── |
『ファイアーエムブレム』って、
触ってくれさえすれば、
じつはあまりゲームの経験がない人でも
楽しめる要素をたくさん持ってるんですよね。 |
山上 |
それは本当にそう思いますね。 |
── |
そんなにアクション性が必要なわけでもないし、
毎日少しずつ進めることができるし。 |
山上 |
はい。最初のルールさえ飲み込むことができれば、
仕組み自体はシンプルです。
攻略する面があって、そこを攻略すれば、
お話がどんどん進んでいく。
だから、ほかのRPGなんかをやって、
「お話は進めたいんだけどたいへんなんだよな」
って思っている人にはぜひやってほしいですね。 |
── |
うんうん。 |
山上 |
十分に、十二分に、十五分に、といっていいくらい
楽しんでいただけると思います。
シミュレーション部分の、
ほんとに少しのことを覚えるだけで、
すぐ敵を倒す喜びがわかると思いますので。 |
── |
しかも今回は覚えることも順々に一個ずつ、
という作りになっていて、
極端に言えば説明書がいらない。 |
山上 |
そうです。まったくいりません。
ひとつのことを覚えたら
それ以上に話が進むので、
覚えることが苦じゃなくなるんですね。 |
── |
なるほど。 |
山上 |
ずっと慣れていってゲームに馴染めば、
あとは愛着がそれぞれのキャラクターに
出てきますから、その子を守るために
俺は何をすればいいんだっていうところから、
いろんなテクニックをさらに覚えていく。
そうなるともうそれは楽しみの一部であって、
覚えなきゃとかいうものではないので、
つらい思いはしないと思います。
そういう意味では、今回そこへ行くまでを
きちんとフォローしてますので、
もうほんとにストーリーのあるゲームを
楽しみたい方には誰でもお勧めできます。
買っていただいたら必ず満足できるという、
そういうふうな作りになっていると思います。 |
── |
もう、本当に買っていただくだけ、と(笑)。 |
山上 |
ほんとにね、みなさんに、テストプレイを
していただきたいくらいなんですよ。
触っていただければわかると思います。
『ファイアーエムブレム』は
もともとそういうポテンシャルを
持っていたゲームなんですよ。
|
── |
山上さん、本当に切実ですね(笑)。 |
山上 |
はい。それだけ自信がありますから。
『エムブレム』ってそれくらい、おもしろいんです。
ただ、やはりそのアピールの仕方が
いままでは未熟だったと思うので。 |
── |
たしかに、スタンダード作品と呼べるくらい、
真っ直ぐな魅力がありますよね。
でも、いつの間にか、どちらかといえば
コアな作品になってしまっていて。 |
山上 |
ええ。だからこそ、スタッフが
なかなか決断できなかったんです。
決してマニアックなものを作ってるつもりはない。
だけどいつの間にかそうなってしまってたんですね。 |
── |
ニンテンドウ64やゲームキューブなどの機種で
続編が出なかったということも
新規のファンがつかなかった原因かもしれません。 |
山上 |
ですから、『烈火の剣』の人気が出れば、
つぎはキューブでやろうと思ってます。 |
── |
おお、それはうれしい発言ですね! |
山上 |
僕はやりたいと思ってます。
でも、やっぱり組織として作っているものですから、
売れなかったら難しいんですよ。
もう、わかりやすく言っちゃいますけど。
だから、本当に売れてほしい。
たくさんの人に買っていただきたい。
それだけのおもしろさがありますから。 |
── |
いや、そこまで言ってくれることを、
ぼくは、カッコいいと思いますよ(笑)。
なかなかそこまでストレートに
言ってくださる方ってあんまりいないです。 |
山上 |
だって、こんないいものないですよ! |
── |
(笑) |
山上 |
大げさに言ってるわけじゃないです。
ほんとに。十分なポテンシャルを持ってます。
やっぱり、いいものは、いいんです。
手前味噌ではありませんので。 |
── |
「手前味噌ではありません」(笑)。 |
山上 |
正直、最近の『ファイアーエムブレム』は
難しかったと僕は思っています。
これでは、ユーザーの数は増えていかない。
「これは絶対変えなきゃダメだ」と思ったんです。 |
── |
ファンだからこそ、「これじゃいかん」と。 |
山上 |
そうです。
『ファイアーエムブレム』シリーズ特有の、
高いレベルの満足感、充実感を、
もっと広くの人に味わってもらいたいんですよ。
こんないいものをね、少しの人間だけしか
味わえないというのはおかしいと思うんです。
そのためには、変えるべきところは変えなくては。 |
── |
突っ込んだ質問になりますけど、
その山上さんの姿勢は開発スタッフ内で、
軋轢を生んだりしなかったんですか? |
山上 |
生まないようにきちんと説得をしました。
最初は、抵抗があるという人もいました。
でもね、「そのほうが多くの人にやってもらえる」
っていう言葉に対して
反論できる人はいないはずです。 |
── |
……なるほど。 |
山上 |
売れる、というと言葉が悪いかもしれませんが、
やはり、多くの人にやってもらうという意味で、
売れなきゃいけないわけです。だって、極端な話、
このままユーザーの数が減っていけば、いつか、
『ファイアーエムブレム』を作るのか、止めるのか、
っていう議論をしなければいけなくなる。 |
── |
そこまでの決意なんですね。 |
山上 |
そこまで考えなければいけないと思うんです。
スタッフはずっと作り続けたいわけですよね。
そしたらもうやるしかないんですよ。 |
── |
うん。 |
山上 |
だから、こういうふうにきちんと段階を経て
説明をしていけば、誰ひとりとして、
反対する人はいないです。 |
── |
なるほど、わかりました。 |
山上 |
あと、こんなふうにいうと、
昔からのファンの人は、硬派な『エムブレム』が
ヌルいゲームになってしまったんじゃないかと
心配するかもしれません。
けどね、本当にそれは大丈夫です。
そんなことは杞憂だって断言できます。
|
── |
おもしろさの本質は変わっていないと。 |
山上 |
一切、変わっていません。
私が提案したのは、ゲームのよさを、
多くのみなさんに伝えるの工夫だけです。
『エムブレム』は『エムブレム』です。
だから心配しないでくれ、と。
心配せずに「買ってくれ!」と。 |
── |
うわあ(笑)! |
山上 |
『ファイアーエムブレム』が好きなら
買ってくれ! と。
『エムブレム』ファンなら、心配すんな! と!
これは、このまま書いてもらっていいです |
── |
はい(笑)。 |
広報 |
こんなインタビュー、はじめてですよ(笑)。 |
── |
ぼくもここまでストレートな言葉は
聞いたことないです(笑)。
でもね、こういうことは、
微妙にオブラートでくるんだりするよりは、
さっさと言ってもらったほうががわかりやすい。 |
山上 |
だって僕自身が『ファイアーエムブレム』の
昔からのファンなんですよ。
だから、『エムブレム』のよさを、
中途半端に変えるわけがないです!
そんなことをするわけがない!
僕が提案したのは、おもしろさの本質へ、
初めて遊ぶみなさんを導くための工夫にすぎない。
そこはもう、強調しておきたいと思います。 |
── |
だから、とにかく遊んでくれ、と。 |
山上 |
本当にそう思います。
一度、手にとって、プレイしてみてほしいです! |
── |
わかりました。いや、いいインタビューでした(笑)。
ありがとうございました! |
山上 |
ありがとうございました! |