社長に学べ!
おとなの勉強は、終わらない。


第8回 言葉を変えると行動が変わる

糸井 最初に話したことに戻りますが
「頼むから寝てくれ、休んでくれ」
と言いつづけるしかないんですよね。
原田 (笑)
糸井 さっきのボートの話で言うと、
もちろん、
かっこいいデザインはいいけれども
それが転覆してしまったら
会社はつぶれますから、
転覆するかしないかの
チェックをする人が、
プロとしていないといけませんよね。
原田 それを観測する人もいるんです。
糸井 社長って、
映画監督なんかに近い職種ですね。
たいへんなんでしょうけど、
おもしろそう。

マクドナルドの社長になって、
何か月ぐらいになりますか。
原田 もう九か月になりました。

最初に社内で
コミュニケーションした絵なんて、
ほとんど漫画でしたから。

私のプレゼンテーションは
タイトルが「ルネサンス」でした。

左側に「今までの職場言語」
右側に「今後の職場言語」と対比を作った。

たとえば
「雨が降ったから売りあげが落ちました」
なんていうのが今までの言語です。

「昨日の売りあげ、なんで悪かったの?」
「雨だったんです」

この外食産業の常識に囚われたら
新しいビジネスは生まれないから、
今後はこういう時には
「雨が降ったら、もっと売れる方法ない?」
というメモに替えようと。

「新しいメニューを出すのに、
 一年半かかります」
これも業界の常識です。
「三か月で出せたら、
 どういうことが起こるだろう?」と。
こういうふうに言語から変えていかないと、
発想が変わらないですから。

言葉づかいを変えましょうとも言いました。
今、ここでは言えないようなことも、
いろいろ言いだしました。
糸井

常識は主体抜きで語られることが多いし、
必然性で語られていたことは、
諦めの言語だったりしますからね。

原田 そうなんです。
それをぜんぶ紙芝居で説明しました。
糸井 形で説明させるんですね。

「写真を使ってわかったような
 気にさせる」とか、
「むずかしいことを
 わかりやすいように見せかける」とか、
「たのしそうに見せる」ということは、
特に広告屋には多いんですけど、
今、拝見すると、
原田さんの図は、
易しくするんじゃなくて、
考えの核を反復するような図になっている……。
原田 それを見て
考えさせる図にすべきなんです。

それぞれの立場の人がそれを見て
「俺の仕事はこうだ」とわかる人が、
仕事のできる人なんですよね。
糸井 図を見て、おもしろいなと思った人が、
仕事を実行できる人、なんですね。
  (つづきます)


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2005-01-02-SUN



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