社長に学べ!
おとなの勉強は、終わらない。


第15回 価格競争の時代について

原田 日本には二七兆円の外食産業が存在している。
われわれは大きな太平洋の中で、
ちっちゃなプールで泳いでいるようなものです。

いかにチャンスがあるかですよね。

人間は朝昼晩三食食べなさい、
と教育を受けましたが、今後の世の中は
二四時間のライフスタイルに多様化していく……
すると人間は、朝昼晩の三回と
決められたものではなく、
いつでも食べるスタイルに変わっていきます。

それはもう見えてるんですから、
そのトレンドを
われわれは作っていかなければならない。
そう考えています。
糸井 お金持ちでも、
料亭、料亭、マック、自宅……
みたいな食べかたをする時代じゃないですか。
忙しさや目的に合わせて食事を選ぶ。
そこは、おもしろいなぁと思います。
料亭の人とマックの人とが分けられていない。
原田 若い時から
よく上司に教わったことのひとつに
「人間はダンヒルのライターも百円ライターも、
 かっこよく使えるようにならなきゃダメだ」
ということがあります。
食事も、そうでしょう。

私も、業務の効率上、
運転手つきの車に乗って
仕事をしなきゃいけないぐらい
忙しい時には、それを使います。
タクシーも、使います。

ただし、個人では電車も乗ります。
昔はよく、牛丼屋で朝飯を食べていました(笑)。
糸井 原田さん、マクドナルドが
五九円まで値下げした時代のことを
どう思いますか?
原田 五九円は失敗だった、
という認知が社内にあったのですが、
私は「失敗ではなかった」と言っています。

なぜかと言うと……どんな商品も、
まずは商品力や技術で市場を作りますが、
その次にはかならず価格競争に入りますよね。
その次に、付加価値の戦争になってきます。

携帯電話もそうでしょう。
機能で市場を作り、価格競争で、
タダで配る時代を経て、今はサービス戦争。

パソコンも、
価格競争の後はソリューションの戦争です。

ですから、
ハンバーガーという新しい食のスタイルで
市場を作った後の価格競争で、
マクドナルドが一気に価格戦争の戦い方の
ルールのリーダーシップを取ったことは、
正しかったんだと私は考えています。

価格戦争の次の戦い方に
投資をしなかったから
失敗しなかっただけだと思うんです。

もちろん
「価格政策が一貫しなかったから信頼を失った」
というのは反省点ですけどね。
糸井 なるほどなぁ。

今までうかがってきたことを、
いちばん簡単に言うと、
ものすごく敏感なひとりのお客さんというのは、
極端に言うと
経営者になれるってことですよね?
原田 そういうことです。
すばらしい経営者はみんな感性が高いですよ。

そうじゃないとこう、
一生懸命勉強しちゃうだけで……
全体像をどうパッととらえるかだと思います。
  (つづきます)


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2005-01-12-WED



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