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クリエイティブという現場の、
ずっと最前線にいらした
お二人なんですけど‥‥
プライベートも含めて、
「転機」というものはありましたか。
事件があって、どんどん変わっていく
ものなんでしょうか。
それとも、ずーっと繋がった中に
今がある、という感じでしょうか。 |
大貫 |
私はね、音楽の場合は、ほんとに、
まずアルバムを作れるかどうかということと、
コンサートをやっても
お客さんが来てくださらないとか、
そういうふうになると、
かなり仕事は縮小しちゃうんですよね、
現実的に。一応、仕事としている限りは。
そういう意味では、おかげさまで
継続できているんですが、
でも個人的には、
「もう辞めよう」と思ったことは
何度もあります。 |
── |
エッ! |
大貫 |
やっぱり、時代の変わり目とか。
‥‥時代の変わり目、音楽の変わり目、
みたいなのはありますよね。
システムが変わっていくとか‥‥
どうですか、大橋さんはそういうことは?
‥‥辞める、ということは無いですよね、
大橋さんの場合。 |
大橋 |
私は週刊誌の仕事から降りたときも、
やっぱり、その‥‥時代みたいなものが
違うな、なんていう気持ちもあって、
結局、降りて。
私はその週刊誌の専属でしたから、
辞めたら仕事が来ないと
覚悟をして辞めたんですけど、
たまたま仕事を頂いて、
そこからフリーランサーになったんです。
どうも、一つのスタイルみたいなものを
続けられないタイプなんですね。
いつも途中で、
「あ、もう、これは違うかな」
って辞めてしまうんですね。
で、たまたま、それが何回目かに、
「雑誌が作りたい」みたいなことに
なったんです。
イラストよりも今は雑誌のほうが
面白いということなんですけど。
‥‥やっぱり時代も変わりますでしょ、
もちろん。さっきおっしゃったみたいに。
その中で自分も生きているわけだから、
当然、変わってくるものなんですよね。 |
── |
ええ、ええ。 |
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大橋 |
だから、今はこれだけれど‥‥と言っても、
私、先のことは、年齢が年齢なので
何とも言えないんですけども(笑)
‥‥気持ち的には、また先に
別のことをやりたくなるかもしれない、
というのはありますね。 |
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その雑誌というのが「アルネ」なんですね。
そのきっかけを、
もうすこし詳しくお聞かせねがえますか。 |
大橋 |
あのね、すごく変な話なんですけども、
広告の仕事っていうのが
どんどん少なくなってきて、
要するに競合と言うんですか‥‥
プレゼンテーションがすごい数になって‥‥
いろんな人に声をかけるんですね。
で、プレゼンテーションの話は
あるんだけれども、
決まらないんですね(笑)。
そのうちに、そういうのに
出してもらうのも嫌になって、
「いや、もう、結構です」
ということになって、それで‥‥ |
大貫 |
分かります、ほんとうに。 |
大橋 |
そう。それで、もう、別にそれを
仕事としなくてもいいんじゃないか、と。
もっと何か、今、自由にできるという
気持ちが‥‥何て言うのかしら‥‥
自分も面白くて新鮮な気持ちになれるものは
何か、と思ったときに、たまたま、
それが、雑誌だったんです。
多分、昔「平凡パンチ」という週刊誌から
始めさせていただいたので、
そこに、もしかしたら、
戻ったのかもしれないですね。
‥‥それは分かりませんけれど。
今はいろいろな方にお会いできて、
すごく面白いです。 |
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うん、うん。 |
大貫 |
大橋さんの「アルネ」、
どの号も全部可愛いので、
読んでいただきたいのですけど。
今の時代、いろいろありますけど、
ひとりの視点というのか、その人が見る、
その視点から見える色んなことが
一つの形になっているということが、
面白い時代だと思うんですよ。
だけど、その人の視点というのも、
やっぱりある程度経験を重ねてこないと
一貫性がなかったり、
形にできないと思うんですよね。
そういう意味で、大橋さんがお作りになって、
今こそ、出されて成功なさっている。
いい時期だったなと思うんですよね。
これが、もっと‥‥例えば
5年前でも駄目だったと思うし、ね。
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