社長に学べ!
おとなの勉強は、終わらない。


第4回 絵で伝える方針

糸井 ひらめきには、
調査はそれほど重要でなくてよくて、
調査結果は、添付資料程度でいいというのは、
ほんとに、そのとおりだと思います。

さらに行くと、マーケティング資料を
添付できないぐらいの場合もありませんか?

市場はこうなっていますと、
はっきり数字で
「ほらね」と言えるアイデアって、
ある意味、たいしたことがないですから。

先のことを話すためには、
現在の資料は役に立たないというか。
お客さんもまだ気づいていないことに
連れていく時には、
資料が役に立たないというケースも、
魅力がありますよね。
原田 おっしゃるとおりです。

たとえば、この三年計画には
「最高機密」と書いてあるでしょう?

たったこれだけの
冊子にまとまるものです。
だけどこれを作るのに、
どれだけの作業を重ねたのかというと……
四ヶ月間、数十人がフルタイム。
糸井 いいなぁ。
その仕事、やりがいがあっただろうなぁ。
原田 最初はひらめきなんです。

もちろんデータで検証する技はありますし、
一応、検証をしないといけませんが、
やはり、ひらめきがあっての話しあいなのです。

たとえば、
「この点は何が悪かったのでしょう?」
という議論がありますよね。
そこで具体的なアイデアの絵がないまま
話をしてしまうと、おかしくなるんです。

「質が悪い」
「場所が悪い」
「同業者と食いあった」

世間話なら誰でもいくらでも言えるんです。
ところがそれでは未来は見えない。
未来はビジョンで示さないといけない。

この機密事項はすべて図になっていますが、
だから何千人にも同時に伝えられるんです。
絵にして理解すれば何千人の行動が変わる。
糸井 文章って、ある単語を
聞き逃したら通じなくなるけど、
グラフは、瞬間でつかめますからね。
原田 おっしゃるとおりです。
難しいことは絵に描いて
みんなにわかってもらわないと。

マーケットシェアについて、
たとえば
「うちは今、マーケットシェアを
 十パーセント取っていますから、
 来年は十一パーセントにしましょう」
これしか言えない経営者はアホでしょう。

そのマーケットの中で、
うちがいちばん得意とするところを
決めなきゃいけません。

マクドナルドというお店に、
毎回くりかえし来る人、もう来なくなる人、
よそに行っていたけど
マクドナルドに来るようになる人……

自分たちのコミュニティの中に
とどまってくれている人と、
サヨナラという人と、
ウエルカムという人がいるわけです。

だからこそ
「商売というのは入口と出口しかない。
 なるべく入口のドアをたくさん作って、
 出口は閉めておくべき」
という言い方をするわけです。

たとえば、
「朝六時にお店を開けても、
 そんなにお客さんが来ないから
 人件費を使うわりにペイできません」
というのは表面だけの見方であって、
本来の目的は、違うんです。

そこの時間帯だけを
ペイするという考えではないだろう……と。

朝の時間帯はあたらしい入口なんです。
いったん朝マクドナルドで
いい体験をしたら、
お昼も食べてくれるでしょう?

そこだけでもうけようとするなよ、
ということなんです。
こういうことも、
絵にして説明するとわかりやすい。
  (つづきます)


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2004-12-29-WED



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