はじめての中沢新一。
アースダイバーから、芸術人類学へ。

とんでもなく大きい視野のイベントができました!
友人たちが関係者席に座りたがってタイヘンです。
タモリさんと、糸井重里の依頼で、
中央大学教授の中沢新一さんが、登場するんです。

30年間の研究を、徹底的に濃縮し、
糸井重里に邪魔されながら、
タモリさんに突っこまれながら、
旧石器時代から現在につながる人間たちを、
そして未来に向けての人間たちの希望を……
たぶん、目の前に、想像させてくれるはずです。

「対称性、という道具を持って世界を見るうちに、
 自分の思考の中でなにか決定的なことが起きた」

縄文地図を手に東京を歩く『アースダイバー』や
全5巻の大傑作『カイエ・ソバージュ』の内容を、
いい会場、きれいな座席、長丁場で、語りつくす!

イベントがどんなにおもしろくなるか、
想像できそうな、打ちあわせの会話を、
「ほぼ日」では、連載してゆきますね。

第8回 縄文はバカ?
糸井 タモリさんは古代とか、
もともとお好きなんですか?
タモリ それほどではないね。
中沢 これからハマるかも。
糸井 (笑)いま、
ハマりそうな
あぶないところにいる?
タモリ いや、縄文って
延々、同じことばかり
やってたんじゃないかって……
中沢 (笑)長いからねぇ。
糸井 そういうふうに教わったし。
中沢 でも、流行なんか、
いろいろ波があるんですよ。

八ケ岳が発信地だったときもあるし。
……町田の連中って、
かなりマネするんですよねえ。
想像力ないんですよ、昔から。
糸井 町田、暴走族の土地だよね。
中沢 そうそう。
タモリ もうそのころから
地域の特質ってあるんですか?
中沢 おもしろいもので
そうなんです。

八ヶ岳の連中と
田中康夫のところの連中は、
同じ長野でもぜんぜんちがう。
で、軽蔑しあってるの。
土器の作り方、
おたがいマネしないから。
タモリ 「あいつのマネはできねえ」って?
糸井 中沢くんの先祖は
ずっと山梨ですか?
中沢 うちの紋、
諏訪神社とおなじだから、
たぶん信州からいってると思います。
タモリ けっこう昔の人も
アクティブにやってたんだね。
食うだけで
きゅうきゅうと
してたわけじゃないんだ。
中沢 (笑)食うのは
ラクだったと思いますよ。
貝殻はあるし、魚はあるし、
木の実も豊かだから
あまりはたらかなくてよかったし。
糸井 縄文時代、
学校の授業では
ずいぶんいいかげんに教わるよね。
タモリ ありゃ、よくない。三分で終わる。
「えんえんと、
 長い時間がありましたが、
 さほどの発展もなく──」
バカあつかいですもんねぇ。
中沢 (笑)
タモリ あぁそうなんだ、
何にもやってないんだと思うよねえ?
糸井 ものすごい期間を
チャラにしちゃう。
中沢 あれひどいよねえ。

前、上野の
キャバクラみたいなところにいくと
生意気な中国人のホステスがいてさ、
「ニホン、歴史アリマセン」と言う。
タモリ あぁ、言いそう。
中沢 「中国四〇〇〇年。
 ニホン、歴史アリマセン」
何を言ってんだと反論して。
「日本のほうが
 ずっと古いぞ。
 一万年の縄文の歴史を
 知らないのか?」
「ドンナ文明デスカ」
「石器時代だ」
「フルスギデスネ」
糸井 (笑)残念だなぁ……。
中国の旧石器時代は
同じようにあったの?
中沢 あるけど、漢民族ではないんです。
揚子江で稲作をやっていた連中とかは
今でいう少数民族ですから。
漢民族は、四〇〇〇年しかないですよ。


(明日に、つづきます)

2005-09-29-THU

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