社長に学べ!
おとなの勉強は、終わらない。


第5回 「実行」がむずかしい

糸井 絵にするという話から、
ずいぶんタメになることばかり
おっしゃっていただいていますけど……
こんな話を、
みんなに教えちゃっていいんですか?
原田 だいじょうぶ。

この機密事項の絵さえ
見せなければだいじょうぶ。

私たちは計画をこうして形にしましたが、
ただ、いちばん難しいのは
これからなんです。

三十人が四か月ぐらいかけて、
これから三年ぶんの計画を立てました。
希望が見えてきました。

ただしそれは
「受験勉強のスケジュール表を作って、
 なんか満点取れたような
 気持ちになる感覚」
と、極めて似ているんです。
糸井 わかるわかる。
計画ってそういうものですよね。
原田 期末試験で
対策のスケジュールを立てるじゃない。
だけど実際は勉強しないで、
結局は一夜漬けになるでしょう?

それはプロのビジネスでは許されない。
だから実行が大変なんです。
実行には実行のノウハウがあるんです。

計画はできてしまえば
誰が見ても当たり前のことです。
だけど
「その当たり前のことを
 みんなに実行させる」
というのが次の戦略になります。

実行する時によそ見をする人が出たり、
レースから外れる人が出たり、
「体力の差があるから
 俺はここで休ませてくれ」
と言い出す人が
出てくることになりますから。

だから実行がいちばん大事で、
どうやって実行するのかについての
ミーティングを、今日からはじめています。
糸井 計画は論理的に作ることができますが、
実行する際には、
人間の心理だとか
曖昧な要素がどんどん増えてくるから、
計画が、うまく作れていればいるほど、
じれたりするものですよね。
原田 人間っていうのは、
「こうしなきゃいけない」
「こうしよう」
と、行き先を見据えて、
どういうルートで進むのかを
自分のアタマで考えられる人間と、

「ここから五十メートル直進して、
 左折して、
 しばらく進んだら右に入って、
 バスに乗っていくら払って……」

と、ぜんぶ
伝えなければならない人間と、
いろいろな対応が
必要な場合があるんです。
糸井 ええ、それが当たり前ですよね。
原田 そういうさまざまな人の中で、
目的を伝えて、
自分でルートも手法も考えて、
必ず結果を出すというのが
経営者だと思います。

やるべきことを各部署に細分化して、
それぞれのレベルで
最適にしていくことが中間管理職です。

最初は言われたとおりに
道を歩くんだけど、それから次には
人の管理ができるようになる、
というのが若者です。

今、中間管理職と言いましたが、
「管理」というよりは
ナビゲーターですからね。

ひとりひとりが
きちんと目的を達成できるように
サポートしてあげるのが
マネージメントなのだと考えています。
  (つづきます)


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2004-12-30-THU



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