なにせ創刊から22年ですから、
ほぼ日刊イトイ新聞の
アーカイブはほんとうに膨大です。
年末年始の休みに読み直す、といっても、
いったい何から読んでいいのやら?
そこで、ほぼ日刊イトイ新聞を
むかしから読んでいる人たちに、
おすすめの読みものを
音楽のプレイリストをつくるみたいに
ユニークな切り口から
ピックアップしていただきました。
(ありがとうございます!)
ピンと来たらぜひ読んでみてください。
サユミの
「東北においでよ」プレイリスト
サユミ(さゆみ)
イラストや文章を通じて、気仙沼情報を発信している。
これまでの連載:「沼のハナヨメ。」
Twitter:@sayumino1nichi
Instagram:@sayumi_insta
note:https://note.com/sayumi_note
みなさん、こんにちは! 気仙沼のサユミです。
気仙沼のほぼ日がおひらきになってから早1年です。
みなさん、覚えてますか〜。
ちょっとお忘れの方! よろしければ、
私の書いた気仙沼実録漫画「沼のハナヨメ。」
をご覧いただければ幸いです。
全212話とそれなりの数がありますので、
おヒマな時にどうぞ。
今やただの「気仙沼のサユミ」なのに、
こうしてほぼ日のコンテンツに呼んでいただけて
嬉しいです。ありがとうございます。
さて、私は、ほぼ日を卒業後も、
気仙沼に住んでおりますので、今回は
「東北関連コンテンツ」の中から
好きなものを5つ選びたいと思います。
私、サユミの気仙沼での「推しメン」!
それは唐桑で民宿をやっている一代(いちよ)さんです!
糸井さんが「頭が青空」という
二つ名をつけたことがありましたが、
一代さんはまさにそんな感じの人です。
いつも笑顔で、とにかく明るい。
でも、今に至るまで、一代さんの周辺は
明るくて楽しい事ばかりではありませんでした。
(そのあたりは、私の書いた「気仙沼の、あの人。」も、
合わせて読んでいただけると嬉しいです。)
一代さんは、義理のお父さんに言われた
「与えられた運命を愛せよ」という言葉を
大事にしているそうなのですが
「なんでこんな運命を愛さなくちゃならないんだろう。」
って思った時もあるそうです。
でも、いつも笑ってる。
「なんでですか?」って聞いたら
「楽しい方がいいじゃん」って笑顔で言われました。
いろんなことがあったけれど、
今の一代さんもやっぱり
「頭が青空」なことに変わりはないです。
ちなみに、こちらの連載を担当したのは
スガノさんなのですが、なんと一代さんの義理のお母さんと
名前の漢字が同じなんです。
これって運命じゃないですか?
スガノさんもぜひ、この与えられた運命を愛して、
また唐桑に遊びに来てくださいね。
2011年の夏、福島の高校球児たちを取材した
永田さんの記事です。
私は気仙沼のほぼ日にいた頃
「被災地はどうですか?」という
ざっくりとした質問の取材を受けることがあったのですが、
住んでみてわかるのは
「一つの言葉で表すことは絶対にできない」
ということです。
あまりにも規模が大きくて、被害がそれぞれ違って、
人の数だけ感じ方が違う。
そういうことを伝えるには、
ひとりひとりの話を聞いていくことしか
方法はないように思います。
2011年の震災後の雰囲気って、
みなさんは覚えていますか?
