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糸井 |
(いぬがタモリさんにちかよる)
……あ、ブイヨン、
おねえさんのとこ行ってなさい!
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タモリ |
(笑)こいつは、
かならず突撃してくるね。
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糸井 |
(笑)そうです。
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タモリ |
(笑)かならずくる。
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糸井 |
初対面の時、
毛の生えかわる時期で、
タモリさんの黒いスーツが
毛だらけになって……(笑)
『アースダイバー』って、
どのぐらいかかってつくったの?
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中沢 |
アースダイバーは一年。
『週刊現代』の連載だよ?
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糸井 |
(笑)それもすごい。
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中沢 |
雑誌の中でも、だんだん、
うしろにまわされてった(笑)。
最終的には
『特命係長只野仁』と
『女薫の旅』に
はさまれちゃった連載だよ。
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糸井 |
(笑)只野仁の隣に
アースダイバーが連載されてたんだ!
連載しようと思った人はえらいなぁ。
中沢くんは、
カイエ・ソバージュという
五巻の講義録を出したことで、
ものすごい
大転換があったじゃないですか。
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中沢 |
ええ、なんか皮がむけたっていうか。
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糸井 |
……今までは、
なんか、カブってたんだね。
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中沢 |
(笑)カブってたですかね。
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糸井 |
読んでいる側が
わかるような気がする
文章になったじゃない?
それが、
ものすごいありがたい。
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中沢 |
きっと、いままでは
「先いかなきゃ」
って、気がせいてたんですね。
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糸井 |
『アースダイバー』も、
やっぱりそのつづきで、いいもんなぁ。
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中沢 |
『週刊現代』という場所だし、
読者側からの
色物をいれてほしいという
要求がありますし。
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糸井 |
『只野』を読んでた人の
心を冷まさないでくれという?(笑)
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中沢 |
(笑)そうそう。
読者を冷まさないで、
そのまま
神崎さんの
『女薫』に突入できるように。
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糸井 |
バリで読んだんだけど、
ものすごい響く本なんですよね。
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タモリ |
おもしろいですね。
ぼくはもともと地図が好きで
東京をいろいろ歩いてるんですけど、
縄文の地図というのは、
どなたかが個人的に作られたんですか?
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中沢 |
考古学で、
部分的な地図は
もともと、いくつかあったんです。
各地の区史とかに一部は出ていた。
そういううちのひとつの地図を
東京全域に拡大して
一貫した視点でやるとどうなるのか、
というように作ってもらったんです。
コンピュータのおかげでそれができる。
国土地理院に
洪積世と沖積世の
色分けをした地図があるんですが、
それをぜんぶくっつけたんですね。
ぼくの学生の
深沢くんというのがやってくれたんです。
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糸井 |
知らないけど、
イチ学生の深沢くんのおかげかぁ……。
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中沢 |
そうなんです。深沢くんのおかげ。
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タモリ |
地図のマニアの会があるんですが、
東京の建物をぜんぶ取った地図を
作っているんです。
原野の状態はどうなっているかを……
それもコンピュータのおかげです。
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中沢 |
地図に神社を配置していくのは、
昔の世田谷区史とか、
そういうのから取るわけですね。
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糸井 |
中沢くんが区史を集めるんだ?
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中沢 |
そうそう。
それで読みまくるじゃない。
毎週、五冊とか六冊ぐらい。
銀座の芸者の起源とかが書いてあって。
前から知ってたことと組みあわせるの。
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糸井 |
えらいたいへんな調べものだね。
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タモリ |
古墳は都会では崩されてますけど、
ちゃんと載っているのは、区史なんですか?
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中沢 |
それと、
考古学の研究書には載っています。
上野から、芝、高輪にかけてが、
やはりものすごい古墳地帯です。
青山も、かなり集中してるんですよねぇ。
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糸井 |
古墳についてのまえがきは感動した。
ぼく、群馬の生まれじゃないですか。
……授業サボってタバコを吸うのは、
屋上じゃなくて、古墳だったんです。
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中沢 |
(笑)あははは。
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糸井 |
だから、感動した。
おなじことが書いてあったからねえ。
(明日に、つづきます)
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