社長に学べ!
おとなの勉強は、終わらない。


第13回 外食産業の大きさ

糸井 ファーストフード業にとっての
スピードだとか、そういう、
根幹に関わることがおろそかになる時は、
何かいろいろな理由があって
できていない状態になるもんなんでしょうね。
原田 そうです。
だからそのことも絵に描いて伝えました。
基礎作りの柱を三本立てた図を描いて、
「将来の家を造っていくためには、
 今、基礎をしっかりしようね」と。
糸井 マクドナルドみたいに、
しっかりとその柱があるように
思われている会社でも、
そのシコが踏めなくなってる状況っていうのは、
ありうるっていうことなんですね。
原田 ありますね。
だから、もう一回、基礎作りをしています。
糸井 今は、着々と
できていると言っていいんですか。
原田 進んでいます。
だから売りあげも回復しはじめました。

さらに柱を立てれば、
もっとブレイクスルーが起こりますから。

外食産業というのは、
二七兆円あるんですよ。
百人にひとりだけ来てくれただけでも、
二七〇〇億円ですから、
とてつもなくデカいんです。

だからヒット商品を一発売ったら、
結果はズドーンと出る。

ただし、ヒット商品を売る前に
「総合的な体験」として
すばらしいお店づくりをして
クルーをきちっと育てておけば、
いい商品が出た時に
それだけで止まらずに爆発しますから。
糸井 とても悪い言い方をすれば、
失敗があった時には、それだけの規模で
一気に広がっていく、ということですね。
衛生管理みたいなこととか、
ものすごい緊張感ですよね……。
原田 たとえばお客さんを獲得する時には、
ひとりのお客さんに、
たとえば一か月に何回か
来ていただくことももちろん大事ですし、
新しいお客さんに
来てもらうことも大事ですよね。

来店頻度と新規顧客獲得、このふたつに
どう経営資源を分配していくか……
これも図であらわすわけです。

ずっと値下げをしていたら
目の前のお客さんは来ます。

ところが値下げをやり続けることは
頭痛薬をずっと飲んでいると
効かなくなるのと同じなんです。

そのへんのバランスを
コントロールするのが経営で、
私はひとつの図にしました。

来店頻度と新規顧客開拓の推移……
これを見れば一目瞭然なんです。
このままやっていると
倒産してしまう可能性があると。

マクドナルドが
この一年で業績があがりましたと
新聞に出ているのは、
ここのところで見事に
ハンドルを切ることができたからなんです。

絵にして伝えたら、
文句を言う社員も少なくなりました。
私は舵取りで、向こう三年の海図は
みんなに渡してある。
甲板係も機関係も食堂係も、
こういうクルージングをしようと。
  (つづきます)


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2005-01-07-FRI



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