志の輔 |
何かを併用するといえば、
大工さんって「尺」使いますよね。
設計士さんなんかだと、
センチメートルなのかもしれないですけど、
大工さんになると、
やっぱり、体から出てきてる
長さの単位って、わかりやすいんでしょうかね? |
近松 |
人間起源なんですよね。尺貫法っていうのは。 |
志の輔 |
感覚的にわかりやすくって
便利だから
やめられないんじゃないかって思うんですよ。
「センチメートル」って単位って、
感覚的じゃないですよね? |
糸井 |
そうですね。
尺貫法のほうは、単位というよりは、
自然にわかる感覚ですかね。 |
|
志の輔 |
ええ。
でも、メートル、センチの話を
拒絶してるんじゃないんですよ。
そういうことではなくて、
「それが、便利だから」という話ですよね。 |
糸井 |
健康ですよね、でもその考え方はね。 |
近松 |
日本だけなんですよ。
法律でメートル法1本にしましょう、
と言ってるの。 |
糸井 |
そうだ。
だって、実際フィートだ、インチだって、
温度だってやってますもん。
アメリカだって。 |
近松 |
ええ。 |
糸井 |
釣りをやると、
フィートとかインチとか覚えさせられるんです。
何フィートの竿だとか。
めんどくさいですよ。だから、オンス、インチ。
尺貫法知らない癖して、そんなのばっかり。
俺って、なんかちょっと嫌なヤツ。(笑)
何フィートのヨット、とか言うじゃない。 |
志の輔 |
ゴルフもおもしろいでしょ。
グリーンに乗るまでは、みんなヤードで言うんですよ。
あと何ヤードだ、何ヤードだって。
で、グリーンに乗った途端に、
「50メートルぐらいのカップがさ」って、
メートルって言うんですよ。
遠いところだと
なんだかごまかされちゃうんですけどね。
近くになると、
ヤードだとよくわからないんです。(笑)
見えるところまできちゃって、
距離が短くなると、
自分のわかる長さの単位になっちゃうんですよ。
「5メートル、
この5メートルが難しいんだよね」っていう。
これ、自分たちだけじゃないですよ。
テレビの解説の人もそうですよ。 |
糸井 |
だからありとあらゆる文化っていうのは、
方言ですね。
アメリカ人の方言、イギリス人の方言、
日本人の方言みたいなのに。
メロディーだってそうじゃないですか。
たとえば、ギター買ってすぐに、
古賀メロディーの真似とかって、
みんなできるんですよね。
ブルースギター弾けって言ったって、
そうはいかないんですよ。
それとか、パン、パン(手を打つ)、
これできますね、みんな。
だけど、シンコペーションでリズム刻めって言ったら、
あれはアフリカの人が得意だろうね。
男性ンチャ、ンチャ、ンチャ、みたいな。 |
近松 |
それは、方言……ですよね。 |
志の輔 |
また沖縄の話に戻りますが、
その沖縄でやったとき、
竹富島でもやったんですよ。
あの時も面白かったな。
竹富は、人口が300人しかいなくて、
そのうちの150人がそこに集まったんです。
行くところは、公民館1つしかないから、
意外と早かったです。(笑)
みんな集まっちゃうの。
もう、島ごとに、集まり方っていろいろ。
めちゃめちゃなんですよ。 |
糸井 |
つまり、そういうことも方言だ、
ということですね。
だから、いろんなことに
方言となまりの発想を
盛り込んだほうがいいですね。 |
志の輔 |
太陰太陽暦も、
方言として、とっときゃよかったのにね。
とっときゃっていうか、本当はそっちを大きく書いて、
横に太陽暦を書いといてくれりゃ
よかったんですけどね。貿易の時だけ使うとか。 |
近松 |
その使い分けは、日本人の智恵なれば、
できるはずじゃないかと。
併用というのもできると思うんです。 |
糸井 |
太陰太陽暦に関しては、
なんかできそうか気がしますね。
なんかね。 |
志の輔 |
地球を一つにするのに便利だから、
暦も、時間も一つにしましょうって
どこに便利なんですかね?
みんな同一にしておくことって‥‥。
昔に暦がなくて暮らしていけたように、
生きていけたように、
無くてもいいんじゃないかってくらいだから、
そんな、統一の必要もないんじゃないかな? |
近松 |
ただ、今現在で、
現代的な快適な生活をするのは、
一つの基準があるといい、
という風になっちゃうんです。
地球を1つの共同体と考えてる場合だったら、
共同、共通の基準が必要なわけなんですけど、
それぞれの個体、個体で考えていけば、
その必要はないですね。 |
志の輔 |
で、エスペラント語まで行っちゃうと、失敗するけど、
時間やカレンダーぐらいだと
統一規格が採用できたんですかね。 |
近松 |
そうですね。時の采配までですかね。
統一規格ができたのは。 |