はじめての中沢新一。
アースダイバーから、芸術人類学へ。

とんでもなく大きい視野のイベントができました!
友人たちが関係者席に座りたがってタイヘンです。
タモリさんと、糸井重里の依頼で、
中央大学教授の中沢新一さんが、登場するんです。

30年間の研究を、徹底的に濃縮し、
糸井重里に邪魔されながら、
タモリさんに突っこまれながら、
旧石器時代から現在につながる人間たちを、
そして未来に向けての人間たちの希望を……
たぶん、目の前に、想像させてくれるはずです。

「対称性、という道具を持って世界を見るうちに、
 自分の思考の中でなにか決定的なことが起きた」

縄文地図を手に東京を歩く『アースダイバー』や
全5巻の大傑作『カイエ・ソバージュ』の内容を、
いい会場、きれいな座席、長丁場で、語りつくす!

イベントがどんなにおもしろくなるか、
想像できそうな、打ちあわせの会話を、
「ほぼ日」では、連載してゆきますね。

第11回 なんか、皮がムケました
糸井 (いぬがタモリさんにちかよる)
……あ、ブイヨン、
おねえさんのとこ行ってなさい!
タモリ (笑)こいつは、
かならず突撃してくるね。
糸井 (笑)そうです。
タモリ (笑)かならずくる。
糸井 初対面の時、
毛の生えかわる時期で、
タモリさんの黒いスーツが
毛だらけになって……(笑)

『アースダイバー』って、
どのぐらいかかってつくったの?
中沢 アースダイバーは一年。
『週刊現代』の連載だよ?
糸井 (笑)それもすごい。
中沢 雑誌の中でも、だんだん、
うしろにまわされてった(笑)。
最終的には
『特命係長只野仁』と
『女薫の旅』に
はさまれちゃった連載だよ。
糸井 (笑)只野仁の隣に
アースダイバーが連載されてたんだ!
連載しようと思った人はえらいなぁ。

中沢くんは、
カイエ・ソバージュという
五巻の講義録を出したことで、
ものすごい
大転換があったじゃないですか。
中沢 ええ、なんか皮がむけたっていうか。
糸井 ……今までは、
なんか、カブってたんだね。
中沢 (笑)カブってたですかね。
糸井 読んでいる側が
わかるような気がする
文章になったじゃない?
それが、
ものすごいありがたい。
中沢 きっと、いままでは
「先いかなきゃ」
って、気がせいてたんですね。
糸井 『アースダイバー』も、
やっぱりそのつづきで、いいもんなぁ。
中沢 『週刊現代』という場所だし、
読者側からの
色物をいれてほしいという
要求がありますし。
糸井 『只野』を読んでた人の
心を冷まさないでくれという?(笑)
中沢 (笑)そうそう。
読者を冷まさないで、
そのまま
神崎さんの
『女薫』に突入できるように。
糸井 バリで読んだんだけど、
ものすごい響く本なんですよね。
タモリ おもしろいですね。
ぼくはもともと地図が好きで
東京をいろいろ歩いてるんですけど、
縄文の地図というのは、
どなたかが個人的に作られたんですか?
中沢 考古学で、
部分的な地図は
もともと、いくつかあったんです。
各地の区史とかに一部は出ていた。

そういううちのひとつの地図を
東京全域に拡大して
一貫した視点でやるとどうなるのか、
というように作ってもらったんです。
コンピュータのおかげでそれができる。

国土地理院に
洪積世と沖積世の
色分けをした地図があるんですが、
それをぜんぶくっつけたんですね。
ぼくの学生の
深沢くんというのがやってくれたんです。
糸井 知らないけど、
イチ学生の深沢くんのおかげかぁ……。
中沢 そうなんです。深沢くんのおかげ。
タモリ 地図のマニアの会があるんですが、
東京の建物をぜんぶ取った地図を
作っているんです。
原野の状態はどうなっているかを……
それもコンピュータのおかげです。
中沢 地図に神社を配置していくのは、
昔の世田谷区史とか、
そういうのから取るわけですね。
糸井 中沢くんが区史を集めるんだ?
中沢 そうそう。
それで読みまくるじゃない。
毎週、五冊とか六冊ぐらい。
銀座の芸者の起源とかが書いてあって。
前から知ってたことと組みあわせるの。
糸井 えらいたいへんな調べものだね。
タモリ 古墳は都会では崩されてますけど、
ちゃんと載っているのは、区史なんですか?
中沢 それと、
考古学の研究書には載っています。
上野から、芝、高輪にかけてが、
やはりものすごい古墳地帯です。
青山も、かなり集中してるんですよねぇ。
糸井 古墳についてのまえがきは感動した。
ぼく、群馬の生まれじゃないですか。

……授業サボってタバコを吸うのは、
屋上じゃなくて、古墳だったんです。
中沢 (笑)あははは。
糸井 だから、感動した。
おなじことが書いてあったからねえ。


(明日に、つづきます)

2005-10-04-TUE

(C)Hobo Nikkan Itoi Shinbun