■シロザの葉

鈴木

（雑草プランターを見て）
シロザが多いですね。シロザの葉に
白いふわふわしたものがついていますよね？　
それを撮影すると面白いですよ。
マクロレンズで拡大して撮ってみましょう。

安木

あ、つぶつぶしたものが見える！

ズームして撮りたいけれど、ボケてしまう‥‥。
ピントを合わせるのが難しいですね。

鈴木

カメラに対して、シロザの葉を水平にしましょう。
水平にしようとしても、
拡大すればするほどブレやすいので
簡単にはできないんですけど。
手元のちょっとしたブレが
レンズでは大きなブレになってしまうんです。

かご

あーできないです。うまく撮れない‥‥。
鈴木さんは息、止めてます？

鈴木

息、止めてますよ。
これは息を止めないと撮れない。

あとシャッターボタンを押すときにカメラが
ブレますよね。
ブレないように、タイマーを使うのはどうでしょう。
タイマーにしちゃえば、そのまま待っていればいい。

△シロザの葉の拡大写真。新しい葉のほうがつぶつぶ多いです（撮影：鈴木純さん）

△同じくシロザの葉。（撮影：安木）

△同じくシロザの葉。（撮影：かご）

■レモンの葉

鈴木

かんきつ系の葉には油が入ってるんです。
葉の裏を撮影するとこんな感じ。

かご

おお、ひとつひとつの点が星のよう！　
宇宙を見ているようです。

鈴木

普通の状態で見てもこの点は見えないんですけど、
太陽にかざして見ると、点が浮かび上がるようにして
見えるんですよ。

△レモンの葉を光を背景に。（撮影：鈴木純さん）

■ローズマリーの葉の裏

鈴木

シロザの葉もそうですが、
拡大して撮るのは面白いですよ。
肉眼では見えなかったものが発見できることがあるんです。

たとえば、ローズマリーの葉。
細長い葉の裏の筋を拡大して撮影すると、
こんな感じです。

安木

お〜すごい！　
細かい毛のようなものがふさふさしてます。

鈴木

ぼくも知らなかったです。
こういうのを撮りながら発見することは結構あります。

　

＊　＊　＊

　

つぎは屋外へ移動。
道を歩きながら雑草観察しつつ撮影します。

■ワルナスビのトゲ

鈴木

これはワルナスビという農家さんにとって天敵の雑草です。
畑に出てくると根が強いので取りたいんですけど
葉や茎に棘があって痛いんですよね。
ナスのような花が咲くからワルナスビという
名前なんです。
これのトゲ、撮ってみるといいんじゃないかな。

かご

面白い名前の植物ですね。
トゲはどうやって撮るとかっこよく見えるかな。

鈴木

近づくといいですよ。
１本のトゲにフォーカスする。
かっこいいでしょ。

なっつ・かご

ほんとだ！　かっこいい！

△ワルナスビのトゲ。透明感があります。（撮影：鈴木純さん）

△トゲを真横から。（撮影：かご）

■ヤブカラシのツル

鈴木

ヤブカラシのツルも撮りようによっては
面白くなると思う。

安木

ヤブカラシはいっぱい茂ってるから、
何も考えずに撮影すると
背景がごちゃごちゃしまいますね。

鈴木

そうですね。
ぼくは巻き付いているツルで
背景が抜けているような被写体を探してます。
これだけツルがあっても撮れるツルが
なかなか見つからない。

△ツルが「P」となっている。（撮影：安木）

△ブロンズのような色のツル。（撮影：かご）

■ヤマボウシの実

鈴木

これはヤマボウシです。
花が終わったあとの、熟す前の実の状態なんですけど、
アップして撮ると謎の物体って感じです。

かご

面白いですね！　実ではなく
ウイルスのような物体にも見えます。

△花が咲き終わったばかりのヤマボウシの実。（撮影：鈴木純さん）

■落ち葉

鈴木

落ちている葉も太陽に向かって撮ると、
面白くなります。

メロン

ムーディですね！　秋っぽい感じがする。

鈴木

色が変わるんですよ。
普通に撮ると面白みのない感じに見えるものも、
こちらから（逆光で）撮ると
透明感が増して秋って感じになります。

△芝生の上の落ち葉。（撮影：鈴木純さん）

■葉と水滴

鈴木

落ち葉についてる水滴も面白いですよ。
鏡みたいになります。

メロン

水滴をマクロレンズで撮るのはすごくいいですね！

鈴木

イチョウの葉は意外と水滴をはじく。
そんなことも知ることができますね。

安木

私の写真とはぜんぜん違う。

鈴木

どこの位置から撮るかで印象が変わってくる。
あらゆる角度で撮るとおもしろいです。
同じ被写体を撮っても人によって写真がちがうんで、
それがおもしろいですよね。

△イチョウと水滴。（撮影：鈴木純さん）

△同じくイチョウと水滴。（撮影：安木）

△同じくイチョウと水滴。（撮影：かご）

鈴木

スマホで雑草の撮影しにくいのは
スマホの真ん中にカメラがついていないことが
関係しているかもしれない。
被写体をスマホの真ん中に置いてるのに、
中央にレンズがないから、
画角にうまく収まらないんですね。

メロン

なるほど～。そうかもしれない。

鈴木

慣れたらいいけれど、慣れるまでは違和感がありますね。
小さいものを撮影するときは、
被写体に指を近づけておくといいですね。
指にピントを合うので、
ピントがあったあとに指を画角から取り除けば
被写体にピントが合ったままになるから撮影しやすい。
指を目印にする。

安木

撮りたいものが小さくて、
見失っちゃうことがあるので
これはいい方法！

かご

イチョウと水滴の写真を見ても、三者三様ですね。

鈴木

SNSに上がっている植物の写真を見るのが好きなんですけど、
それは撮る人によって見えてる世界がそれぞれ違うから。
そこが面白いところなんです。
ぼくは自分にとってのいい写真という視点で
アドバイスをしているけれど、
皆さんの目を持っていないので、
ぼくのアドバイスは絶対ではないんです。
そのことは心にとめておいていただけたらと。

メロン

鈴木さんはSNS上でも植物観察家なんですね。

鈴木

そうかもしれませんね。

安木

今日の半日では写真の技術がすごく上がった気がします。
どうもありがとうございました！

メロン

すごく面白かったです。
冬の植物の撮影の仕方も教わりたいと思いました。

鈴木

お役に立てましたならうれしいです！
冬は冬芽があったり、実や葉の状態も変わるので
夏とは違う写真が撮れそうです。
ぜひ季節を変えて雑草さんぽでもやりましょう！

全員

ぜひやりましょう！

かご

これから雑草を撮影するのが楽しくなりそうです。
今回の記事を読んでくださっている皆さんも
やってみてもらえるとうれしいですね。
今日はありがとうございました。

△クスノキの葉を太陽にかざして撮ると、葉脈が浮き上がって見える。鈴木さんのアドバイスで撮影。（撮影：かご）

鈴木純さん、ありがとうございます！