大橋歩さんと大貫妙子さんの対談より。

第3回 「もう辞めよう」と思ったとき。
── クリエイティブという現場の、
ずっと最前線にいらした
お二人なんですけど‥‥
プライベートも含めて、
「転機」というものはありましたか。
事件があって、どんどん変わっていく
ものなんでしょうか。
それとも、ずーっと繋がった中に
今がある、という感じでしょうか。
大貫 私はね、音楽の場合は、ほんとに、
まずアルバムを作れるかどうかということと、
コンサートをやっても
お客さんが来てくださらないとか、
そういうふうになると、
かなり仕事は縮小しちゃうんですよね、
現実的に。一応、仕事としている限りは。
そういう意味では、おかげさまで
継続できているんですが、
でも個人的には、
「もう辞めよう」と思ったことは
何度もあります。
── エッ!
大貫 やっぱり、時代の変わり目とか。
‥‥時代の変わり目、音楽の変わり目、
みたいなのはありますよね。
システムが変わっていくとか‥‥
どうですか、大橋さんはそういうことは?
‥‥辞める、ということは無いですよね、
大橋さんの場合。
大橋 私は週刊誌の仕事から降りたときも、
やっぱり、その‥‥時代みたいなものが
違うな、なんていう気持ちもあって、
結局、降りて。
私はその週刊誌の専属でしたから、
辞めたら仕事が来ないと
覚悟をして辞めたんですけど、
たまたま仕事を頂いて、
そこからフリーランサーになったんです。
どうも、一つのスタイルみたいなものを
続けられないタイプなんですね。
いつも途中で、
「あ、もう、これは違うかな」
って辞めてしまうんですね。
で、たまたま、それが何回目かに、
「雑誌が作りたい」みたいなことに
なったんです。
イラストよりも今は雑誌のほうが
面白いということなんですけど。
‥‥やっぱり時代も変わりますでしょ、
もちろん。さっきおっしゃったみたいに。
その中で自分も生きているわけだから、
当然、変わってくるものなんですよね。
── ええ、ええ。
大橋 だから、今はこれだけれど‥‥と言っても、
私、先のことは、年齢が年齢なので
何とも言えないんですけども(笑)
‥‥気持ち的には、また先に
別のことをやりたくなるかもしれない、
というのはありますね。
── その雑誌というのが「アルネ」なんですね。
そのきっかけを、
もうすこし詳しくお聞かせねがえますか。
大橋 あのね、すごく変な話なんですけども、
広告の仕事っていうのが
どんどん少なくなってきて、
要するに競合と言うんですか‥‥
プレゼンテーションがすごい数になって‥‥
いろんな人に声をかけるんですね。
で、プレゼンテーションの話は
あるんだけれども、
決まらないんですね(笑)。
そのうちに、そういうのに
出してもらうのも嫌になって、
「いや、もう、結構です」
ということになって、それで‥‥
大貫 分かります、ほんとうに。
大橋 そう。それで、もう、別にそれを
仕事としなくてもいいんじゃないか、と。
もっと何か、今、自由にできるという
気持ちが‥‥何て言うのかしら‥‥
自分も面白くて新鮮な気持ちになれるものは
何か、と思ったときに、たまたま、
それが、雑誌だったんです。
多分、昔「平凡パンチ」という週刊誌から
始めさせていただいたので、
そこに、もしかしたら、
戻ったのかもしれないですね。
‥‥それは分かりませんけれど。
今はいろいろな方にお会いできて、
すごく面白いです。
── うん、うん。
大貫 大橋さんの「アルネ」、
どの号も全部可愛いので、
読んでいただきたいのですけど。
今の時代、いろいろありますけど、
ひとりの視点というのか、その人が見る、
その視点から見える色んなことが
一つの形になっているということが、
面白い時代だと思うんですよ。
だけど、その人の視点というのも、
やっぱりある程度経験を重ねてこないと
一貫性がなかったり、
形にできないと思うんですよね。
そういう意味で、大橋さんがお作りになって、
今こそ、出されて成功なさっている。
いい時期だったなと思うんですよね。
これが、もっと‥‥例えば
5年前でも駄目だったと思うし、ね。


 
illustration by 大橋歩   


●「アルネ」はこんな雑誌です。

「アルネ」は大橋歩さんが
企画から編集、写真撮影、取材まで、
ひとりでつくっている雑誌です。
2003年の春と夏に出た、
第3号と第4号は、こんな内容でした

アルネ 3
特集:
「安西水丸さんに
 男のおしゃれの話を聞く」
2003年3月15日発行
税込525円
くわしくはこちらから。

アルネ 4
特集:
「高知の梅原真さんの
 正しい仕事」
2003年6月15日発売
税込525円
くわしくはこちらから。

おもとめは、全国の販売店
あるいは大橋さんのHPの
お申し込みページからどうぞ!
(このコラムでは、アルネのバックナンバーを
 順番に、ご紹介していきますね!)

大橋歩さんのHPはこちらです。


●「One Fine Day」はこんなアルバムです。

「One Fine Day」は大貫妙子さんの
3年ぶり、25枚目のアルバムです。

One Fine Day
2005.2.16発売
TOCT-25602
税込3,200円
1:船出
2:The Blank Paper
3:One Fine Day With You
4:Hiver<イヴェール>
5:Hello, Goodbye
6:Time To Go
7:De´ja` vu<デジャヴ
8:春の手紙 [2005 version]
9:Voyage<ヴォヤージュ>
10:A Kiss From The Sun

くわしくはこちらから。
おもとめは、全国のCDショップまたは
ネットショップなどでどうぞ!

大貫妙子さんのHPはこちらです。


●大貫さんが新ユニット
 「K'DO」を結成!
 この秋、Blue Note ツアーをしますよ!


写真は、左から、
森俊之さん(キーボード)、
沼澤尚さん(ドラム)、
大貫妙子さん(ボーカル)、
フェビアン・レザ・パネさん(ピアノ)、
沖山優司さん(ベース)。
この5人の音楽家があつまって
「K'DO」(カドォ)という
ユニットを結成しました。
この秋の、Blue Note、Motion Blueでの
セッションのためのスペシャルユニットです!
「K'DO」は「贈り物」を意味する
フランス語からヒントを得た造語だそうです。
さてこの5人で、どんな曲を‥‥?
フレンチからブラジリアンまで、
洗練されたポップスと、
インストゥルメンタルを予定しているそうですよ。
公演は‥‥
【モーション・ブルー・ヨコハマ】
  日時:9/14水,15木
  1st show: 6:30 pm 2nd show: 9:30 pm
  料金:¥ 5,775
  問い合わせ:045-226-1919
  http://www.motionblue.co.jp/
【名古屋ブルーノート】
  日時:9/27火, 28水
  1st show: 6:30 pm 2nd show: 9:30 pm
  料金:¥ 7,500
  問い合わせ:052-961-6311
  http://www.nagoya-bluenote.com/
【大阪ブルーノート】
  日時:10/ 4火, 5水
  1st show: 6:30 pm 2nd show: 9:30 pm
  料金:¥ 7,500
  問い合わせ:06-6342-7722
  http://osaka-bluenote.co.jp/


2005-07-19-TUE


トップへ