糸井 |
絵にするという話から、
ずいぶんタメになることばかり
おっしゃっていただいていますけど……
こんな話を、
みんなに教えちゃっていいんですか?
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原田 |
だいじょうぶ。
この機密事項の絵さえ
見せなければだいじょうぶ。
私たちは計画をこうして形にしましたが、
ただ、いちばん難しいのは
これからなんです。
三十人が四か月ぐらいかけて、
これから三年ぶんの計画を立てました。
希望が見えてきました。
ただしそれは
「受験勉強のスケジュール表を作って、
なんか満点取れたような
気持ちになる感覚」
と、極めて似ているんです。
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糸井 |
わかるわかる。
計画ってそういうものですよね。
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原田 |
期末試験で
対策のスケジュールを立てるじゃない。
だけど実際は勉強しないで、
結局は一夜漬けになるでしょう?
それはプロのビジネスでは許されない。
だから実行が大変なんです。
実行には実行のノウハウがあるんです。
計画はできてしまえば
誰が見ても当たり前のことです。
だけど
「その当たり前のことを
みんなに実行させる」
というのが次の戦略になります。
実行する時によそ見をする人が出たり、
レースから外れる人が出たり、
「体力の差があるから
俺はここで休ませてくれ」
と言い出す人が
出てくることになりますから。
だから実行がいちばん大事で、
どうやって実行するのかについての
ミーティングを、今日からはじめています。
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糸井 |
計画は論理的に作ることができますが、
実行する際には、
人間の心理だとか
曖昧な要素がどんどん増えてくるから、
計画が、うまく作れていればいるほど、
じれたりするものですよね。
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原田 |
人間っていうのは、
「こうしなきゃいけない」
「こうしよう」
と、行き先を見据えて、
どういうルートで進むのかを
自分のアタマで考えられる人間と、
「ここから五十メートル直進して、
左折して、
しばらく進んだら右に入って、
バスに乗っていくら払って……」
と、ぜんぶ
伝えなければならない人間と、
いろいろな対応が
必要な場合があるんです。
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糸井 |
ええ、それが当たり前ですよね。
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原田 |
そういうさまざまな人の中で、
目的を伝えて、
自分でルートも手法も考えて、
必ず結果を出すというのが
経営者だと思います。
やるべきことを各部署に細分化して、
それぞれのレベルで
最適にしていくことが中間管理職です。
最初は言われたとおりに
道を歩くんだけど、それから次には
人の管理ができるようになる、
というのが若者です。
今、中間管理職と言いましたが、
「管理」というよりは
ナビゲーターですからね。
ひとりひとりが
きちんと目的を達成できるように
サポートしてあげるのが
マネージメントなのだと考えています。
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(つづきます)
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