
- ──
- されてきたイベントのなかで、
特に大きい規模のものって、なにがありますか?
- 松本
- そうですね、モルック大会とか。
- ──
- モルック? スポーツの?
- 松本
- はい。石川県モルック協会のみなさんの力を借りて
つくったメニューなんですけど。 - 「誰でも参加しやすい、どこでもできる
スポーツって何があるかな?」で探して、
「モルック体験会」というメニューを入れたら、
たまたま広く刺さったという(笑)。
- ──
- すごい、モルックが刺さるとは(笑)。
- 嘉門
- あちこちにチームができて、
先日も金沢の近くの会場で大会をやったら、
21チームが集結したんです。 - 合わせて、能登の先端とかから移動のバスを出したら、
みなさん遠足みたいに来てくれて、
バスのなかからキャッキャとすごく盛り上がって。 - 完全に初心者のチームもあれば、
良い結果を残すために
毎週練習されていたところもあったし。
車いすの方も投げてましたし。
その勝手に回っていった感じの、ありがたいこと。
- 松本
- ほとんどの方はもともとモルックを知らないから、
最初は協会の人に説明していただくんです。 - そのとき「みなさんで練習してみてください」って
道具を1セット置いていくんですね。
実はそれがポイントで、やれる状態があると、
集まる理由になるようなんですね。 - そこから大会のお知らせすると
「道具もあるし練習しようよ」と、
さらに集まるためのきっかけになる。
すごくいい循環ができたんです。
- 神元
- みんなで菜園をつくるプログラムの走りで、
穴水町川島の「いこいのば」も、
やってよかったなと思うプロジェクトですね。 - 参加者は毎回10人とかでしたけど、
回数が多かったので、いろんな方が関わって
大きくなっていった印象がありますね。
何度も時間をかけて集まりながら、
じっくりつくっていったのがよかったなと。 - 最終的に菜園がちゃんと地元の方のものに
なった感じがして嬉しかったです。
- ──
- イベントをしたあと、みなさんのほうで
勝手に新しい動きが起きて‥‥
みたいなこともあるんですか?
- 嘉門
- そういうのは本当にあちこちのメニューで
起きてると思いますね。 - 菜園づくりなんか、とくにそうで。
気づくとみなさんが自主的に
「収穫した野菜で月1回食事会やろう」とはじめてたり、
カラス対策を話し合ってたり。
夏場の夕暮れにみんなで水をまいてたり。
- 神元
- ずっと菜園づくりをかまってくれる
スーパースターが出てきたり、
草刈りをずっとやってくれる
寡黙なおじいちゃんが現れたり。
そういうのも、見てて嬉しいんですよね。
- 松本
- あとは「ふるさとバス」も、すごく
やれてよかったと思うプログラムですね。
- ──
- ふるさとバス。
- 嘉門
- 「広域避難者」と呼んでるんですけど、
もともと能登にいた方々で、
金沢や小松の賃貸住宅に住んでいる方々がいるんです。 - そういう方はやっぱり
「地元に帰りたい。いまどうなってるか知りたい」
という思いがおありなので、
お住まいの場所から地元までのバスを出したりしました。
- 松本
- やっぱりみなさんいろんな思いがあって、
「いまの復興の様子がよくわかりました」とか、
「こんなに変わってたんだね」という声もありますし。
久しぶりにいろんな方と再会できて
「元気やった?」とちょっと涙ぐむシーンもあったり。
別れを惜しむ方もいたり。
- 嘉門
- 家を失われてますからね。
- 松本
- 風景も、どんどんどんどん変わっていくので。
最初は瓦礫だったのが、
数か月後にはまったくなくなってたりしますから。 - だからみなさん、見て回りながら、
やっぱりちょっと辛い部分もあったりされて。
なかなか感慨深いプロジェクトではありました。
- ──
- あと、なんとなく話を聞いて気になっていたのが、
「ジオラマ作り」のワークショップというか。
- 嘉門
- ジオラマ作りは、5×5メートルの空間に、
みんなで震災前の街の模型をつくるものなんですけど、
神戸大学で建築の教授をされている槻橋修さんが、
もともと東日本大震災のあと、
