岩田 | そうそう、 宮本さんの20年の執念が実って ついに似顔絵をゲームに組み込むことに 成功したMiiなんですが、 野上さんはMiiのシステムも作ったんですよ。 だから、Miiのことはものすごく詳しいし、 社内のプロジェクトでMiiのことで困ったときは 野上さんのところに相談に行くくらいなんです。 ※Mii Wiiに内蔵されている似顔絵作成ソフトで 作り出せるキャラクター。 宮本さんはファミコンの時代から 「似顔絵」をゲームに取り入れることを模索し、 20年後のMiiでようやく形となった。 |
糸井 | へぇー。 |
岩田 | さすがに『どうぶつの森』でもMiiを使う話が 最初からあったと思いますが、 あの美容室でMiiの顔になれるアイデアは どういった経緯で生まれたんですか? |
野上 | 自分でMiiを作ったんだから、 『どうぶつの森』でも使わないわけには いかなかったんですよ。 |
一同 | (笑)。 |
岩田 | 義務感? |
野上 | 義務感というか、 ゲームを開発しているいろいろな人に 「Miiをゲーム中に使ってください」って お願いしてるんだから 自分でも使わないと、と思って。 で、まず最初にプレイヤーの顔そのものを Miiにするかどうかを検討しましたね。 でも、それをやるのは違うかな、って すぐに却下となりました。 |
糸井 | 「違うかな」は試して考えてみるんですか? それとも、違うだろうなと思ってるんですか? |
野上 | 違うなと思いながら試してみました。 で、やっぱり。 |
糸井 | なるほど。 プレイヤーのほうも多分一度は 「やってみたい!」と思って試すんですよね。 僕も実際にやってみたけど、 現実感が出ちゃってダメだったんです。 自分のはずなのに 「このままの格好でいたい」って思えない。 つまり、あのキャラは 「自分であってはいけないもの」 なんじゃないかなぁ。 |
野上 | そうですね。 でも、あれを自分にしたい人もいるだろうな、 とも思ったんで、いつでもつけられて、 いつでも外せる仕様にしました。 |
岩田 | 多分、これって心の鎧を脱ぐから 快適に遊べるゲームなんですよ。 で、心の鎧を脱ぐのにMiiだと脱げなくなる人と、 Miiでもぜんぜん脱げちゃう人がいるわけです。 |
糸井 | うん、あとは多分アートディレクションの 問題なんじゃないかな。 『どうぶつの森』の世界観とMiiの世界観を 混ぜたときの違和感がものすごくあるんですよね。 それこそディズニーランドに来た 「キティちゃん」みたいな感じで。 多分キティちゃん自身だって 「入っちゃダメだな」って思うはずなんですよ。 |
一同 | (笑)。 |
糸井 | うちの乗組員のモギが 「俺たち、かわいいな。2頭身はいいな。」 っていう名言を残してるんですね。 でもその言葉って、 Miiのままじゃ絶対に言えないんですよ。 |
岩田 | うんうん。 |
糸井 | 僕自身もその2頭身のキャラに対する気持ちを持っていて、 これもやっぱりモギの話なんですが、 モギが村に遊びに来たときに その2頭身のキャラにすごく似合う服を着てたんですね。 そのときに思わず「お前、今日かわいいじゃん」 みたいなことを言ったんですよ。 |
岩田 | (笑)。 |
糸井 | モギがMiiのときには 絶対に言えない言葉なんです。 |
岩田 | Miiになっていることで 『どうぶつの森』の世界と現実とが つながっちゃうんですね。 |
糸井 | そう。役者さんが何かの演技をしているときに 別人になって、それを楽しむ、ということと同じで 自分であって自分でないことを味わえるんです。 |
(つづきます) |
僕はもともとゲームをしない人なんだけど、 今回って自宅のテレビでプレイできたでしょ。 DS版にくらべると明らかに大きな画面じゃない? | |
うんうん。 | |
DS版のときも 「DSでこんなにキレイなの!?」って思ったけど 迫力はこっちが断然あるよね。 | |
思いどおりの状況に村が育っていくのが 大きな画面で見られるのがすごくうれしくて、 土日のゆったりとした時間にゲームを ダラッとやるのは楽しいんだなって思った。 それこそ、1、2時間ほど村の隅から隅まで 草花の手入れをするとかね。 |
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それはガーデニング好きっていう ぐっさんの趣味が丸出しじゃない。 |
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‥‥ほんとだ! | |
いいゲームっていうのは自分の個性が出るのね。 このゲームはその個性がモロに出まくるの。 | |
たしかに武井さん(シェフ)とか、 ものスゴイですよね。 | |
やえさんも。 | |
みんな自分が見え隠れしてるよね。 | |
糸井さんみたいに現実にあり得ないものを 作り出しちゃうのも糸井さんらしいし、 武井さんみたいに現実っぽいのも武井さんらしい。 | |
なるほど。 | |
さっきぐっさんが言ってたとおり、 DS版と比べると画面が大きくて見やすいからから 同じものを何個も揃えたりとか、 学校みたいにするみたいなテイストに 合わせたりすることがすごく印象深かったなぁ。 | |
でも、そういうことってベルがなくちゃ できないことなんだけどね。 大人としての資金力があるわけ。 そもそも「ほぼ日」の参加者たちは カブ価のメーリングを作ったりして カブを最大限に利用するプレイスタイルだから そういう「大がかりな遊び」ができたんだよ。 | |
そっかぁ。 | |
たしかに、読者の方から 「そんな高額なカブ価、見たことないです。 うらやましいです」っていう メールが来てたりしたもんね。 | |
私、村のカブ価が高騰したことあるんですけど‥‥。 |
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あ、あったあった! | |
うれしかったでしょ? | |
うれしかったです。 だってみんなもすごく喜んでくれるし。 | |
私にもそのうれしかった気持ちが 5分ほどあった気がする‥‥。 | |
一同 | あっ‥‥。 |
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(つづきます) |
2009-04-21-TUE |