はじめての中沢新一。
アースダイバーから、芸術人類学へ。

とんでもなく大きい視野のイベントができました!
友人たちが関係者席に座りたがってタイヘンです。
タモリさんと、糸井重里の依頼で、
中央大学教授の中沢新一さんが、登場するんです。

30年間の研究を、徹底的に濃縮し、
糸井重里に邪魔されながら、
タモリさんに突っこまれながら、
旧石器時代から現在につながる人間たちを、
そして未来に向けての人間たちの希望を……
たぶん、目の前に、想像させてくれるはずです。

「対称性、という道具を持って世界を見るうちに、
 自分の思考の中でなにか決定的なことが起きた」

縄文地図を手に東京を歩く『アースダイバー』や
全5巻の大傑作『カイエ・ソバージュ』の内容を、
いい会場、きれいな座席、長丁場で、語りつくす!

イベントがどんなにおもしろくなるか、
想像できそうな、打ちあわせの会話を、
「ほぼ日」では、連載してゆきますね。

タモリ 結局は
どんなものでも宗教ですよね。
坂道が好きっていうのも、
自分のなかでは宗教ですから。
糸井 流行ってるブランド論も、
宗教ですよね。
中沢 ちょっとでも
「超越性」に
関わっていたら宗教です。
タモリ 宗教がなくちゃ
生きていけないんですか。
中沢 ただそれが、
団体を作るかどうかだよね。
社会化するかというところで
性格が変わるんですよね。
タモリ キリストもブッダも
組織化は避けたはずなのに、
どうしても作っちゃうんだよなぁ。
俺も坂道学会、ふたりいるもんな。
中沢 (笑)
タモリ 自分で、やってりゃいいのに、
なんか団体作っちゃうんだよ。
それも、宗教だと思うけどね。
糸井 気がつくと
団体を作って、
えらい人になっちゃう──。

知ってて
「もうかるんだよ!」
ってインチキ宗教はじめたやつでも、
だんだん本気になっていったりする。
中沢 「儲かんなくてもいいんだよ」と。
糸井 だんだん板についてくるんだよね。
きっと、社長業とかもおなじだし、
ぜんぶ、そうなんだろうなぁ……。
中沢 社長業もそうだよねえ。
糸井 役割で動いてるものは
みんな教祖さまに変わりないから。
タモリ うん。演技ですよね。
中沢 思いこみね。
タモリ いちばん気持ちがいいのは
その気になった教祖なんじゃないかなぁ。
糸井 教祖って、気持ちがいいのかなぁ。
タモリさんがなった場合は、何をします?
タモリ あがめられたい。
中沢 (笑)
タモリ あとは、儀式をとりしきる。
意外と、儀式は好きだから。
糸井 (笑)儀式好き。
中沢 たまには
護摩とかを焚かないとダメですよ。
タモリ それは儀式としてやります(笑)。
糸井 イロモノは要らないですか?
羽根の扇を持った、半裸の女とか──。
中沢 それは、かならずできてくるから。
あれは、自然発生みたいですよね。
糸井 (笑)かならず!
タモリ (笑)「あおがせてください」って?
中沢 はい。だんだん半裸になってきます。
タモリ だんだん半裸に(笑)。
糸井 でも、へんな顏の半裸もあるわけで。
中沢 (笑)来ますよー。
糸井 教祖は断りにくいよね。
中沢 断りにくい。
半裸で来る。
タモリ 半裸なの?
全裸じゃダメなの?
糸井 全裸は「自然」だからね。
中沢 うん。
隠すものがあるかどうかが、
宗教かそうでないかの限界点ですからね。
……そうしないと
「ない」ということが
バレちゃうじゃないですか。
宗教って「ない」ものなんだから。

「ない」んだけど
関係性だけで作るわけですから、
かならず隠すものが必要ですね。
糸井 ああ、そうか。
タモリ (笑)半裸じゃないとダメだと。
中沢 半裸、大事です。
タモリ これは大事です。
糸井 物事のおもしろみのすべては
半裸ですよね。
タモリ 半裸ですね。
中沢 そうそう。
全裸になったらおしまい。
宗教は全裸はダメですよ。
全裸になったら神秘主義になるんです。
宗教のトリックぜんぶ取ったところで
勝負をかけてるのが、神秘主義だから。
糸井 命がけだねぇ。
中沢 命がけですよ。
だから、神秘主義はみんな全裸ですね。


(明日に、つづきます)

2005-09-21-WED

(C)Hobo Nikkan Itoi Shinbun