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糸井 |
江戸時代の日本では
タクアンのしっぽとか
冷えたメシが
ごはんだったというような話が
ありますよね。
あれはそもそも、
当時の日本人たちが、
「旅人さんたちの集団」
みたいだったからなんだろうなぁ。
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中沢 |
あぁ、都会に出てきて……
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糸井 |
うん。
出稼ぎでずっと飯場にいるみたいな。
東京そのものが飯場じゃないですか。
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中沢 |
家だっていいかげんだし。
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糸井 |
大道具みたいな家に
住んでましたもんね。
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タモリ |
江戸はほんとにそうですね。
単身赴任の土地で、
女性が極端に少なかったという。
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糸井 |
(笑)全体的に
カプセルホテルみたいな町ですね。
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中沢 |
長屋ってカプセルホテルですよね?
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タモリ |
調べてみたら、江戸に住んでいた
女性の四人にひとりが売春婦なんだよね。
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糸井 |
(笑)いい町だね。
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中沢 |
いいねえ。
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糸井 |
江戸時代から、権田原は
ゲイのたまり場だったんだよねぇ。
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中沢 |
(笑)
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タモリ |
歴史は守られてるんだなぁ。
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中沢 |
四谷もそうね。
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糸井 |
場所の雰囲気が、ずっと
変わらないっていうのは、
不思議だよねえ。
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タモリ |
その生活がずっとつづいているんだ。
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中沢 |
ぼくら、もうあれだけど、
ゲイでそういうこと
まだ知ってる人、いるみたい。
きいたんだけど、
四谷にあった
オカマ専門の連れこみが
かなりおおきくて、
大部屋でみんなで寝てたらしいです。
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タモリ |
そうらしいです。
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中沢 |
こうやって
上向いて寝るんでしょ?
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糸井 |
(笑)「でしょ?」
って俺にきかれても……。
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中沢 |
顔をのぞきに行って、
すっと布団に入るみたい。
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タモリ |
大部屋で寝て、
男役と女役が
その場の雰囲気で決まるって。
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糸井 |
今はもうないんですか。サウナとかも。
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中沢 |
今はもうないですね。
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糸井 |
四谷四丁目、
新宿二丁目というあたりには、
その界隈があるじゃないですか。
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中沢 |
うん。公園になってる。
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糸井 |
変わらないんだよね。
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中沢 |
この「変わらなさ」っていうのはね。
お寺もズラせないけど、
ゲイのたまり場もズラせないという。
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タモリ |
土地の記憶なんだね。
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糸井 |
意外と残ってるもんですね。
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タモリ |
東京を歩いていると
スラムだった場所にいきあたるんですよね。
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糸井 |
うん。
開発しやすい場所って、安い場所だから、
新開発の土地は
いわくのある場所だったりするんだよね。
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タモリ |
ちっちゃなほらあながあったりするの。
ほんとにその間際まで
高級マンションがあるような場所でも。
坂の下に住む人と
坂の上に住む人は
意識がそうとうちがいますね。 |
糸井 |
高い場所に
スラムってないですよね?
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中沢 |
ないない。ありえない。
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タモリ |
ありえないね。
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糸井 |
お寺とかはどういう高さ?
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中沢 |
お寺は、
ちょっとさがったところです。
いちばん上はない。
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タモリ |
ちょっとさがった
斜面に、お墓がありますよね。
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糸井 |
なるほど。
自分が骨を埋めるとしても、
てっぺんに埋めないもんな。
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中沢 |
てっぺんはまずいんじゃないですか。
ゴルゴダの丘とか、よくないですよ。
あれは後世のことを考えたキャンペーンです。
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糸井 |
うん。目立ちたがり屋だよねぇ?
(明日に、つづきます) |