2024年1月の能登半島地震のあと、
石川県の事業で、コミュニティの再建の
手助けをしようと動いているチームがあります。
月100回以上のコミュニティ再建支援をおこない、
地域の方々が「外に出るきっかけ」や
「交流するきっかけ」を増やそうとされています。
復興のなかでこんな動きがあること、
いろんな方になんとなくでも知ってほしくて、
みなさんのお話を紹介させていただけたら。
担当は「ほぼ日GO!」の田中です。

※このインタビューは2026年3月に
おこなったものです。


能登、赤城、尾瀬、西興部など、
あちこちの方と一緒におもしろいことを探る
ほぼ日✕地域のプロジェクト。
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2. 月100回以上のイベントを。

──
では、石川県のほうで、
「地域コミュニティの再建事業」をやろうと決め、
災害中間支援組織のJVOADさんに委託し、
実行部隊の日本エージェンシーさんに入ってもらって、
さまざまなイベントをやりはじめた。
嘉門
はい。で、ある程度軌道に乗りはじめたら
メニューを冊子にしたものを各市町の担当者に配って、
どんどん申し込んでもらえるようにしました。
受注できるように、事務局もつくりまして。
──
ああ、そういう部分も重要ですもんね。
嘉門
各自治体の方々から
「この場所で、この日にお願いします」と依頼を受けたら、
松本さんチームが派遣する。
そのあたりの段取りも、相当がんばってやりました。
実際、松本さんたちのスピード感もすごかったんです。
たとえば能登町の役場の方から
「料理教室をやりたい」と声があったと伝えたら、
1週間後には
「コンニャクつくれます」「中華まんつくれます」
とかのメニューにしてくださって。
そこで「料理教室やりたい!」
という注文が、30件集まったり。

──
すごい。
松本
求めてくれることがもう嬉しいことなので、
なるべくどんどん実現できたらいいなと
動いてきた感じです。
嘉門
メニューが10個、20個と増えていくにつれ、
みなさん「これは使える!」と思ってくれたらしく、
注文もどんどん増えていったんです。
たとえばある仮設住宅で
「木曜日は集まって、みんなでお茶会」
という定例行事があるとき、
そこに落語家さんが来れば、固定メンバー以外の方が
来るきっかけにもなる。
そういうかたちで使っていただいたりして。
──
回数としては‥‥月100回?
嘉門
そうですね。
令和6年は半年で749回、
令和7年度は9か月で1200回とか。
だから、月100回以上はやってます。
発注側が「やりたい!」と思うことがきっかけなので、
季節ごとに数は変わるんですけど。
生活が少しずつ戻ってくるにつれ、
現地の方々も元気になってこられて、
同時多発的にもおこなわれるようになって。
中﨑
イベントの季節というのがあって、
10、11月の週末は大変な数だったんです。
10月頭は敬老会シーズンで、すごかったときは
1日に16件ちかくの予約が入ったり。
──
つまり、その全部に対応を。
嘉門
だからもう「よくぞやり切っていただいた」って感じですよ。
やるうちに、みなさんからの希望も増えてくるんです。
それって「やりたい!」という気持ちが、
すごく一歩を踏み出されてるじゃないですか。
それは応援したいですから。
とにかく「コミュニティを育てる」という趣旨と
合っていれば、できるだけ積極的に
やっていこうという意識でやってます。
──
地域としては、特に被害の大きかった
奥能登とかですか?
嘉門
いえ、被災者の方は県南にもいらっしゃるので、
幅広く提供できる体制にしてますね。
震災の被害は奥能登だけでなく
いたるところにありまして、
それぞれ仮設住宅があるんです。
だけど、話題になりにくい場所は
支援の手があまり行ってないのもあって。
支援団体の行く先が偏りがちなところを均す役割も、
この事業で果たせたらと思ってますね。
やすな(ほぼ日)
わたしが聞いてびっくりしたのが、
みなさん、本当に丁寧に、できるだけ多くの方を
すくい上げるように動かれていて。
Google Mapでも見つけられないような
本当にちいさな集会所とかでも、
イベントをされてたりするんです。
参加者が8人とかの落語家さんの会があったりもする。
だけど「1人1人のみなさんを笑顔にする」って、
単に大きい場所でやればいいわけでもないですから。
車に乗るのが難しい方もいらっしゃるから、
ちいさい場所でもやっていく必要があるんですよね。

