森川: |
ゲームクリエイターと呼ばれることを
よしとしようという
心境の変化の理由にはもうひとつあって、
20年振りくらいに実家へ帰ったんです。
そしたら小学生くらいの知らない甥っ子とか
知らない姪っ子がいっぱいいて。 |
──: |
お互い、知らないわけですね。 |
森川: |
うん。向こうもぼくのことを知らないわけ。
そこで彼らが一生懸命、
DSで遊んでいる姿を見たんです。
そのとき、
彼らのために何か作りたい。って思ったの。
そんな、子どものために
何かものを作りたいと思ったのも、
その時初めてで。 |
──: |
そうですか! |
森川: |
で、『ガラクテイル』を作ったら喜んでくれて。
だから今度の『タシテン』も喜んでくれないかなと。
多分、今までの中ではいちばん常識人として作りました。
まぁ、そういう思いって自分の年齢になったら、
常識的なことなんですけど、
そういうことも含めて、
ゲームクリエイター、
ゲームデザイナーと言われることも、
だんだん抵抗がなくなってきて。 |
──: |
なるほど。 |
森川: |
甥っ子、姪っ子に
“ゲーム作ってる東京のおじちゃん”として
認識してもらうだけで、もう十分嬉しい。
なんというかね、
社会と接点ができたみたいな嬉しさがある。 |
──: |
もっと言うと、それはDSの浸透というものも
関係しているわけですよね。 |
森川: |
そうだね。大きいね。 |
──: |
彼らは『タシテン』を実際喜びました? |
森川: |
うん。喜んでやってくれている子と、
まったく興味のない子とぱったり分かれるね。
数字だけでもうイヤっていう子もいて、
まあ、それは覚悟してたことだから。 |
──: |
これまでに、こういう人にやってもらいたい
みたいにしてゲームを作ったことっていうのは‥‥。 |
森川: |
まったくもってない。
自分のために作ってた。
申し訳ない(笑)。 |
|
 |
──: |
そう考えると、今回の『タシテン』は、
いちばん社会性のあるゲームですね。 |
森川: |
なんか社会に参加した感覚というか‥‥。
初参加だけど。 |
──: |
大人になったというか、
成年期が終わって、
ゲームクリエイターになった。 |
森川: |
うん。
そういうことなんだろうね。 |