくらいですね。

2 悪い話題。いい話題。
横石 いい表情でしょう?
ほんっとに、あの人ら、いい顔してるんです。
いまの時代、笑顔は大事ですよ。
糸井さんの「ほぼ日」も同じで、
あたたかさとか笑顔とかが感じられますね。
糸井 おばあちゃんたちは、きっと
「いろどり」と働いていて、ゆかいなんですよ。
だいたい「いろどり」のおばあちゃんたちは
杉良太郎さんについて言うように
横石さんのことを言う(笑)。
「あの人、今日は来るんちゃうかなあ」なんて
言われていて、とーっても人気者ですよ。
そこに「さあ、がんばりましょう」とか
横石さんはうまく言ってさ、
70過ぎた人はもう寝てろ、という時間でも
みんな、おおよろこびで働いてるもんなあ。
横石 「今夜は残業、明日は早起き」ちゅうてね。
糸井 めちゃくちゃなこと言ってるよ(笑)。
横石 これだけの、いい笑顔が見られる場所は
日本にはここしかないと思うんです。
作り笑顔は見たらわかるけど、
ここの人たちはちがう。
山田 「売る」行為自体は、
そもそもたのしいものなんですよね。
「買う」というたのしい行為の反対側にいるけど、
売る人もたのしい。
人に何かが伝わるのがたのしいんです。
横石 そうですね。みんな働きたいんですよ。
自分が働いて評価され、
社会とつながっていると感じることが
すごく大事なんです。

高齢者は、出番がないんですよ。
出番をしっかり与えてあげたら、
「こんなたのしいことはない」
というふうになるんです。

2 悪い話題。いい話題。
糸井 そうなんだよなあ。
立木 みなさん、ニコニコ
残業していますからね。
糸井 きっと、いまの時代の
労働観がまちがってるんでしょうね。
嫌なことだからお金をもらえる、
ということになってるでしょう。
横石 ですから、いい話題を
もっと出していくことが大事なんです。
「ほぼ日」も、いい話題を
どんどん出しておられるでしょう。
うちらでも、そう。
テレビつけたらもう、悲惨な事件だらけで
あんなことばっかり見てたらねえ。
糸井 希望がなくなっちゃいますね。
みんながいい話題を出さない理由のひとつは、
いい話題を出すと、
足をひっぱる人が出てくるからなんです。
「そんなこと言ってもこういうことがある。
 それをどう考えているんだ」
と言い出す。
もう、きりがないから
そういう人の言うことは聞かないフリして
やっていくしかないんですけどね。
横石 まったく、そうですね。
糸井 ぼくたちは、悪い話があるのは知っているんです。
だけど、それはよそでやってるからいいじゃん、
と思っちゃう。
横石 ネットで検索をかけて上位にあるものって、
ほとんどが悪いネタです。
人気があるから、ほとんどのメディアは
悪いものを載せるでしょう。
だからそこにまかせておけばいいと思います。
糸井 悪いネタは、
人気があるかもしれないけど、
人はついてこないんです。
いざ「この指とまれ」と言ったときには
誰も来ない。
横石 おっしゃるとおりですね。
ここの人らはね、
「世界中探したって
 こんなすばらしい仕事はないわ!」
って言うんですよ。
糸井 とにかくね、「いろどり」のおばあちゃんたちって、
ごくふつうにみんなが
おもしろいくらいにコンセプトを語るんです。
すっごいいいよ、おばあちゃんたちと話すと!

2 悪い話題。いい話題。
山田 へええ!
立木 たのしいですよ。
それに、みんなが寄り集まると
税金対策の話とかしてるみたいですよ。
横石 ものすごい情報交換してるね。
糸井 てことは山田さん、
ここで事務所出せるね。
山田 そりゃ、アリですね。
横石 そやけん、おじいちゃんが社長になって、
おばあちゃんは給料でお金をもらう方式にして
みんな法人にしています。
あとね、ゴミ見るとわかるんやけどね、
おばあちゃんたち、
栄養ドリンクをごっつい飲んでるんですよ。
山田 すごいな!

(つづきます!)
   
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2006-10-14-SAT

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