糸井 |
最初に話したことに戻りますが
「頼むから寝てくれ、休んでくれ」
と言いつづけるしかないんですよね。
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原田 |
(笑)
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糸井 |
さっきのボートの話で言うと、
もちろん、
かっこいいデザインはいいけれども
それが転覆してしまったら
会社はつぶれますから、
転覆するかしないかの
チェックをする人が、
プロとしていないといけませんよね。
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原田 |
それを観測する人もいるんです。
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糸井 |
社長って、
映画監督なんかに近い職種ですね。
たいへんなんでしょうけど、
おもしろそう。
マクドナルドの社長になって、
何か月ぐらいになりますか。
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原田 |
もう九か月になりました。
最初に社内で
コミュニケーションした絵なんて、
ほとんど漫画でしたから。
私のプレゼンテーションは
タイトルが「ルネサンス」でした。
左側に「今までの職場言語」
右側に「今後の職場言語」と対比を作った。
たとえば
「雨が降ったから売りあげが落ちました」
なんていうのが今までの言語です。
「昨日の売りあげ、なんで悪かったの?」
「雨だったんです」
この外食産業の常識に囚われたら
新しいビジネスは生まれないから、
今後はこういう時には
「雨が降ったら、もっと売れる方法ない?」
というメモに替えようと。
「新しいメニューを出すのに、
一年半かかります」
これも業界の常識です。
「三か月で出せたら、
どういうことが起こるだろう?」と。
こういうふうに言語から変えていかないと、
発想が変わらないですから。
言葉づかいを変えましょうとも言いました。
今、ここでは言えないようなことも、
いろいろ言いだしました。
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糸井 |
常識は主体抜きで語られることが多いし、
必然性で語られていたことは、
諦めの言語だったりしますからね。
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原田 |
そうなんです。
それをぜんぶ紙芝居で説明しました。
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糸井 |
形で説明させるんですね。
「写真を使ってわかったような
気にさせる」とか、
「むずかしいことを
わかりやすいように見せかける」とか、
「たのしそうに見せる」ということは、
特に広告屋には多いんですけど、
今、拝見すると、
原田さんの図は、
易しくするんじゃなくて、
考えの核を反復するような図になっている……。
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原田 |
それを見て
考えさせる図にすべきなんです。
それぞれの立場の人がそれを見て
「俺の仕事はこうだ」とわかる人が、
仕事のできる人なんですよね。
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糸井 |
図を見て、おもしろいなと思った人が、
仕事を実行できる人、なんですね。
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(つづきます)
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