#41 ■家の古いカメラ、どうしましょう。その3うんと古いフイルムカメラは?

講師

菅原一剛 「デジタルカメラ全盛の恩恵が
 フイルムカメラにあるんですよ」

今回の部員

山下 「ん? どういうことですか?」
シェフ 「たしかにフイルムカメラ、
 中古市場が活発みたいですよね」
シェフ お家に古いカメラがあります、
って人、けっこう、いるじゃないですか。
山下 ああ、それは面白いですね。
シェフ どうしたらいいものなんでしょう。
菅原一剛 今なら、まだかろうじて、
修理ができます。
シェフ まず修理?
菅原一剛 うん、修理というか、
一回見てもらったほうがいいです。
機械はね、やっぱり何でもそうですけど、
使わないとどうしてもやっぱり
油が切れたりとかするから、
一回見てもらったほうがいいと思う。
シェフ 例えばコンタックスなんか
メーカー自体がなくなっちゃって‥‥
菅原一剛 あ、大丈夫、大丈夫。
 
シェフ 大丈夫なんですか。
菅原一剛 大丈夫。
コンタックスはまだ
京セラが修理を受けてくれますよ。
山下 もっと古いカメラは
どういうところに持っていけばいいんですか。
シェフ 駅前の大型店とか持っていくんですか。
菅原一剛 いや、大手の量販店じゃないな。
シェフ じゃあ、写真館とか?
菅原一剛 いや、それも違う。
中古カメラを扱っているカメラ屋さんに
持っていくのがいいですよ。
山下 ああ! ネットで
中古カメラのメンテナンスとか、
ありますね。
菅原一剛 じつはいっぱいあるんですよ。
シェフ それはネットでもいいですか。
つまり、対面販売じゃなくても大丈夫?
菅原一剛 大丈夫です。
 
シェフ 「オーバーホールしてください」
って言えばいいんでしょうか。
菅原一剛 まずは「点検してください」ですね。
いきなり、オーバーホールしてください、
って言うと、すごくお金がかかっちゃうかも。
シェフ あ、そうなんですか?
山下 オーバーホールって、
バラバラにして掃除して
わるいところは修理して
また組み立て直すみたいな、
けっこうな大仕事なんですよね。
菅原一剛 うん。だからまずは点検してもらって、
油入れれば大丈夫、くらいだったら
そうしてもらえばいいです。
驚くような金額ではないと思います。
シェフ じゃあ、修理が必要だと言われたら
見積もりを見てから判断すればいいんだ。
菅原一剛 そうですね。
山下 それやってみようかな。
シェフ え、カメラ古いの持ってるの?
山下 古いのあるんですけど、
なんかね、ちょっとおかしいんです。
レンズ回すと、ガリって‥‥
菅原一剛 それは、油切れですね。
山下 で、勝手にシャッターが
カシャっておりちゃって。
菅原一剛 たぶん「グリスアップ」すれば
いけちゃうと思いますよ。
シェフ グリスアーップ!(笑)
って、なんですか。
山下 車の用語ですよね。
菅原一剛 カメラでも使うの。
グリス(グリース=油)を補充すること。
山下 なるほど。
引っ張り出してみます。
シェフ そうか、まず点検。
必要だったら修理、
余裕があればオーバーホール。
菅原一剛 はい。
シェフ で、フイルムで撮ってみたらいいよと。
菅原一剛 そうですね、今直しておけば、
多分20年、30年、
フイルムがなくならない限りは使えますから。
シェフ でもそれ、機械のカメラの話ですよね。
菅原一剛 そうです。
シェフ ちょっと前の、コンピュータ式の
フイルムカメラはどうですか。
修理ができないカメラも
もしかしてあるんじゃないですか。
菅原一剛 ものによってはあるかもしれないね。
古いカメラのほうがかえって大丈夫です。
コンピュータ化された、
微妙な世代のほうが
かえって厳しいかもね。
菅原一剛 そうですね。
具体的にどの時代は大丈夫、
どこからダメ、みたいなことは
ぼくにもわかりませんが、
現存しているメーカーなら、
直接、相談したらいいと思いますよ。
シェフ 「使いたいんですけど、
 使えるようになりますか」って。
菅原一剛 それにね、今、デジタルカメラが
これだけ全盛になってるから、
中古フイルムカメラがすごく安いんです。
もうウホウホですよ、ぼく(笑)。
シェフ 菅原さんってプロだけど‥‥
山下 プロだから、なのか(笑)‥‥
シェフ そういうところ、すごく、
アマチュアのこころが‥‥
菅原一剛 もうさ、武井さんも好きな
アンリ・カルティエ=ブレッソン、
ぼく、今もう
カルティエ=ブレッソンスタイルだから。
シェフ え?
ブレッソンが使ったカメラを
どんどん買い集めてるってこと?
菅原一剛 そう!
ブレッソンが使っていたような
仕様にして使ってるの。
シェフ はぁー‥‥。
菅原一剛 III fっていう、バルナック型といって
M型の前の軽くてちっちゃいライカに
ブレッソンがつけてた
ユニバーサルファインダーという、
虫めがねみたいなのをつけてね、
目測でプップップッと合わせてさ、
パシャッて押せばピントばっちり。
山下 武井さん、わかります?
シェフ おぼろげに。
たぶん菅原さんは
ブレッソンが大好きなんですよ。
菅原一剛 もうブレッソンになりたい!
まずは形からだなと思ってさ。
シェフ いつも人のこと
形から入ってっていうくせにね。
山下 ねえ(笑)。
シェフ でもブレッソンって人はやっぱり、
まとまった写真集をちゃんと見たり
オリジナルプリントを見ると
あらためて、本当にすごいですよね。
菅原一剛 あのね、騙されたと思って、
ちょうど岩波から
『スクラップブック』っていう本の
翻訳が出たから読むといいよ。
2冊買っちゃった。
あれ、すごく勉強になるよ。
『写真がもっと好きになる。』より
ずっと勉強になるよ。
シェフ 何を言っているんですか。
菅原一剛 ベタ焼きとか全部載ってて、
文章も全部載ってるわけ。
彼がどういうつもりで
その写真を撮っていたかということが
全部書かれてて。
シェフ あ、そうか、ベタ焼きがあるということは、
彼の考える過程がわかるわけですね。
菅原一剛 そうなの。
何十年も写真やってるけど、
そんな僕でも、
「ああ、そうか!」
と思うことがいっぱいあった。
 
山下 へぇー。
シェフ へぇー。
シェフ ブレッソンはいまだに
いくらでも学ぶことがある‥‥
ビートルズですね。
菅原一剛 そうですね。
  (つづきます)
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2009-12-28-MON