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サイトでは、発表して2時間で
売り切れてしまうこともあるということでしたが、
実際、月に何枚くらいのシャツを
作られているのでしょうか? |
森蔭 |
それはオーダーシャツ以外で、ですか。 |
── |
そうですね、あらかじめデザインがあって
サイズを選んで購入する既製品のほうで。 |
森蔭 |
うーん、どのくらいでしょう‥‥
その月によってもちがいますけど、
4〜500枚は作っていると思います。 |
── |
なるほど、4〜500枚。 |
森蔭 |
ほんと、効率わるいんですよ(笑)。
もう、合理性のかけらもないような
じゃまくさいことをずっとやり続けているんで。
ひとつのシャツを作るのに、
1枚裁断するのも1000枚裁断するのも、
手間は同じようなものなんです。
型紙と仕様書は、いずれにしても必要ですからね。 |
── |
仕様書というのは? |
森蔭 |
設計図みたいなものです。
ここはこういうふうに縫って、
ここのステッチは何ミリで、
ここは生地を切り替えて、とか‥‥。
建築でいう図面のようなものですね。
これがあれば、量産はできてしまうんです。
でも、オーダーシャツの場合は、
それから作るシャツは1枚ですし、
既製品でも数十枚‥‥効率がわるい(笑)。
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── |
ふつうは、型紙と仕様書ができて
「売れそう」となると‥‥ |
森蔭 |
「行け!」ってなるんでしょうね。
そういうお店はすくなくないです。
ただ、ぼくがみている限りでは、
その「行けー!」というのは
それほどは続かないような気がするんですよ。
瞬発力はあっても、維持するのに苦労して、
いずれはどこかの大手に吸収されたりとか‥‥。
よくある話なんです、アパレルでは。 |
── |
そうですか。 |
森蔭 |
まあ、「行けそうなときには、行く」
という気持ちも、わからなくはないんですよ。
そういうやりかたも、もちろんあると思います。 |
── |
でも森蔭さんは、行かない。 |
森蔭 |
行かないですねえ。
なんていうんでしょ‥‥
まず、「決めたことを決めたとおりにやる」
というのがぼくのなかにはすごくあるんです。
決めた数の倍売れちゃったというのは
あんまりいいことではない、という。
逆に半分でもダメだし。
100と決めたら100に近づくようにするんです。
超えても102とか103とか(笑)。 |
── |
ぴったりがいいんですね。 |
森蔭 |
ぼくはゴルフしませんけど、
きっちり寄せてきっちり入れるみたいな? |
── |
(笑)。 |
森蔭 |
まあ、それでも最初のころににくらべると、
だいぶ、数は増えてるんですよ。 |
── |
作るシャツの枚数は増えているんですね。 |
森蔭 |
ええ、すこしずつですが。
最初はほんとに、
ぼくがぜんぶ縫ったりしてましたから。
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── |
それが、現在は工場で? |
森蔭 |
はい、工場で。
とくべつな作業とかリペアなんかは、
本店のアトリエでやったりもしますけど、
基本的には工場にお願いしています。
型紙と仕様書を渡して電話をかければ、
ちゃんと伝わるので。 |
── |
信頼できる工場ができたわけですね。 |
森蔭 |
はい、そうです。 |
── |
作る数をすこしずつ増やせたのは、
「サイトでの通販」も大きいのでしょうか。 |
森蔭 |
それもあると思います。
直接お会いするわけではないですが、
「売って終わり」にはならないんです。
コミュニケーションはメールでできますし。 |
── |
声が届くんですね。 |
森蔭 |
はい。 |
── |
その意味では、
お客さんの顔がみえている、と。 |
森蔭 |
そうですね、つながっていられます。
おみやげとか、いただいたりするんですよ。 |
── |
おみやげ? |
森蔭 |
いろんなものを送ってくださるんです。
「梨とれました」みたいな(笑)。 |
── |
そうですか(笑)。 |
森蔭 |
なんか、もう、恐縮で。
「いつもお世話になってます」って、
それ逆ですやん、みたいな(笑)。 |
── |
すてきな関係ですねえ。
信頼できる工場があって、
そんなふうにサイトでもお客さんと
つながることができるわけですから、
つい、もっと作ろうと思いそうですが‥‥。 |
森蔭 |
そこを、がまんしてます(笑)。
お買い求めいただけないのは
ほんとに申し訳ないのですが、
急激に増やすのは、やっぱり無理なんで‥‥。
徐々に。 |
── |
徐々に。
見渡せる範囲で。 |
森蔭 |
そうですね。
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(明々後日、木曜日に続きます) |