ほぼ日の「やさしいタオル」は
今年で20周年をむかえました!
と、聞いて、びっくりしましたよ。
え。もう20年? ほんとに? うそでしょ?
とか言ってるかなり古株の乗組員、
武井、やえ、山川、永田に集まってもらい、
「やさしいタオル」20年の道のりを
たっぷり語ってもらいました。
むろん、雑談多め、脱線上等です。
乗組員の独特のタオル愛や、
いまなら話せる失敗談満載のおしゃべりを、
元「気仙沼のほぼ日」の
サユミさんのイラストとともに、どうぞ!
1998年入社。古いですね。
やさしいタオルには立ち上げから携わる。
やさしいタオルがないと不安になる、
というほどのタオル好き。
寝ても覚めてもそばにタオル。
旅行先にも必ず
やさしいタオルを持っていく。
汗っかきゆえ、
好きなサイズは「シャワー」。
そして「ハンド」は常に2枚持ち。
2005年入社。ベテランですね。
入社後、タオルチームのメンバーに。
タオルについて一番詳しい‥‥どころか、
綿や、その生産背景から紡績、
織り、染め、プリントなどまで、
専門書を読むほどの探求肌。
時に「これはボツですね」と
サンプルの生地を手で裂くほど
容赦ない厳しい判断を下すのも
「タオルへの愛ゆえです」。
好きなサイズは「バス」。
2003年入社。枯れてますね。
いまプロフィールを書きながら気づいたけど、
この人、社歴はたっぷりあるものの、
タオルチームに所属したことは一度もなかった。
しかしながら、「やさしいタオル」は
発売当初から愛用。つまり20年愛用。
とくに「ハンド」は1年350日携帯し、
携帯していないのは、家から出ないときか
「うっかり忘れたとき」だけだと言う。
好きなサイズはもちろん「ハンド」。
2007年入社。なかなかですね。
武井・やえのいたタオルチームに入り、
11年間、デザインを担当。
そのあいだに結婚、そして双子をもうけ、
「やさしいタオル」が人生とともに
あると言っても過言ではないか。
そうでもないか。まあいいか。
もちろん双子もタオル好きに育てている。はず。
好きなサイズは「バス」と「ハンドよこなが」。
- 全員
- よろしくお願いしまーす!
- 武井
- もう20年なんだね。
- 山川
- すごい、すごーい。
- やえ
- パチパチ!
- 永田
- 口で「パチパチ」言わない。
- やえ
- えー。しゅーん。
- 永田
- 口で「しゅーん」言わない。
- ー
- みなさま、よろしいでしょうか。
- 全員
- ハイッ!
- ー
- 2003年にはじまった「やさしいタオル」、
20年目の年に入りました!
この機会にあらためて、
「やさしいタオル」のことを
読者の方にお伝えするなら、
プロジェクトの初期からいらっしゃる
みなさんに語っていただくのが
一番だと思いまして。
- やえ
- はーい!。
- 武井
- まぁ、いろいろありましたからね。
ふふっ‥‥(遠い目)。
コンテンツは2003年からだけど、
プロジェクトの立ち上げはたしか
その3年前、2000年のことだったし。
- 山川
- なにから話しましょう?
- 永田
- まず冒頭に短くてキャッチーなエピソードが
あるといいと思うので言いますけど‥‥。
- 武井
- お、さすが、編集者的目線。
- 永田
- 「やさしいタオル」って、
開発しているときの名前は、
「魔性のタオル」だったんだよ。
- ー
- ま、魔性のタオル‥‥?!
- 永田
- コードネームみたいなものだね。
でも、そのまま「魔性のタオル」で行こうか、
みたいな話も出てたと思う。
- ー
- なぜ「魔性」なんですか?
