── |
手にしてくれた人に、
ゲームのおもしろさをきちんと説明して、
最後まで導いてあげる。
それは本当にすばらしいことだと思うんですけど、
手にする以前、「なんだかよくわからないなあ」
っていう人もきっといますよね? |
山上 |
はい、そうですね。 |
── |
「シュミレーションRPG」って言った時点で
なんだかピンとこない人。
『ファイアーエムブレム』というシリーズの
行き先を考えるうえで、僕はそういった人も
無視できないと思うんですけれど。
たとえば山上さんは、
「『ファイアーエムブレム』って
どんなゲームなの?」って聞かれたときに
どうお答えになります? |
山上 |
まず、映画でも本でもいいんですけど、
物語の先を知っていく楽しみというのが
あると思うんですよ。
それがあるからこそ、みんな本や映画で、
物語を楽しんでると思うんですけども、
ゲームにもそういうものが
あるんだよということを
伝えてあげたいと思います。 |
── |
うんうん。 |
山上 |
で、ゲームが映画や本と違うのは
自分が操作した結果によってその物語が
微妙に変化するんです。
努力の結果よい話になったり、
力及ばずに悪い結果が出たりするのが
映画や本と違うところなんです、
っていうような話をしたいと思います。
そういうふうに
『ファイアーエムブレム』を説明すると
少しは興味を持ってもらうことができるかな。 |
── |
で、「なるほど」と。「ちょっと興味を持った」と。
「で、どんなゲームなの?」って言われたら? |
山上 |
難しいですね(笑)。 |
── |
僕、いま、ゲーム初心者役ですからね(笑)。
「どんなゲームなの?」 |
山上 |
ええと、このゲームは、
主人公の女の子が成長していく過程を
ゲームにしたものなんです。
技を覚え、仲間を増やし、敵を倒しながら、
主人公の女の子は成長していきます。 |
── |
初心者役として質問を続けますね。
「『マリオ』みたいに、
飛んだり跳ねたりするゲームなの?」 |
山上 |
飛んだり跳ねたりは、しません。 |
── |
「じゃあ、『ドラクエ』みたいなやつ?」 |
山上 |
う〜ん、そうですねえ……。 |
── |
意地悪な質問ですいません(笑)。 |
山上 |
いえいえ(笑)。
ええと、『ファイアーエムブレム』は、
『ドラクエ』のように、あちこち行って、
いろんな人に話しかけたりするんじゃなくて、
基本的に一本道なんです。
要するに、面を攻略すれば話は進んでいくんです。
|
── |
ああ、なるほど。
じゃあ「面を攻略する、ってなに?」 |
山上 |
簡単にいうと、敵を倒すことです。
敵を倒しさえすれば、お話が進みます。 |
── |
「どうやって敵を倒すの?」 |
山上 |
基本的には、マスで区切られたなかを、
自分の駒を動かしていきます。
チェスであるとか将棋であるとかを、
思い起こしてもらえればいいと思います。 |
── |
なるほど。 |
山上 |
ただ、将棋やチェスっていうのは、
駒のひとつひとつに、動き方の決まりがあって、
強いか弱いかの判断が、
いわば向き合った一瞬に判断されますよね。
駒と駒が重なった瞬間に、勝負がつく。
それがどんどんつながっていってゲームになる。 |
── |
そうですね。 |
山上 |
『ファイアーエムブレム』のシステムも
それに近いんですけど、将棋やチェスのように、
出会った一瞬で決着がつくのではない。
ひとつひとつの駒は、武器や防具を持っていて、
その駒がどう攻撃するかによって
微妙にその勝敗が変化する。
そういうふうにお伝えしたいです。
|
── |
なるほどなるほど。 |
山上 |
さらにそこに確率の要素も入っていて、
駒の力が相手に数値的に劣っていても、
必ずしも相手に負けるとは限らない。 |
── |
運の要素がある。 |
山上 |
ええ。ほかにも、さまざまな要素がからんでいて、
より有機的な、将棋、チェスを楽しむことができる。
そういうふうに説明するのが
いいのかもしれないですね。 |
── |
そう噛み砕いていくしかないでしょうね。
しかもその駒ひとつひとつが、
戦いに勝つことによって成長していく。
成長していくから、駒のひとつひとつが愛しくなる。 |
山上 |
そうですね。 |
── |
『マリオ』みたいに
飛んだり跳ねたりするわけじゃない。
『ドラクエ』みたいに
世界のあちこちを歩き回るわけじゃない。
どちらかというと、将棋やチェスみたいなんだけど、
駒のひとつひとつにドラマがあって、
その後ろにはさらに大きな物語が流れている。 |
山上 |
はい。自然とひとつひとつの駒に愛着がわいて、
自然と先の話が気になるようになるんですよね。
よく、『ファイアーエムブレム』は、
キャラクターを死なせてはいけないから難しい、
なんてことを言われますけど、
べつにそんなことはないんですよね。
死なせてしまっても、ゲームは進められる。 |
── |
そういう決まりはないんだけど、
自然と、「死なせたくない!」って
思っちゃうんですよね。 |
山上 |
愛着が湧きますからね。
やっていただければ、自然とそうなると思いますし、
そうなったときは、十分、このゲームを
楽しんでいただけているということだと思います。
だから私が言いたいのはまさにそういうことで、
「死なせちゃだめなんて、難しそう」
とか、いろいろ考えるのではなく、
とにかくプレイしていただきたい。
とくに『烈火の剣』では、そこから、
ゲームのおもしろさに導く工夫はしましたから、
自然とキャラクターに愛着が湧いて、
自然とお話の続きが気になるようになると思います。
そういうふうに感じていただけたら
あなたは立派なこのゲームのファンですよ、と、
そういうふうに思います。 |
── |
本当にそうですね。 |