ほぼ日の「老いと死」特集は、
佳境に入ってきました。
入ったからにはこの方に
ご登場いただかなくてはなりません。
みうらじゅんさんです。
このインタビューの動画は、
ほぼ日の學校でごらんいただけます。
みうらじゅん
1958年、京都生まれ。イラストレーターなど。
武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。
以後、作家、ミュージシャンなど、多方面で活躍。
1997年には「マイブーム」が
新語・流行語大賞のトップテンに選出。
「ゆるキャラ」の名づけ親でもある。
2018年、仏教伝道文化賞沼田奨励賞受賞。
著書に『アイデン&ティティ』『色即ぜねれいしょん』
『「ない仕事」の作り方』
『通常は死ぬ前に処分したいと思うであろう100のモノ』など。
- ──
- みうらさんにとって
「よい老人」とは、
どんなイメージでしょうか。
- みうら
- 「好きなことをずっとやってる人」ですね。
好きなことをして、しかも、
まわりからあきれられている人が
いちばんいいと思います。
- ──
- まわりからあきれられるようになるのは、
それなりにたいへんですよね。
- みうら
- だと思います。
でも、ほんの少しの努力で
「あきれられ」はグンと差がつくと
思うんですよね。 - このあいだね、ある映画館で
朝の上映だけ
「夕陽のガンマン」がかかってたんですよ。
当然、DVDも、
レーザーディスクまで持ってる
作品なんですが、見にいきました。
- ──
- クリント・イーストウッド主演の、
マカロニウエスタンですね。
- みうら
- 僕らの世代は、最初それを
テレビで見てるんです。
やっぱ大きなスクリーンで
見たいじゃないですか。 - 映画館側もそのことに気づいたんでしょう、
老々映画会です。
これまで「シルバー料金」で
若者も見る映画もこっそり
よせてもらってたわけですが、
「夕陽のガンマン」のクラスになると、
堂々と行けるわけです。
老々堂々って言うんですかね?
- ──
- (笑)
- みうら
- 当然、「夕陽のガンマン」をスクリーンで見ていない、
憧れ世代がこぞって来ているにちがいない、と
思いました。
さすがにクリント・イーストウッド気取って
ポンチョのコスプレはいなかったけど、
テンガロンの方は何人かいらっしゃいましてね。
- ──
- テンガロンハットでスクリーンを。
老々ですか、その方も。
- みうら
- もちろん老々テンガロンです(笑)。
アウト老たちは上映前にしっかり
用を足すわけですが、
そのとき見た老テンガロンは顔も濃くてね。
「しまった!」と思いました。
僕も持ってるんですよ、テンガロン。
かぶり見する発想がなかったことにね。
これじゃアウト老はまだまだです。
- ──
- 朝だけの上映なのに、お客さんは
けっこう入っていたのでしょうか?
- みうら
- 「夕陽の30人」ぐらいは、
おられたと思います。 - それは、かつての昭和の、
「家にいられないからしょうがなく
映画館に来てる感じ」
ではありませんでした。
ニュー老(ロー)たちは、
「どうだ、うらやましいだろ」
くらいに思ってたんじゃないでしょうか?
- ──
- ニュー老は、時間もあるしお金もある。
- みうら
- こちとらシルバー料金で
老々堂々ですからね。 - そして、配信でも
老々映画がたくさん上映されてるんですね。
配信にうとくて、知りませんでしたが。
- ──
- サブスクで。
- みうら
- そのサブスクってやつも、
サブいスクリーンくらいにしか
思ってませんでしたしね。 - お年寄りが見る映画とか番組っていう
マイナスイメージがよくなかったんですね。
これからは「老々映画大会」とか銘打って、
バンバン映画館にかかるといいと思います。 - 僕はそういう、老々映画がかかっていたら、
いつでも飛びつける余裕がありますのでね。
- ──
- ジャンプ力の出るような余裕と動機が
つねにないとダメだということですね。
- みうら
- ロウ・ロウ・ジャンプ!
とでもいいますか。
やはり好きなものには
いつでも飛びつける気概がほしいもんです。
いや、アウト老にはね(笑)。
(明日につづきます)
2024-11-17-SUN