- 永田
- なんかこう、虜になるぐらい、
やわらかくて、ふわふわで‥‥
ああ、これは、魔性‥‥みたいな。
- ー
- 初耳です。
- 永田
- 初耳のエピソードが
どんどん飛び出すべきだろう、
こういう座談会は。
- やえ
- いやー、でも、
「やさしいタオル」にしてよかったですよね。
届けたいことが、名前に込められてて。
- 永田
- 「魔性のタオル」にしてたら、
この座談会のタイトルは
「魔性のタオル20周年クロニクル!」だからね。
- 武井
- なんとオカルティックなタイトル!
- 山川
- 「やさしいタオル」でよかった、よかった。
- ー
- そもそも、
タオルのプロジェクトは
どうしてはじまったんですか?
- 武井
- きっかけは糸井さんですよ。
タオルって、ずっと、
温泉や銭湯で買ったり、
お中元やお歳暮でもらうものだったんですよ。
それで糸井さんが、
「みんな、着るものは自分で選ぶのに、
タオルは選んでないよな」って。
- ー
- タオルは何かともらいますもんね。
- 武井
- というか、当時、自分で買う人って
ほんとうに少なかったんだよ。
それで「お気に入りのタオルって、ある?」
という話になって、
おもしろそうだから、
「みんな、どんなタオル持ってるの?」とか、
「一番好きなタオルはどれ?」とか、
読者に聞いたりしてたの。
そんなことをやりながら、
ほぼ日でもタオルを作れないかなって話していたら、
ある読者から「もし興味があれば、
試していただきたい
すばらしいタオルがあります」って
連絡がきたんです。
- やえ
- 繊維の研究をお仕事にされていた方で、
どういう繊維が良いだとか、
たくさん助けていただいたんですよね。
- 武井
- 自分たちじゃ探せなかったところに
つないでもらったりね。 - いまでも時々ありますけど、
読者から「何かやりたい」とか、
「こういうのなら作れる」みたいのを
メールでもらって、
一緒になにか作ってみるということが
当時はけっこうあったんです。
- 山川
- いろんな交流がありましたね。
- 永田
- いまはもう想像もできないかもしれませんが、
20年前って、SNSないからね。
メールだけでどんだけ世界が広がったか‥‥。
- 武井
- あ、注意注意、ぼくら世代が、
昔のしょぼいネット事情を逆自慢するのって、
若い人たちは辟易としてるはずだよ。
- 永田
- ひゃあ。
- 山川
- それで、できあがった最初のタオルが
こちらでございますー。
- やえ
- わー、なつかしい!
- ー
- ダブルベリーは今でも、
「やさしいタオル」の定番ですね。
デザインは、当時どなたが?
- 武井
- 最初はべっかむ3で、
その後にみっちゃん(山川)が入って。
- 山川
- はい、けっこう長い間担当しました。
- 武井
- デザインを原寸大でプリントして壁に貼って、
「こういうのを考えてます」って
糸井さんに直接提案してたね。
- 山川
- 全部通らないときもあったり‥‥
大変でした。
- やえ
- 何をおっしゃいますやら!
みっちゃんのときより、
私とべっかむ3の二人でやってたときは、
もっとダメでしたよ。
- 永田
- やえちゃんとべっかむ3は、
2人で並んでよく固まってた(笑)。
- やえ
- ほんとに‥‥!
ある時ネタ切れになって、
もうどうしていいかわかんないってなったときに、
読者から「白いタオルがほしい」って
メールをいただいたんです。
でも「デザインあってこそのほぼ日」と
思っていたので、
白いタオルは出せないなと思って。 - そしたら糸井さんが、
「3色の白いタオルを出したら」って。
- ー
- アンミカさんのようですね。
- 武井
- (裏声で)「白ってな、200色あんねん」
- やえ
- 似てるー!
- 武井
- (裏声で)
「自分が決めたところが、ランウェイやねん」
- 山川
- 似てるー! 名言ー!
