が、 と私のところに お菓子を持ってきてくれました。
 「お菓子がふたつあまったので、 よかったらおふたりでどうぞ」
 「わーい、ありがとうございます」
ふじたさん、お先にどうぞ。
 「‥‥‥‥‥‥‥」
どうしたの?
 「スガノさんって、京都の人ですよね」
そうだけど?
 「京都は、先輩後輩の序列が厳しい印象があって‥‥。 昔、同郷のともだちが、京都で働いていたときに、 年上の方をさしおいてお菓子を先に取ってしまい、 『あんたは京都の子やなかったよね』と なぐさめるように言われたというエピソードを 話してくれたことがありました。 それを、いま、このとき、 思い出しました」
先にお取りやす。
 「ひぃっ。なぜ急に京都の言葉に!」
結局ふじたは先にお菓子に手を伸ばし、 私に、どちらかというと無骨な、 繊細ではない茶色いほうを残してくれました。 ごちそうさまでした。
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