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伝統工芸って、日本家屋の薄暗闇の中で見るものなので、
その展示も、神社のある建物で、
照明を落として、外光が仄かに入るなかで観るんですよ。
そうすると、螺鈿の輝きとか、
金工(きんこう)の鈍い光とかが、
ちゃんと撮れたんです。
そこら辺が、やっぱり、すごかったなぁと。
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菅原 |
45ミリっていうと、
いわゆる標準レンズって言われるように、
ぼくの感覚では、パッと見た時の、
実際の見た目よりはちょっとワイドではあるものの、
いわゆる「印象」が写るレンズじゃないですか。
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山木 |
はい。
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菅原 |
一方、28ミリっていうのは、
見るというよりも、受け入れてるっていうか。
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山木 |
おっしゃる通りだと思います。
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菅原 |
75ミリくらいになると、
しっかりぐっと見た時の、
視点がはっきりするレンズだったりするんです。
で、その3つは、バラバラになってるほうが、
絶対、写真はよくなる。
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山木 |
そうだと思うんです。
そういった捉え方で、あえて言うと、
DP1.5くらい、35ミリ辺りがあると、
もうちょっと便利かなって思う時もあるんです。
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菅原 |
そうですね。
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山木 |
たしかにワイドでその時の「場」みたいなのを
そのまま撮りたいっていう場合もあるし。
その被写体との関係をきちっと作りたい時は、
やっぱり標準レンズの45ミリだし、
ちょっと切り取りたいなっていえば、
中望遠の75ミリっていう感じになって。
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菅原 |
そうですよね。
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山木 |
じつは私自身、写真が下手なんです。
若い頃、学生の頃は、スポーツのほうが好きで、
あんまり写真を撮ってなかったんですよ。
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菅原 |
そうでしたか(笑)。
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山木 |
それで、あとになってから写真を撮り始めたんですけど、
やっぱり下手なんです。
そういう身には、単焦点のほうがやりやすい。
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菅原 |
視点が乗っからないんですよね、ズームだと。
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山木 |
ズームだと、何を撮ってもつまらないなあ、
と思っていたあるとき、
単焦点だけを持って外に出たんです。
28ミリのF1.8っていう単焦点レンズを
ニコンのF3かな、に付けて行ったら、
「なかなか絵にならないぞ」なんて思いつつ
いろいろ工夫していたら、
「あれ?」っと思うような写真が撮れるようになって。
そこからわかってきたのは、
画角が決まると、
自分のものの見方が決まるということなんです。
「こういう写真を撮ろう」っていう気持ちになる。
そうなると、わりと、スッスッと決まるんですね。
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菅原 |
そう思います。
ぼくも写真、うまくないんですよ。
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一同 |
いやいや!
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菅原 |
(笑)いや、本当に、うまくないと思っています。
だけど、視点が乗っけられるようになったんですよ。
「何を見てるか」っていうことですね。
それは、やっぱり、ズームレンズだと、絶対にできない。
乗っからないんですよ。
「いい写真」って、
きれいに切り取られた写真も、
一方であると思うんですけど、
ぼくは、それはできない。
そうじゃなくて、何を見たかが
はっきりわかってる写真を
「いい写真」だと思って撮っているんです。
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菅原さんが、ぼくらの写真を、
多少なりとも褒めてくださる時は、そうですよね。
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菅原 |
そうです。
何を撮ったか、何が撮りたかったか、
ちゃんとわかる写真。
(次週につづきます) |