- 武井
- (裏声で)
「大盛りにするくらいやったら、
おかわりしたらええねん」
- 永田
- それは言ってないだろう。
- やえ
- ともかく、3種類の白いタオルを作ったりましたよ。
同系色でデザインを変えるってたいへんなんです。
2014年に「ほぼ日のくびまき」でも、
茶系統のデザインのくびまきを
10種類つくったことがありますけど。
- 武井
- デザインも大変だったけど、
商品の名前も苦労したよね。
- 山川
- あのころって、商品ひとつひとつの
ネーミングにめちゃくちゃ時間かけてましたよね。
糸井さんがなにしろ、厳しくて。
たとえば青でもただのブルーじゃなくて、
なにか印象的な呼び名にしようとしてた。
- 武井
- あの時期は一番大変だったかもね。
商品数もすくなかったし、
大事にしてたよね、名前は。
やえちゃんがすごい苦労してたときの話で
覚えてるのは、ある時、糸井さんに
「もっとさ、こんな単調な名前じゃなくてさ、
詩のようなことばをつけたら?」
と言われてね。
- やえ
- そー、そー、そー!
- 武井
- それでとにかく考えて、
「窓を開けると草原の輝き、そして緑」とか、
「さざ波を思うと、それは私」みたいな、
よくわかんないのをいっぱい出したら、
糸井さんが、
「‥‥ごめん。これは、俺が悪かった」って(笑)。
- やえ
- 納得の惨敗でした。
- 永田
- タオルじゃないんだけど、
ネーミングの苦労で覚えてるのが、
手帳カバーの色名をみんなで考えてたとき、
当時は遅くまで残ってるのがふつうだったから、
夜中に話し合ってたら、もう、
なにがなんだかわからなくなってきて、
「あ、妖怪シリーズってどう?
赤いカバーは『天狗レッド』!」
「いい! じゃあ緑は『河童グリーン』!」
「グレーのカバーは?」「『地蔵グレー』!」
ってめちゃくちゃ盛り上がって。
- 一同
- 天狗レッド、地蔵グレー、河童グリーン!
- 永田
- で、もちろん、朝になって
「‥‥なんだこりゃ」と。
- やえ
- 意外とアリだと思いますよ。
ほしー。地蔵グレー!
- 山川
- ちなみに地蔵は妖怪じゃありませんね。
- やえ
- ほんとだ!
- 永田
- 「相撲ベージュ」ってのもあったな。
- 武井
- タオルの話に戻していいですか。
- 一同
- 戻しましょう!
- 武井
- エポックメイキングだったのは
伊藤まさこさんに撮影のスタイリングを
お願いしたことですよ。
- 山川
- ほんとにそう!
- 武井
- それまではべっかむ3がさ、
撮影のためのラフを描いてたんだよね。
夏のタオルを販売するとき、
スイカ、ビーチボール、レモンスカッシュを描いて、
やえちゃんがラフを持って走り回って、
「スイカ、今、売ってませんでした!」って
戻ってきたことがあって(笑)。
- やえ
- スイカ、売ってなかったんですよねぇ。
あれは苦労しました。
- 武井
- いや、そこじゃなくて、
夏のイメージが昭和すぎるという話ですよ。
- やえ
- あっ、そういうことですね。
そういう写真ばっかり撮ってたら、
後から入社してきたおっくんが、
「スタイリスト、使わないんですか」って言ってね。
- 永田
- おっくん、宝島のファッション誌から
転職してきたからね。
- やえ
- いやー、おっくんは救世主でした。
- 武井
- それからご縁があって伊藤まさこさんに
スタイリングをお願いできて。
- ー
- いまでは「weeksdays」で
ほぼ日と一緒にお店をやっていますが、
「やさしいタオル」から
お付き合いがはじまったんですね。
- やえ
- まさこさんは撮影のときに
家で1回洗ったタオルを使われるんです。
それまでは、商品にアイロンをかけて、
いかにきれいに、しわのないタオルを
きちんと畳んで撮るか考えていたのに、
伊藤さんは、洗って日に干して、
ちょっとくしゃっとしたタオルを、
そのまま、ぽんっ、って置くんです。
びっくりしたんだけど、
すごく素敵な写真になったんですよね。
- 武井
- うん、うん、あれは忘れられないねー。
(つづきます)
2023-09-13-WED