原田 |
どんなにすばらしい商品でも、
マスに向かって
売っていくことはたいへんです。
なぜかというと、マスに売るとは、
ライフスタイルを作っていくことですから。
だから革新的な商品を作る時ほど、
同じ消費者の中でも
「ニッチ」という狭い市場に
焦点をしぼらなければいけません。
年齢、職業、収入、
それらのしぼった相手に商品を提供して、
その市場を支配する……それをやったら
次のすこし広い市場に影響を与えていくという。
それを何回か重ねて
最終的にマスにいかないと、結果は出ません。
投資効果を持たない。
会社は利益を出さなければならないし、
サンタクロースじゃないんですから。
期待値をあげすぎたり、
一気にマスが使う商品を提供したりというのは、
危険なんです。
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糸井 |
それって、なんか「ほぼ日」が
気をつけないといけないような話ですね。
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原田 |
(笑)「ほぼ日」は、
どっちかっていうと
「ニッチ」に向けての
ものだったじゃないですか。
これがこの先にダーッと
一般紙のようなマスに広がっていく時には、
そのための順番を考えていかないと、
ブランドが希薄になっていくでしょうけど。
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糸井 |
そういうことですよね。
つい、全員と一部分を
直結させちゃう発想になりがちなんですよね。
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原田 |
「ほぼ日」ブランドも、
どの部分をコアのブランドにして、
どこをサブブランドにしていくのか、
という戦略は必要ですよね、
生意気なことを言いましたけど。
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糸井 |
いや、またちょっと教えてください。
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原田 |
いえ、われわれも、同じ悩みですよ。
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糸井 |
よく、未来は予測できないから
三年後のことは誰も言えないよとか、
五年先なんてわからないという
経営の言葉とは、
この原田さんの三年計画は
矛盾しないんですよね。
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原田 |
実際、一年後に見えるかと言うと、
見えないんです。
ただし、ビジネスの原点は、
世の中のトレンドがこうなるから
ついていくぞというものではないんです。
トレンドを作っていく、
世の中を作っていくというのが
ビジネスですから。
トレンドに合わせていくというのは
下請け会社の経営者の発想です。
「うちの親会社、
こんどはどうなっているのかな?」
これは、ビジネスではありません。
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糸井 |
なるほどなぁ。
つまり、このマクドナルドの計画書は、
誰かの手を借りたとかいうのではなくて
社内で作ったということが重要なんですね。
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原田 |
そうです、そうです。
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(つづきます)
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