社長に学べ!
おとなの勉強は、終わらない。


第12回 ブランドとは何だろう?

糸井 原田さんが
社長をやっていた
アップルコンピュータの
マッキントッシュも、
今のマクドナルドも、
ブランドの権化みたいな
会社だと思うんです。

今ってブランド論が盛んですけど、
原田さんにとっての
ブランドというのは、
どういうものでしょうか?
原田 有名とか、
高級とかいうことではないし、
グレートデザイン、
ということだけでもないと思います。

「精神的な無形の価値を
 どれだけ創っていくか」
がブランドなのだと思うんです。
他が持っていない価値……
たとえばうちの商品なら
「安さ」ではなくて「納得感」です。

これもひとつのブランドだし、
目に見えるものすべてがブランドです。

味、
スピード、
パッケージ、
ユニフォームからはじまって、
お客さんにとっての
すべての体験の集大成がブランドのはずです。

従って、私たちのやるべきことは、
独自の無形の価値を
どう創っていくかだと思うんです。

ブランドを考える上で、
いちばん大事なのは
「お客さんの期待値を超えて
 はじめてブランドだ」
ということです。

テレビでかっこいいことを
言っているけど
お店に行ったら失望しちゃった、
じゃダメなんです。

だからテレビでは
あんまりかっこいいことは言うなと。
そこそこに言っておいて、
行ってみたらテレビで期待したよりも
ずっとよかった……
これがビジネスですからね。
糸井 うん。
それはそうです。すごい!
原田 通販でのパソコン販売が
なぜ伸びたのかというと、
カスタマーサポートの
充実ぶりにびっくりして、お客さんが
「量販店で買ってコールセンターにかけても
 電話がかからないよりも通販のほうが親切だ」
とよろこんだからなんです。

かつてはサポートが
不安だった分野だからこそ、
予想以上の価値があると、
一気に人がやってくるわけです。

だからやはり、
ブランドというのは、
あんまりきれいに
飾ることだけではないでしょう。

ほんとに心が美しくないと、
着飾って化粧してもダメよと……
ブランドをはきちがえて、
「ブランドはイメージだ」と、
ただかっこいいコマーシャルを作ればいいと
思う人もいるだろうけど、
それはぜんぜん違う。

ブランドとは総合的な体験です。
だからわれわれのビジネスでは、
ハンバーガーレストランというのは
サービス業ですから、
待ち時間とかについては、
うるさいぐらい、
毎日議論をしていますよね。

ファーストフードなのですから、
スピード、サービスを
しっかりとやっておかないと、
小手先のことをやっても、
商魂たくましい人集めの
にぎやかしにしかならないのです。

お客さんが
確固たるブランドの価値を
感じていただけるのは、
お店の接客の質とスピードに尽きる。

これをもう一回、
さらに高めることができたら、
ほんとにすばらしいと思う。
糸井 お相撲さんでいうと、
ちゃんとシコを踏めっていうことですね。
原田 そうです、そうです。
  (つづきます)


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2005-01-06-THU



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