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タモリ |
結局は
どんなものでも宗教ですよね。
坂道が好きっていうのも、
自分のなかでは宗教ですから。
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糸井 |
流行ってるブランド論も、
宗教ですよね。 |
中沢 |
ちょっとでも
「超越性」に
関わっていたら宗教です。
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タモリ |
宗教がなくちゃ
生きていけないんですか。
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中沢 |
ただそれが、
団体を作るかどうかだよね。
社会化するかというところで
性格が変わるんですよね。
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タモリ |
キリストもブッダも
組織化は避けたはずなのに、
どうしても作っちゃうんだよなぁ。
俺も坂道学会、ふたりいるもんな。
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中沢 |
(笑)
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タモリ |
自分で、やってりゃいいのに、
なんか団体作っちゃうんだよ。
それも、宗教だと思うけどね。
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糸井 |
気がつくと
団体を作って、
えらい人になっちゃう──。
知ってて
「もうかるんだよ!」
ってインチキ宗教はじめたやつでも、
だんだん本気になっていったりする。
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中沢 |
「儲かんなくてもいいんだよ」と。
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糸井 |
だんだん板についてくるんだよね。
きっと、社長業とかもおなじだし、
ぜんぶ、そうなんだろうなぁ……。
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中沢 |
社長業もそうだよねえ。
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糸井 |
役割で動いてるものは
みんな教祖さまに変わりないから。
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タモリ |
うん。演技ですよね。
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中沢 |
思いこみね。
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タモリ |
いちばん気持ちがいいのは
その気になった教祖なんじゃないかなぁ。
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糸井 |
教祖って、気持ちがいいのかなぁ。
タモリさんがなった場合は、何をします?
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タモリ |
あがめられたい。
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中沢 |
(笑)
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タモリ |
あとは、儀式をとりしきる。
意外と、儀式は好きだから。
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糸井 |
(笑)儀式好き。
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中沢 |
たまには
護摩とかを焚かないとダメですよ。
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タモリ |
それは儀式としてやります(笑)。
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糸井 |
イロモノは要らないですか?
羽根の扇を持った、半裸の女とか──。
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中沢 |
それは、かならずできてくるから。
あれは、自然発生みたいですよね。
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糸井 |
(笑)かならず!
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タモリ |
(笑)「あおがせてください」って?
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中沢 |
はい。だんだん半裸になってきます。
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タモリ |
だんだん半裸に(笑)。
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糸井 |
でも、へんな顏の半裸もあるわけで。
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中沢 |
(笑)来ますよー。
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糸井 |
教祖は断りにくいよね。
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中沢 |
断りにくい。
半裸で来る。
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タモリ |
半裸なの?
全裸じゃダメなの?
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糸井 |
全裸は「自然」だからね。
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中沢 |
うん。
隠すものがあるかどうかが、
宗教かそうでないかの限界点ですからね。
……そうしないと
「ない」ということが
バレちゃうじゃないですか。
宗教って「ない」ものなんだから。
「ない」んだけど
関係性だけで作るわけですから、
かならず隠すものが必要ですね。
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糸井 |
ああ、そうか。
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タモリ |
(笑)半裸じゃないとダメだと。
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中沢 |
半裸、大事です。
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タモリ |
これは大事です。
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糸井 |
物事のおもしろみのすべては
半裸ですよね。
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タモリ |
半裸ですね。
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中沢 |
そうそう。
全裸になったらおしまい。
宗教は全裸はダメですよ。
全裸になったら神秘主義になるんです。
宗教のトリックぜんぶ取ったところで
勝負をかけてるのが、神秘主義だから。
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糸井 |
命がけだねぇ。
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中沢 |
命がけですよ。
だから、神秘主義はみんな全裸ですね。
(明日に、つづきます)
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