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こんどの「はじめてのJAZZ 2」は
ジャズの「歴史」をテーマにするわけですけど‥‥。 |
高平 |
さっきも言ったけど、
アメリカに奴隷としてつれてこられた
アフリカの人たちの「ワークソング」から
ジャズの歴史は、始まるんだよね。 |
── |
はい。 |
高平 |
で、日本との関係でいうと、
大正時代のサンフランシスコから神戸港への船には
だいたいフルバンドが入っててさ。
ようするに、ダンス音楽をやってたんだ。
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── |
船のなかで踊ってたわけですね。 |
高平 |
当時、作曲家の服部良一さんとかが、
神戸に行っては、
バンドの人たちから曲の「譜面」をもらうわけ。
‥‥ヒット曲って「譜面」だったんだよ。
つまり、「レコード」じゃない。 |
── |
あ、録音機材がなかったから。 |
高平 |
そうそう、譜面が売れたら、ヒット曲になる。
「ティン パン アレー」って言葉、聞いたことある? |
── |
はい、細野晴臣さんや
松任谷正隆さんの音楽ユニット‥‥ではなくて? |
高平 |
もともと、楽譜の出版社が軒を連ねていた
地域の名前なんだよ、ニューヨークの。 |
── |
あ、そうなんですか! |
高平 |
ミュージシャンはみんな、そこに譜面を持ちこんだわけ。
で、お客はその譜面を買っては、自宅で弾いてたんだよね。
レコードになるのは、大正10年ぐらいじゃないかな。
だから、それ以前は「譜面」を売ってたわけだ。 |
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なるほど、そんなところからはじまって
1970年くらいまでに
いろんなジャズが、どんどん生まれてくるんですね。 |
高平 |
だから、ジャズが大衆化していくのって
最初が「ダンスミュージック」だったからなんだよ。
発祥の地とされてるニューオーリンズのジャズが
だんだん洗練されてきて、
フルオーケストラで、踊れるダンスが出てくる。
それがグレン・ミラーとか、ベニー・グッドマン。
日本でも、ものすごいヒットしたんだよね。
でも、そういうジャズを
コマーシャルの音楽だと嫌う黒人たちが
ちがうことをはじめた。
それが「ビバップ」で、
そこからモダン・ジャズの歴史がスタートするんだ。
‥‥ま、簡単にまとめちゃうとね。 |
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前時代へのアンチテーゼとして
新しい形態のものがうまれるという点では、
ジャズも例外ではないんですね。 |
高平 |
商業主義に乗ったジャズに対する
アンチテーゼだよね。
ビバップにしろ、モダン・ジャズにしろ、
フリージャズにしろ‥‥。 |
── |
じゃ、これから先、
また新しいかたちのジャズが生まれるんでしょうか? |
高平 |
うーん、どうだろうね。
全盛期のジャズのほうが
かっこいいと思ってるんじゃないかなぁ、みんな。 |
── |
ああ、そうでしょうか。 |
高平 |
ミュージシャンも、ウィントン・マルサリス以降、
もっと、あらわれてきてほしいんだけどね。 |
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ウィントン・マルサリス‥‥さん。 |
高平 |
マルサリスってひとは、
すごいとされているジャズメンたちから
ぽ――ーんと30年ぐらい離れて、
突然変異のようにして、出てきたんだよね。 |
── |
何がどのようにすごいんですか?
そのマルサリスさんて‥‥? |
高平 |
もちろんテクニックだよ、トランペットの。
マイルスの「電化」で「終わった」とされていた
モダン・ジャズの世界に、
すごいテクニシャンがあらわれた、という。 |
── |
なるほど‥‥。 |
高平 |
でも、モダン・ジャズ全盛期みたいに
年に何枚もレコード出してるわけじゃないし‥‥
マルサリスじゃ、マイルスの音、まだ出せないだろうな。 |
── |
タモリさんも、そうおっしゃってました。 |
高平 |
でも、日野さんだったら‥‥
日野皓正さんだったら
マイルスの音も出せるし、サッチモの音も出せる。
俺は、そう思うよ。 |
<続きます> |