尾瀬とほぼ日。」という、
新しいプロジェクトがスタートします。

唐突に感じられるかもしれませんが、
じっくりと準備していました。
でも、順を追って説明したほうが
いいかもしれませんね。

思えば、1998年のスタート以来、
ほぼ日はすこしずつ「場所」を増やしてきました。
そんな、ほぼ日と場所の話を。

すこし長いですが、お付き合いください。
前後編でお届けします。

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#後編  コロナ、前橋、そして尾瀬へ。

 
ここ数年、糸井重里が、場所について、
しばしば口にしていることがありました。
それは、東京という場所が、窮屈だということです。
もう、物理的に「せまい」ということ。
なにをしようにも「場所がない」ということ。
場所があっても「高い」ということ。
また、制度や許可の面でも「不自由だ」ということ。
それはもちろん便利さやおもしろさと
引き換えのことではあるのですが、
抗いがたい閉塞感を、糸井に限らず、
多くの人が感じているのではないでしょうか。
ここ数年のそういった傾向は、
糸井とほぼ日の意識をしだいに東京以外の場所へ、
さまざまな「地方」へと向かわせていきました。
その気持ちと行動と縁が結集したのが、
今回の「尾瀬とほぼ日。」のプロジェクトです。

 
振り返ってみると、ここ数年のあいだに
ふたつの大きな転換点があったように思います。
ひとつは2020年ごろに世界中を襲った
新型コロナウィルスの拡大です。
5年前、世界中の人が、
なるだけ家から出ずに過ごすことになりました。
そんななか、「リモートワーク」という働き方が
急速に社会に普及していきました。
コロナ禍が終わってからも、
リモートでの働き方はしっかりと残りました。
別の言い方をすれば、
遠い場所に暮らしていても
ちゃんと仕事はできるということを、
多くの人が実践的に学んだのです。
ほぼ日はどちらかといえば
直接会って話す」タイプの会社ですが、
けっこう遠くに居を構えている乗組員が何人かいます。
そういう選択肢があると知るだけでも、
私たちの視野はすこし広くなります。
もうひとつ、大きな転換点となったのは、
群馬県前橋市で2022年と2024年に開催された
前橋ブックフェス」でした。
全国からたくさんの本を集め、
それを無料で持って行くことができるという
とても斬新なこのイベントは、
糸井重里がずいぶん前から構想していたものでした。
それが自身の出身地である前橋市で開催されたことで、
糸井重里は物理的にも精神的にも
東京から100キロ離れたその場所を感じるようになりました。
思えば、そこにゆかりのある場所がある。
東京よりも人や情報は少ないけれど、
東京よりも広い場所がある。
開催された二度の「前橋ブックフェス」は、
多くの本と人を集め、大成功のうちに終わりました。
当の前橋市の人たちが驚くほどの集客を目にして、
アイディアさえあれば、
遠くからも人が集まってくれることを、
糸井もほぼ日も強く実感することになりました。
このくらい離れた場所で、もっとなにかできないか。
たとえば、ほぼ日が広い場所を持つのはどうか。
あるいは、自分たちが合宿して
なにかを集中して考えるような施設が持てないか。
ほかの場所でもブックフェスや
生活のたのしみ展ができるのではないか。
そんなふうに、
地方への意識はステップを踏んでいきました。
あたらしくはじまったほぼ日のキャンプの企画や、
前職で地方への開拓を経験していた乗組員の入社も
そういった動きに拍車をかけていきました。
そういった全般をひとつの大きなアイディアとして
糸井重里は会う人たちにしばしば話しましたし、
出会った人たちは新しい人を連れてきて、
縁や関係の輪は、すこしずつ大きくなっていきました。
そうするうちに、いくつかの
具体的な話が舞い込むようになったのです。
糸井重里に、ほぼ日に、
いっしょになにかできませんか?」と。
たとえば、廃校が決まった小学校施設の再利用。
たとえば、ミュージアムでの展示企画。
たとえば、準備中の温泉施設の運営。
たとえば、ただただ広い場所‥‥。
招かれて、あるいは勉強のために、
私たちはそういった場所をいくつも見学しました。
群馬県だけでなく、関東を中心に、あちこちを。
そんななか、出会ったのが、
尾瀬だったのです。

 
尾瀬の伝統的な山小屋、
長蔵小屋さんとなにかできないだろうか?
そんな魅力的な提案を受けて、
何人かの乗組員たちが現地を見学しました。
といっても、尾瀬は国立公園であり、
貴重な自然環境や生態系が残る湿地帯です。
気軽に行ける場所ではありません。
私たちは準備してチームで現地へ入りました。
そして、驚きました。目を見張りました。
尾瀬は、特別な場所でした。
もちろんその風景や環境を事前に知ってはいましたが、
現実に知った尾瀬は、圧倒的でした。

 
尾瀬の長蔵小屋さんは、
明治23年から続く尾瀬の山小屋(逗留施設)です。
じつに130年、四代にわたり受け継がれ、
尾瀬を訪れる人たちに愛されています。
その四代目のご主人、平野太郎さんと
私たちは出会うことができました。
そして、このすばらしい場所のために、
なにかほぼ日がお手伝いできるのではないか。
そんなふうに強く感じるようになったのです。
いうまでもなく、尾瀬は稀有な場所です。
ここでしか体験できない時間や風景をもとめて、
すでにたくさんの人がここを訪れています。
まだ尾瀬を知らない人に、
実際に来たことのない人たちに、
ほぼ日を通じて尾瀬の魅力を伝える。
もちろんそれはやっていきたいことです。
けれども、もうひとつ、ほぼ日が、
長蔵小屋の平野さんたちと協力しながら、
取り組んでいきたいチャレンジがあります。
それは、尾瀬で、長蔵小屋で、
はたらく人」を募ること。
思えば私たちは、
TOBICHIや、生活のたのしみ展や、
あるいは気仙沼をとりまく関係のなかで、
そこを知ることと、そこをたのしむことと、
そこではたらくことが、
ある意味でとても近しいことを実感しています。
ほぼ日を通じてなら、
ただの求人とも、観光案内とも違う、
知ることと、たのしむことと、
はたらくことが一体となった
発信ができるのではないか。
そんな気持ちで、
尾瀬とほぼ日。」というプロジェクトを
スタートさせます。
数日後の公式ページ公開を、
どうぞたのしみにお待ちください。

2025-04-02-WED

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