嘉門
全部できているとは思わないですけど、
なるべく網羅しようとは思ってますね。
能登半島地震、被害が大きすぎて、
あちこちに仮設住宅があるんですが、
幅広いエリアで開催しています。
もちろんそれも、行ってくださる方々が
いてこそなんですけど。
何十回と繰り返し訪れてくださる方もいて、
本当にありがたいなと思うんです。
──
人気のイベントは、どういったものですか?
松本
初年度の人気は観賞系でした。
タレントの方、マジックショーとか、見て心の癒し。
それでまず家から出て笑顔になって、という。
でも2年目になると「自分たちで作業をしたい」とかで、
ワークショップ系が増えてきたんです。
レザークラフトとか、瓶の中にお花を入れて
飾り付けをするハーバリウムとか。
なにかしながらおしゃべりするものとか。
だからこちらも、そういった参加型のものも
軸として用意していくようになりました。

──
たしかに実際に手を動かしたいって、ありますね。
嘉門
あとは今回、被害の規模が大きすぎて、
本当にいろんな被災者の方がいらっしゃるので、
多様なメニューを用意することも
すごく大事だと思ってて。
たとえば男性ってそういう場になかなか
出てきてくれないんです。
自分自身に明確な役割や目的がないと
集まりにくいような感じがありますね。
だからトンカチ系の大工仕事とか、
重いものを持つプログラム、将棋、麻雀とかを用意して、
お誘いしています。
まだまだやり切れてるとは思いませんけど。

松本
実際「みんなで共同作業をしよう」みたいなときって
男性の力が必要な場合もありますから。
男性が参加されると、ほかのみなさんが
喜ぶところもあるんです。
あとはゲームをやりたい男性もいますし、
さまざまな方向からのプログラムを用意して
より対応していけたらと思っていますね。
──
このイベントはうまくいかなかったな、
みたいなこともありましたか?
嘉門
アンケートはけっこうまめにとって参考にしてますけど、
基本的にはどれも喜ばれている気はしますね。
ただ、メニューとして作ったけど
発注が来ないものもあって、
そういうのは自然と減っていくんです。
たとえば「スマホ教室」とかも作りましたけど、
そこはキャリアさんが自分たちでやってるから
発注が少なくて、ここで用意しなくていいかなとか。
やりながらわかることも多いです。
──
子ども向けのメニューなどもありますか。
中﨑
夏祭り用の「縁日キット」とかはそうですね。
イベントは基本的には高齢の方が多いんですけど、
縁日はお子さんの参加率が非常に高くて
「子どもが喜ぶわ」とかよく言っていただきますね。
射的もあれば、あてくじもあれば、
スーパーボールすくいもあれば、
ヨーヨーすくいもあるというキットをお渡しして、
みなさんに活用してもらうんですけど。
ぼく自身よく持って行くんですけど、
みなさんとても喜ばれて、回収に行くと
「すごくよかった、ありがとう」と
お伝えくださることが多いです。
神元
あとは「耕すベンチ」。
農作業で役立つようなベンチづくりを
高校生たちとやったりもしましたね。
──
耕すベンチ。
嘉門
東京大学でも教えていらっしゃる(2026年3月退任)
建築家の千葉学さんが、
畑仕事などの土いじりに役立つ日よけつきベンチを
つくるワークショップをしてくださったんです。
ベンチづくりって意外と大変で、
「風で飛ばない」「自立する」「基礎がいらない」
「持ち運べる」とか、けっこうポイントがあるんですね。
だからプロフェッショナルの力が必要で。
しかもこれ、震災後の公費解体で出た
住宅の柱や梁、建具を再利用してるんですけど、
能登の住宅の建材って、めちゃくちゃ立派なんですよ。
だからもうビシッと、
すごくかっこいいベンチができました。

──
おおー、気になります。
嘉門
実を言うと千葉先生は、
ぼくの大学時代の恩師なんです(笑)。
震災のあとですぐ連絡をくださって
「何でもするよ」って言ってくれたので、
「みなさんが土いじりしたいと言ってまして」
と伝えたら、
「それはベンチとかいるよね」と、
古材を活用した、みんなで簡単につくれる
組み立て式のベンチを考えてくださったんです。
だから恩師にいっぱい動いてもらって。
そういうのも経て、このベンチはできてます。

(つづきます)

2026-07-09-THU

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