東北60カ所ぐらいでされていたものですね。 - それを「能登でもやりませんか」というお話があり、
神戸大学の学生さんが、金沢大学など
地元の大学生たちと連携してやってくれたんです。 - 住人のみなさんが集まって、1週間の展示期間、
高低差をつけた土地に、家の模型を並べて
実際に近づけていくんです。
- 松本
- 「~~さんの家」「よく立ち寄った駄菓子屋」
「幼少期にチョコパフェを食べに行きました」とか、
ひとつひとつ、コメントなどもつけながら。
- 嘉門
- 学生さんたちが、地元のみなさんに
思い出を聞きながら、
「俺んち、屋根の色、黒や」
って言われたら黒を塗るとか、
逆に「こんな感じですか?」と聞いたり。 - そういうインタラクティブなやりとりのなかで
模型の街がどんどん仕上がっていくんですね。
お祭りで使うキリコ(巨大な燈籠)の模型も
合わせてつくったりとか。 - 1週間で景色が色づいていくにつれ、
みなさんが町の中を歩き始めるんです。
- ──
- わぁ。
- 嘉門
- いいなと思ったのが、町について話すとき、
実は未来の話って難しいんですよね。
「これからどう復興していくか」とかって、
それぞれイメージも具体性も違いますから。 - だけど過去の話って、しやすいんですよね。
みんないっぱい思い出があって、見てた風景が一緒。
単純に盛り上がりますし、できるにつれ、
どんどん愛があふれていくんです。 - 「屋根の向きが違うから直したい」とかも、
またひとつのやり取りですし。
リアルな立体というのも大きくて。
- やすな(ほぼ日)
- しかも、この槻橋先生のプロジェクトは、
今後デジタル化されて、
あとからも見られるようにするという。
- ──
- ああ、作ったあとなくなるんじゃなく
ちゃんと残るのも嬉しいですね。
- 嘉門
- また、能登島でおこなったときは、
東北大学の大学院生たちが、
ひとつの集落に丁寧に寄り添ってくれて、
1年かけて「思い出の写真を集めてください」
とかのワークショップをやったあと、
最後に模型の形にしたんです。 - その学生ってもともと
「ぼくは東京出身で、ふるさとないんです」
と言うような子たちだったんです。 - でも彼らも関わるなかで感化されて、
「地元愛ってこんな感じなんですね」って
能登に通うようになってて。
みんな能登にふるさとができたような感じで。
- ──
- 支援として関わっていく側にも、
大事な場所が増えたという。
- 嘉門
- そうなんです。
- ──
- この事業であれこれ動いてきて、
嘉門さんはコミュニティって、どんなふうに
育っていくものだと思われますか?
- 嘉門
- これはほかの人にも聞いてみたいですけど、
ぼくはやっぱりコミュニティって
「なにかの『ついで』で生まれてくるんだな」
という感じはしますけどね。 - 土いじりしながらとか、
ジオラマづくりで思い出を共有して、
ああでもない、こうでもないと言いながら
なにかを一緒にやる、とか。
誰かの手を借りることによって、とか。
そういうところから「ついで」になにかが生まれ、
結果的にコミュニティになっていく。 - だからこの事業はそういう、
人が集まって一緒に作業をするイベントをやりながら、
そういう「ついで」をつくっている感覚ですね。 - 体操だって1人ではやりたくないけど、
みんなと一緒ならやる気になって、毎週行ったりする。
きっかけがあって、なにかが育つ。
そういうことの手応えは、すごく感じてます。 - 逆に
「はい、みんなで集まりますよ、しゃべりますよ!」
だとコミュニティは生まれないかなと思うんです。
コミュニティづくりが目的化すると
みんな気持ちが引いてしまったり、
「自分たちはなにをやってるんだろう?」と
なりやすいかなと思うんです。 - むしろ自然と生まれる
「カラスどうする?」「草むしりどうする?」
とかが、コミュニティを育んでくれるのかなと
思ったりしてますね。
(つづきます)
2026-07-10-FRI
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「石川ひとつなぎ」の活動紹介動画、
ぜひごらんください。
みなさんがつくった冊子の
デジタル版はこちら。
