こんどの「JAZZ」、どうする?

第5回 森田一義の「1」だから。

糸井 えー、キッチンのタモリさん、タモリさん。
タモリ はい。
糸井

ざっとこんなことですが、聞いてました?

タモリ ええ、ええ、聞いてました。
糸井

前回は、会場の700人だけが楽しめたという、
ぜいたくなイベントだったんですけど、
今回は、会場の規模も含めて
もうちょっと大勢の人に
遊びに来てもらえるようにしたいですよね。

タモリ そうですね。
糸井

あ、そういえば、たしかタモリさんは
レーベルを持ってるんですよ、ジャズの。

山下

え、そうなんですか?

糸井 それと絡み合わせていくって方法も
あるような気がするんで‥‥。
タモリさん、タモリさん、聞こえてますかー?
タモリ はい、はい、はい。
糸井

あの、タモリさん、
レーベルの持ち主なんですよね?

タモリ あ、あのね、ほんとに細々と。
糸井

‥‥ほら。

タモリ ジャズのレーベルをやってます。
「ONEレーベル」って名前で、
もういくつかCDもできあがってんですよ。
山下 どんなの作ってるんですか?
タモリ えー、ジャズトリオのやつとかです。
早稲田のジャズ研OBで作ったんですよ。
山下 はあ‥‥それはおもしろそう。
糸井 なんで「ONEレーベル」かっていうと‥‥。
タモリ そのジャズ研のメンバーで、
伊藤八十八っていうのがいるんですが。
山下 八十八さんね、
ソニーの名物プロデューサーですよね。
タモリ ええ、僕の同級生なんですけども。
山下 ああ、そうなんだ。
タモリ 名前、「八十八」って書きますんで、
そいつのレーベルが「Eighty-Eight's」なんです。
山下 はい、はい。
タモリ で、ぼくの後輩に五野洋っていうのがいて。
山下 五野さん、ええ
タモリ これが「55 Records」ってやってるんです。
山下 なるほど(笑)。
タモリ で、ぼくが「森田一義」で「一」だから
ま、「ONEレーベル」と。
山下 とんとんとん、ときたわけだ。
タモリ ほんのちょっとした
一枚のCDからスタートしたんですけど。
糸井 そんな、非常に草の根的なジャズ運動を‥‥。
タモリ ジャズ運動(笑)。
糸井 次の「はじめてのJAZZ」と
うまく絡み合わせてもおもしろいなと。
山下 そうですね。
糸井 ‥‥と言ってる間に、鶏肉の煮込みぐあいが
そろそろみたいですので、
この続きはまた、後日ということで。
タモリ ええ、こちら、ほぼ完成してます。
会場 おおー(拍手)。
< 続きます >

今日のジャズ語。

早稲田のジャズ研
早稲田大学モダンジャズ研究会のこと。
「ダンモ研」とも呼ばれる。
タモリさん、文中に出てきた
ソニーの伊藤八十八プロデューサーのほかにも、
日本ジャズ界のリーダー的存在である
ベーシストの鈴木良雄さんなどを輩出している。
当初、トランぺッターだったタモリさんが、
「マイルスのラッパは泣いているが
 おまえのラッパは笑っている」と言われ
バンドの「司会」になった、
というジャズ研時代のエピソードは特に有名。
ちなみに、「ダンモ(=モダン)」という
言いかたからもわかるように、
当時のミュージシャンの間では
「ピアノ」を「ヤノピ」、
「ラッパ」を「パツラ」などと
言葉を「逆さまに言う」習慣があった。
そこから、入部するやいなや命名されたのが
ごぞんじ「タモリ」という名前。
なお、前出の『教養講座・日本ジャズ界の変遷』に、
「ラッパ」などの場合には、
撥音「ッ」を正確に発音し「パツラ」となる、など
「逆さまにいう」習慣の原則について、
タモリ教授がひとしきり説明するくだりがある。

2007-09-29-SAT
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