こんにちは、ほぼ日の奥野です。
尊敬する編集者にしてゆかいな大先輩、
宝島「VOW」二代目総本部長・古矢徹さんとともに、
ちいさな連載をはじめたいと思います。
スマホや携帯を持たない“丸腰人”人生65年の
古矢総本部長と、スマホは愛用するが
ときどき海に投げ捨てたくなるわたくし奥野が、
世界の片隅にひっそり存在するであろう
愛すべき“丸腰人”を探しに行く‥‥という企画です。
まず手はじめに、“丸腰人”ご本人さま、
もしくは“丸腰人”のまわりにいるみなさまから、
スマホや携帯を持たないがゆえの
困難とペーソスに満ちた日々のエピソードを、
送っていただきたいなと思ってます。
それらを、当連載で紹介していきたいと思います。
投稿どしどしお待ちしてます!
採用された方には、素敵なプレゼントも考え中。

>宝島「VOW」二代目総本部長・古矢徹さんとは。

古矢徹(ふるや・とおる)

「止れま」「まさる死ろす」「聞け、わだみつおの声」などのおまぬけネタで知られる、雑誌『宝島』の読者投稿企画“VOW”(バウ)二代目総本部長。『宝島』休刊後、女性誌『sweet』(宝島社)に拾われ今も連載継続中という知る人ぞ知る事実は、21世紀雑誌界の奇跡と言っても過言と言えなくもなくなくない? 声優の古谷徹さんとは別人。最近「久しぶりにVOWのサイトを見たら、二代目総本部長がお元気そうで何よりだった。東秋留の辺りを通りがかるたびに古矢さんっぽい人を探すんだけど見つからないなぁ」との読者のSNSへの書き込みあり。古矢さんっぽい人は、今は西東京市あたりで探すと見つかるかもよ。

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ある丸腰人の物語 05

去年、故郷で友人と会うことになり、
帰りが遅い時間になりそうだったので、
弟に迎えを頼んでいた。

公衆電話の場所を調べ、
その場所にちゃんと
電話ボックスが設置されていることも確認済み。

友人と別れたら、そこから電話をして
迎えにきてもらう予定だった。

友人と楽しく過ごし、
別れたあと、その電話ボックスに入る。
駅前の観光客の多い通りだったので、
まわりにいた人が、
躊躇なく電話ボックスに入っていくわたしを
胡乱な目で見たけれども、
そんなことは慣れっこなので気にならない。

お金を入れ、ボタンを押す。押す。押す。
反応がない。
最初の「0」が、まったく反応しない。
ウンともスンとも言わない。

試しに別のボタンを押してみると、
ちゃんと反応する。
0のボタンだけがスッカスカで、
情けない感触が指に伝わってくる。

弟の家に家電はない。
弟も奥さんも、スマホ所持。
0が押せなければ話にならない。

(やば‥‥詰んだ)

数千円かけてタクシーで帰る覚悟を決めつつ、
ダメ押しで指が折れそうなほど、
強く0を押しこんだ。

反応した!

というわけで、
0が来るたびに指を折る勢いで押し、
なんとか弟に繋がったのだった。

この世に公衆電話が存在しているかぎり、
メンテナンスをよろしくお願いしたいと思う。

何卒。

(RINATARO)

(つづきます)

2024-10-11-FRI

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  • 丸腰人のエピソード、大大大募集中!

     

    スマホやケータイを持っていない。
    ただそれだけなのに、こんなご苦労、こんなひどい目、
    はたまた、こんないいことありました‥‥
    というエピソードをお送りください。
    どんな些細なことでも、けっこうです。
    オチなどなくても気にしない。
    丸腰人ご本人でも、丸腰人の近くにいるのアナタでも、
    誰でも投稿OKです。
    総本部長とふたりで、すべての投稿を謹んで拝読し、
    「これは!」と感じ入った投稿を、
    この連載で紹介してゆきます。
    みごと掲載された方には、素敵なプレゼントも考え中。
    どうぞ、ふるって投稿ください。
    総本部長が長年(?)あたためてきた
    この連載の命運は、みなさんの1通にかかっています!

     

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    イラスト:ゴロー