この連載は、高校野球の監督や球児たちを、
ひとりひとり追ったドキュメンタリーなのですが、
野球の話をメインにしつつ、
ふとした時に彼らから震災の話が出てきたり、
笑ってしまうような小ネタが出てきたりもします。
いつだって、辛い時もあれば、楽しい時もあって、
笑えることだってあるんですよ。
まだまだ街の中に震災の面影がありありと残っていた
2011年の夏だって、そうだったんです。
聖光学園の監督が生徒を連れて石巻の方まで来た、
と言う話の中でおっしゃっていたことに近い気がしますが、
被災地の人たちは、自分たち以外の被災地に行った時に、
「ああ、ここは俺らのところより大変だったんだなぁ。
俺らも頑張らなくちゃ。」って思うって、
みんな言うんです。
気仙沼の人たちも、福島のことをずっと応援しているし、
自分たちも頑張らなくちゃって、
お互いに思っているんだと知ることができました。
様々な職業の方々を紹介している
奥野さんのインタビュー記事。
震災後には、東北で働く人々に着目した
「東北の仕事論」シリーズにつながっていく
「『仕事!』」論」がこの漁師編でした。
漁師のかっこよさについては、
ほぼ日でもなんどか取り上げてきているんですが、
こちらに登場する、漁師さんの豪快さが
「これぞ漁師」って感じなんです。
自然と人間の関係をフラットに見ているところも、
マジでかっこいいっす。
3人の漁師さんが登場して、それぞれにいい味出していて、
トリオのバランスも最高ですよね。
あと、インタビューの最後のオチが奥野さんらしくて、
私は大好きです。
これも、掲載されたのは2012年の6月。
当たり前なんですけど、被災地にいる人って、
悲しい顔をしているだけじゃないんです。
この漁師さんたちはそういうのを忘れるくらい、
面白くてかっこいい。
悲しい顔をしている方が、
メディアには採用されやすいんですよね。
そうじゃないところ「悲しいことがあったからって、
面白いことは無くならないんだ」って言うのを、
そのままに文章にしてるのって、
ほぼ日っぽくていいなぁって思います。
(特に「1年前の気仙沼」編と、
「ツリーハウスブレンドを飲みにツリーハウスに行きました。」編)
こちらは山下さんとイラストレーター福田利之さんの、
ほのぼのを絵に描いたような連載です。
とにかくおじさん2人(失礼)が、かわいい。
さすが
「カワイイもの好きな人々。(ただし、おじさんの部)」
と言う連載を持っていた、
山下さんならではの「かわいさ」にあふれた
癒しの連載です。
読んだら、気仙沼に来て、海や山やツリーハウスで
コーヒーが飲みたくなりますよ。
ところで、もうすぐ震災から10年です。
「被災地のこと忘れないで」って言うメディアも、
結構ありますよね。
でも、被災地の人たちは、実際に震災から
地続きの生活を送っているので、
忘れるとか忘れないとかではないんだと思います。
忘れられないことは忘れなくていいし、
忘れてしまうことは忘れてもいい。
ただ、その中の大切な思い出は、きっと私も、
被災地の人も、そうでない人も「忘れられない」はずです。
それを私は大事にしていきたいです。
福田さんと山下さんが気仙沼をぐるっと周った
おかしな一日、再開できたお店の喜び、
ツリーハウスで飲んだコーヒーの味、
そして最終回に登場する
福田画伯作のサユミのひどい似顔絵。
私は、ずっと、忘れません。
最後は「青空応援団」の団長についてのコンテンツです
(「田口くんのヒッチハイクON THE ROAD」も
おすすめです!)。
平団長は、気仙沼のほぼ日のおひらきの時に、
気仙沼にきてくださって、私を応援してくれました。
頑張ったり、もがいたり、全力を見せたりというような、
思春期に感じる「カッコ悪い」ことって、
実は一番カッコいいんじゃないかと‥‥
応援団を見たあとは、あらためて思います。
「俺はまだ本気出してないだけ」って
何もせず余裕ぶるよりも、失敗しても全力で頑張った方が
絶対に価値のあることなんですよね。
で、あれ……今気づいたんですけど、
この回の最終回のタイトル「あの人の名前を呼ぶ」っていう
「あの人」って、もしかして私のことだったのかなぁ?
いや、私、確かに、最後の応援団でシジュちゃんにも
「フレー! フレー! サユミ!」と応援してもらったんです。
でも、この連載を書いたのはスガノさんだしなぁ‥‥。
ちょっと私が自意識過剰なだけなのかなぁ‥‥。
まあ、いいかぁ。
余談ですが、団長の平了(たいらりょう)さんは、
気仙沼にいらっしゃった時に、
私と私の夫と卒業校が同じと言うことがわかりまして、
つまり学生時代の私のリアル先輩で、
私の夫のリアル後輩なんです。
だから、平先輩は私の夫のことを「先輩!」って
言ってくれるんですけれども、
「ああ、平先輩! 同じ学校じゃないですか!」って
言ってる私のことはあまり見てくれませんでした。
気づいたら私の夫が、
団長を「りょう」と下の名前で呼んで、
ナチュラルボーン先輩風を吹かしているのも
気になりました。平先輩、また遊びにきてください。
サユミからは以上です!
2020-12-28-MON
-
イラスト&タイトル:あーちん
あーちん
2002年生まれ。9歳のとき、お母さんのすすめで
「ほぼ日マンガ大賞2012」にエントリーし、
約1000通の応募のなかから見事入選。
小学生漫画家として、『くまお』の連載をスタート。
初の単行本『くまお はじまりの本』を出版。
2年半の連載の後、小学校卒業をきっかけに、
『くまお』は246回で終了。
続く、中学時代は、好きなたべものを描く
『たべびと』を連載。
終了までに144品のたべものを描きあげた。
現在、春からはじまる大学生活、準備中の18歳。