南伸坊さんと糸井重里が
あちこちを小旅行しながら、
めくるめく雑談をくりひろげる、
そこそこ人気のシリーズ、黄昏。
思えばずいぶん久しぶりの新作です。
奈良に居を移したゲージツ家、
「クマ」こと篠原勝之さんと話します。
それぞれが二十代のころから
とっくに雑談し合ってる3人、
はたしてどこまで行くのやら。
どうぞ、のんびりおつき合いください。
必然、「老いと死」についても語ります。

>糸井重里

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糸井重里(いといしげさと)

コピーライター
株式会社ほぼ日会長

雑談オールラウンダー。
ダジャレもシモもどんどん行く。
タコの話なども得意。

>南伸坊

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南伸坊(みなみしんぼう)

イラストレーター
エッセイスト

蓄積した雑学から雑談を展開。
さまざまなモノマネ経験あり。
タコの話なども得意。

>篠原勝之

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篠原勝之(しのはらかつゆき)

ゲージツ家
作家

鉄や土の作品をつくる一方、
文筆家としても活躍し、
泉鏡花文学賞を受賞する。
過去のエピソード豊富。

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第12回 プロレスと宴会の羅針盤


篠原
3人でしゃべってると、
村松(友視)さんとこで、
よくやってた宴会にいるみたいだな。

糸井
ああ、そうね。
村松さんって、いつもだいたい黙ってるから、
いまここに村松さんがいても、
こういう感じだろうね。
村松さん、みんながしゃべってるのを、
なんとなく聞いてるんだよね。
で、ときどき自分の得意分野に話を持っていく。
篠原
プロレスの話とかな。
で、だいたい、猪木の話になるんだ。
そうそう、いつのまにか猪木さんの話になる(笑)。
篠原
あれはおもしろい宴会だったなあ。
糸井が、「宴会の羅針盤」って言われてたな。
糸井
ぶっ(笑)!

ははははは。
糸井
その呼ばれ方(笑)。
「宴会の羅針盤」(笑)。
村松さんだよね、つけたのは。
糸井さんがなにかと、
「こうしたらいいんじゃないか」って
言う役割だったから。
篠原
そうそうそう。村松さんに、
「それ小説にしたらいいんじゃないですか?」
みたいなこと言ったりな。
糸井
ああー、そうだったねぇ。
人には書かせるけど、自分は書かない(笑)。
そういうので覚えてるのは、
村松さんとプロレスの話をしてたら
すごくおもしろかったから、
よそでそういう話をしたのね。
そしたら、糸井さん、プロレスについて、
なにか本を書きませんかって依頼された。
でもね、ぼくなんかがおもしろがる何倍も
村松さんはプロレスをおもしろがってるから、
ぼくは書かずに村松さんを紹介したの。
それで、あのプロレスの本
(『私、プロレスの味方です』)が出た。
篠原
ああ、あれ、売れたんだよな。
糸井
売れたんです。
あれが村松さんの一冊目だよね。
糸井
そう、そう。だから、あのころにみんな、
それぞれに処女作を出版してるんだよね。
ああー、そうだね。
糸井
クマちゃんの最初の本もそのころだった。
「自分の本が一冊あるとそれが名刺になるからさ」
って、羅針盤の俺がよく言ってましたよ。
篠原
そうそう、だから、俺の一番最初の
『人生はデーヤモンド』っていう本は、
糸井にタイトルをつけてもらったんだ。
糸井
いいタイトルだよね、
『人生はデーヤモンド』(笑)。

篠原
いや、あれは、お返しもしないまんまで。
お返し(笑)。
糸井
似合わないことを言われた(笑)。
篠原
ちょっとな、
少し大人になったとこ見せようと思って。
糸井
あ、徳を?
徳を積んでるのか、いま(笑)。
篠原
そうそうそう、徳を積んでる!
いや、糸井、あのときは、
いいタイトルをありがとう!
糸井
はははははは。
篠原
ちゃんと俺、Facebookにも書いたしな。
『人生はデーヤモンド』という自分の最初の本の
タイトルを糸井に書いてもらったって。
糸井
いや、恐縮です。
篠原
お返しもしないまんまですが。
はははは、それ、おかしいね。
糸井
あの時代って、融通を利かせながら、
みんながタダでやってたからねぇ。
そうそうそう。
糸井
なんか手伝って、とかっていうのも
基本はぜんぶタダだった。
なんか、あのころ、伸坊に声かけて
事務所に来てもらって、
「プロレスの疑問」みたいな仕事を
手伝ってもらったよね?
あーー、あった、あった。
でも、あれはちゃんと原稿料が
出てたというような気がするよ。
糸井
あったっけね。
伸坊と二人で夜中に
「プロレスで疑問といえば何?」
みたいなのをお互いに出し合って、
原稿にしていくのよ。もちろん手書きでね。
やったねぇ(笑)。

糸井
それでいまでも覚えてる疑問があって、
「プロレスラーの方が海水浴に行くときは、
海水パンツは流用ですか?」っていうの。
篠原
ははははは!
そうすると、もうひとりがすぐ答える。
「はい、おおむね流用です」って。
糸井
あははははは。
それ、もう、どっちがどっちを言って
どっちが答えたんだか、わからないなあ。
いやあ、たのしかったなぁ。
おもしろかったよ。
糸井
「おおむね流用です」って、
その後もずっと覚えてたな。
あれ、なんの仕事だったんだろう?
なんだったんだろうねぇ。

(いいなあ、その読みもの。つづきます)

2026-03-08-SUN

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  • 写真・山口靖雄(MountainDonuts

    これまでの「黄昏」シリーズ

    黄昏

    黄昏放談

    黄昏 日光・東北編

    黄昏 あちこち編

    黄昏 スカート編

    黄昏 ブータン編