糸井 じゃあ、キギさんの紹介はこれくらいにして
具体的な話を、ちょっとしましょうか。

‥‥ここまで、だいぶ長かったけど(笑)。
植原 はい(笑)。
糸井 まず、ぼくら「ほぼ日」とキギさんの関わりの
いちばんはじめは
良重さんの「CACUMA」よりも先、
気仙沼の酒蔵「角星」の
日本酒のリニューアル‥‥なんですよね。


▲角星/低アルコール純米吟醸「NAMIとUMI」

渡邉 はい、「NAMI」と「UMI」という名前で
7月に発売されるんですよね。
糸井 そっちはそっちで
「ほぼ日」で経緯を連載すると思うんですけど
あれって、
高崎(卓馬:CMプランナー)さん経由ですか。
植原 はい、直に電話がかかってきました。
糸井 一緒にやってくれないか、と。
植原 ええ。
糸井 もともとは、
うちで「アンカーコーヒー」さんという
気仙沼のコーヒーショップとのコラボ商品を
つくったんですけど、
そのコーヒーのパッケージを見た角星さんが
連絡をくださったんです。
渡邉 そうでしたね。
糸井 高崎さんには、何をしてほしいと?
渡邊 日本酒のパッケージのデザインを。
植原 うん。
糸井 パッケージって、言ってました?
渡邊 ‥‥ちがいましたっけ?
糸井 いや、たぶん、何をやろうっていうのも
ぜんぜん決まってないところで、
みんな、引き受けてくれたと思うんです。
植原 あ、たしかに。
渡邊 そんな感じかも。
糸井 角星さんのほうも、
被災して、
何をしていいかわからなかったと思うんです。

で、アンカーコーヒーのパッケージを見て
「こういうこと、したいんだけど」
という相談を、うちの社員にしたんですよ。
植原 ええ、ええ。
糸井 で、うちはうちで、以前から付き合いのある
広告代理店勤務の、
「田中宏和運動」の田中宏和さんに相談して。
植原 じゃあ、そこから高崎さんに?
糸井 高崎さんも「いい迷惑」でさ、
僕とまだ1回しか会ったことなかったのに
「この人おもしろいな、いける!」
と思ったんで、やってもらえないかなって。
渡邉 あはは、いいですね(笑)。
植原 そこで、高崎さんから僕に直電が来た‥‥。
糸井 たぶん、その時点では
何をするかも、予算額も知らないんです、誰も。
植原 そうか、そうでした。
糸井 でも、はじまっちゃったんですよね。
もう、1年くらい経つのかな?
渡邊 気仙沼には、いつ行ったんだろう?
植原 暑い日でした。

たしか、直島へ行ってるときに
電話がかかってきたので‥‥
9月だったと思います。去年の9月初旬。
糸井 「被災地の日本酒を
 ボランティアでリニューアルする」
という仕事ですけど、
すぐに「やろう」って思えたんですか?
植原 ええ、もう、その高崎さんからの電話で
「よくわかんないけど、
 やります」って、その場で。
渡邊 まず、高崎さんに誘ってもらったということと、
もともとが「ほぼ日」さんっていうので、
「もうやります!」って、お返事しました(笑)。
糸井 ああ、うれしいですね。
それで‥‥みんなで気仙沼に行ったんだ。
植原 はい。気仙沼で、美味しいごはん食べながら
打ち合わせをしました。
糸井 何、食べました?
渡邊 お魚の‥‥。
植原 福よし?
糸井 VIPコースだ(笑)。
渡邊 お魚、もう、本当に美味しくって。
糸井 仕事的には、どう分業したんですか?
植原 まず、高崎さんと宏和さんで
売りかたのイメージや
マーケット調査的なことをしてくれて。
渡邊 海外にも売りたいねとか、いろいろ話して。
植原 いろいろアイディアを出していくうちに
何となく
「顔がいいなあ」と思ったんです。

ビンを、酒屋の店先にポンと置いたとき
「何かを語ってる」というか、
「なんか、こっちを向いて笑ってる」みたいな、
そんなお酒だといいなあって。
糸井 なるほど。
植原 高崎さんが「NAMI」と「UMI」という
ネーミング案を考えて、
パッケージに
「ナミとウミという女の子の恋の物語」
を、書いてくれたんです。
糸井 うん。
植原 で、こちらサイドの担当で言いますと
僕がロゴを作って、
良重さんがイラストを描いて、
それを合わせながら、デザインしました。
糸井 ああ、おもしろいね、そういうの。

デザインするときに
「お互いに、合わせながら」というやり方って
あんまり、聞いたことないし。
渡邊 わたしたち、よく合わせるよね。
植原 合わせますね。
糸井 それは、ドラフト時代から?
植原 そうですね。

とあるポスターをつくったときなんかは
キャッチボールみたいにして。
どっちかが、途中までデザインをして
手詰まり感が出てきたら
「ねえ、ちょっとやってみる?」って。
糸井 つまり、
ドラフト時代から「キギ」だったんだ。

‥‥おもしろいなあ。
<つづきます>

2013-06-26-WED