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雑誌作りが
紙からコンピュータになったように
音楽の世界も、いまやほとんどが
デジタル録音になっているんですよね。 |
大貫 |
今回のアルバム「One Fine Day」は、
デジタルではいまいちばん音がいいと
言われている、96Kの「Pro Tools」
(ハード・ディスク・レコーディング)で、
録っているんです。
でもいろいろ問題はあるんです。
たとえば、96Kのそれだけのものが、
CDになるときには
情報が半分になっちゃうんですよね。 |
── |
そんなに減っちゃうんですか! |
大貫 |
減っちゃいますね。だから、
情報が半分になることをある程度考えて
ミックスしなければいけないんですね。
アナログで、テープを回して録っているのが
私は好きだったんですけれども‥‥、
日本は、こういうふうに流れると
全部そういうふうになっちゃって、
アナログ・レコーディングに
必要な機械が無いスタジオがほとんどで、
あっても、メンテナンスされてないから、
使いたくても、使えないんですよね。 |
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── |
ほぉ‥‥ |
大貫 |
もう、それがねぇ‥‥だから、
合わせなきゃならないんですよね。
もぉっ!‥‥ムッとなりつつ、言う!
‥‥私としては。
たとえばアメリカだと、
両方を残しておくんですよね。
それでも、多くが、いまや、
ハードディスクレコーディングですけど、
だからといって、
極端に日本みたいに、
ドーッ、とすべてがデジタル化される、
というのはないんですよ。 |
── |
じゃ、大貫さんがほんとうに理想とする
レコーディングをしようとすると、
‥‥お金をかければ、できる? |
大貫 |
もちろん、もちろん。
でも、「理想のレコーディング」って、
べつに録音のことだけではないので。
つねに対応して理想の形を作る、
ということだと思うんですよね。 |
── |
うん、うん。なるほど。
沼澤尚さんにお聞きするところによると、
「大貫さんのレコーディングの現場って、
ものすごく楽しいんだよ!」って。 |
大貫 |
ほんとに、ものすごく楽しいですよ。 |
── |
どんなことになっているんですか。 |
大貫 |
今回の「One Fine Day」は
一発録りなんです。
全員がスタジオに集まって、
「せーの!」で録ったんですね。
今、そういうことができる広いスタジオは
日本に4つぐらいしかないんですけど。
今回、ツインドラムの曲もあるので、
ツインドラムでツインキーボードで
ギターが入って、
全員が集まってリハーサルをして、
アレンジの細かいところを決めて、
レコーディングしたんです。 |
── |
ほんとに広いスタジオが要るんですね。 |
大貫 |
それでもまだまだ広くないですけどね。
さらに、今回、弦も同時に録っているので、
オーケストラがスタジオの真ん中にいて、
その周りのブースに全部、楽器が入って、
全員の姿が見える。私も歌うし。
そんなレコーディングが
楽しくないわけないんですよ。 |
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(金曜日につづきます!) |