祝辞ですから、
おめでとうございますとはじめたいところなんですが、
まずは、伊丹十三賞を受賞していただき、
ありがとうございます。
今回で2回目となるのですが、
伊丹十三賞とは、いったいどういうものなのか、
今年も手探りの状態で選考していきました。
伊丹さんは類い希な人で、
伊丹さんのような人はなかなかいないと思います。
そのことが伊丹十三賞の肝心なところです。
その意味でいえば、
タモリさんのような人は後にも先にもいない。
これからさきにも現れないのではないかと思います。
そこが、伊丹十三賞に
もっともふさわしいのではないかということで
選ばせていただきました。
個人的なことを申し上げると、
私は、タモリさんがラジオの深夜放送で、
四ヵ国語マージャンを披露しつつ
世の中に出てきたときから
ずっとタモリさんを聞き、観てまいりました。
そのなかで、すごいなと思うのは、
タモリさんって、ずっとタモリさんなんです。
たしかに、初期のころと、
表現するものは変わっているけれども、
本質的なところは、
いい意味で、まったく変わっていない。
ずっと、タモリさんは
タモリさんのままであり続けている。
今回、受賞対象となりました、
『タモリ倶楽部』は、
深夜の、マニアックなおもしろみのある番組です。
もう一方の『笑っていいとも!』は
お昼の、多くの人におもしろさを伝える番組。
そのふたつで、タモリさんは、
まったく同じタモリさんとして、そこにいる。
それ以外の番組でもそうですが、
ずっとタモリさんはタモリさんのままでありながら、
違う種類の番組を成立させている。
そこがタモリさんのすごいところだと思います。
テレビというメディアは
出演する人を消費するような性質を持っています。
そこに登場するモノなどもどんどん消費して、
ついには、視聴者まで消費し尽くしてしまう、
そんな怖さのあるメディアだと思います。
そのなかにあってタモリさんは、
テレビに消費されることなく、
逆にテレビを消費するかのように
自在にテレビとともに存在し続けている。
たぶん、これからもそうした存在として、
テレビを消費しながら、
独自のエンターテインメントを
繰り広げていく人ではないか。
そこがタモリさんのすごいところだと思います。
また、いまだにぼくもファンのひとりです。
このたびはどうも、おめでとうございました。 |