「デジタルカメラ全盛の恩恵が フイルムカメラにあるんですよ」 |
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「ん? どういうことですか?」 | |
「たしかにフイルムカメラ、 中古市場が活発みたいですよね」 |
お家に古いカメラがあります、 って人、けっこう、いるじゃないですか。 |
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ああ、それは面白いですね。 | |
どうしたらいいものなんでしょう。 | |
今なら、まだかろうじて、 修理ができます。 |
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まず修理? | |
うん、修理というか、 一回見てもらったほうがいいです。 機械はね、やっぱり何でもそうですけど、 使わないとどうしてもやっぱり 油が切れたりとかするから、 一回見てもらったほうがいいと思う。 |
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例えばコンタックスなんか メーカー自体がなくなっちゃって‥‥ |
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あ、大丈夫、大丈夫。 | |
大丈夫なんですか。 | |
大丈夫。 コンタックスはまだ 京セラが修理を受けてくれますよ。 |
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もっと古いカメラは どういうところに持っていけばいいんですか。 |
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駅前の大型店とか持っていくんですか。 | |
いや、大手の量販店じゃないな。 | |
じゃあ、写真館とか? | |
いや、それも違う。 中古カメラを扱っているカメラ屋さんに 持っていくのがいいですよ。 |
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ああ! ネットで 中古カメラのメンテナンスとか、 ありますね。 |
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じつはいっぱいあるんですよ。 | |
それはネットでもいいですか。 つまり、対面販売じゃなくても大丈夫? |
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大丈夫です。 | |
「オーバーホールしてください」 って言えばいいんでしょうか。 |
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まずは「点検してください」ですね。 いきなり、オーバーホールしてください、 って言うと、すごくお金がかかっちゃうかも。 |
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あ、そうなんですか? | |
オーバーホールって、 バラバラにして掃除して わるいところは修理して また組み立て直すみたいな、 けっこうな大仕事なんですよね。 |
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うん。だからまずは点検してもらって、 油入れれば大丈夫、くらいだったら そうしてもらえばいいです。 驚くような金額ではないと思います。 |
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じゃあ、修理が必要だと言われたら 見積もりを見てから判断すればいいんだ。 |
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そうですね。 | |
それやってみようかな。 | |
え、カメラ古いの持ってるの? | |
古いのあるんですけど、 なんかね、ちょっとおかしいんです。 レンズ回すと、ガリって‥‥ |
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それは、油切れですね。 | |
で、勝手にシャッターが カシャっておりちゃって。 |
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たぶん「グリスアップ」すれば いけちゃうと思いますよ。 |
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グリスアーップ!(笑) って、なんですか。 |
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車の用語ですよね。 | |
カメラでも使うの。 グリス(グリース=油)を補充すること。 |
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なるほど。 引っ張り出してみます。 |
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そうか、まず点検。 必要だったら修理、 余裕があればオーバーホール。 |
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はい。 | |
で、フイルムで撮ってみたらいいよと。 | |
そうですね、今直しておけば、 多分20年、30年、 フイルムがなくならない限りは使えますから。 |
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でもそれ、機械のカメラの話ですよね。 | |
そうです。 | |
ちょっと前の、コンピュータ式の フイルムカメラはどうですか。 修理ができないカメラも もしかしてあるんじゃないですか。 |
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ものによってはあるかもしれないね。 古いカメラのほうがかえって大丈夫です。 コンピュータ化された、 微妙な世代のほうが かえって厳しいかもね。 |
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そうですね。 具体的にどの時代は大丈夫、 どこからダメ、みたいなことは ぼくにもわかりませんが、 現存しているメーカーなら、 直接、相談したらいいと思いますよ。 |
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「使いたいんですけど、 使えるようになりますか」って。 |
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それにね、今、デジタルカメラが これだけ全盛になってるから、 中古フイルムカメラがすごく安いんです。 もうウホウホですよ、ぼく(笑)。 |
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菅原さんってプロだけど‥‥ | |
プロだから、なのか(笑)‥‥ | |
そういうところ、すごく、 アマチュアのこころが‥‥ |
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もうさ、武井さんも好きな アンリ・カルティエ=ブレッソン、 ぼく、今もう カルティエ=ブレッソンスタイルだから。 |
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え? ブレッソンが使ったカメラを どんどん買い集めてるってこと? |
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そう! ブレッソンが使っていたような 仕様にして使ってるの。 |
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はぁー‥‥。 | |
III fっていう、バルナック型といって M型の前の軽くてちっちゃいライカに ブレッソンがつけてた ユニバーサルファインダーという、 虫めがねみたいなのをつけてね、 目測でプップップッと合わせてさ、 パシャッて押せばピントばっちり。 |
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武井さん、わかります? | |
おぼろげに。 たぶん菅原さんは ブレッソンが大好きなんですよ。 |
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もうブレッソンになりたい! まずは形からだなと思ってさ。 |
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いつも人のこと 形から入ってっていうくせにね。 |
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ねえ(笑)。 | |
でもブレッソンって人はやっぱり、 まとまった写真集をちゃんと見たり オリジナルプリントを見ると あらためて、本当にすごいですよね。 |
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あのね、騙されたと思って、 ちょうど岩波から 『スクラップブック』っていう本の 翻訳が出たから読むといいよ。 2冊買っちゃった。 あれ、すごく勉強になるよ。 『写真がもっと好きになる。』より ずっと勉強になるよ。 |
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何を言っているんですか。 | |
ベタ焼きとか全部載ってて、 文章も全部載ってるわけ。 彼がどういうつもりで その写真を撮っていたかということが 全部書かれてて。 |
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あ、そうか、ベタ焼きがあるということは、 彼の考える過程がわかるわけですね。 |
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そうなの。 何十年も写真やってるけど、 そんな僕でも、 「ああ、そうか!」 と思うことがいっぱいあった。 |
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へぇー。 | |
へぇー。 | |
ブレッソンはいまだに いくらでも学ぶことがある‥‥ ビートルズですね。 |
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そうですね。 | |
(つづきます) |