どのようにして、この素晴らしきレストランが生まれ、
維持され、その名声を保ち続けていらっしゃるのか。
話を聞きたい。
可能ならば、ぜひ勉強会で講演をしていただけませんか?
と何度目かの訪問ののち、調理長にボクはたのんだ。
よろしいでしょう‥‥、と快諾をしていただいた、
その時の条件がまたすばらしかった。
自分が話す内容にいささかの誇張や嘘が混ざらぬように、
自ら律するためにも一名。
厨房の中のスタッフを同席させて、
勉強をさせてやっていただきたいというコト。
それから、夕食営業の最終チェックに間に合う時間。
間に合う場所でその勉強会を
開催していただけるのならば‥‥、と。
いつもは東京で行う予定を、
大阪に場所を移して開催した勉強会。
すばらしい内容でした。
世界に誇るべき食材に恵まれた伊勢志摩という場所に、
日本中から来ていただきたい。
ココにしかない。
ココでしかありえない。
ワザワザ来るにふさわしい、かけがえのない時間を
「子供の無邪気な気持ちと、大人の財布を持った人たち」
に体験していただくために頑張っている。
そのためのさまざまなコトを包み隠さず教えてもらい、
参加者一同、その調理長のファンになる。
一つのコトを繰り返す。
その退屈と単調を厭わぬ辛抱こそが、
日本すべてを商圏とすることを可能にした。
つまり私たちは「日本という地域の一番店なのです」と、
そういう内容の話にボクらのメモをとる手はとまらない。
何かご質問はありませんか?
という問いかけに、とあるレストランの経営者が
こんな質問をしたのです。
「どんなにすばらしいレストランにも、
嫌なお客様はいらっしゃると思うのですが、
どんなお客様が嫌われますか?」と。
飲食店に携わる人間として、
聞かれると一応に困ってしまう難しい質問に、
彼は躊躇せずこういいました。
10人のお客様がいらっしゃれば、
10の個性がそこにはある。
その個性を「ステキ」と思う気持ちをなくしては、
よい調理人にはなれません。
ただ、「あぁ、野暮だなぁ‥‥」、
と勿体無く思うお客様はいらっしゃる。
野暮な人は損をしてらっしゃると思うのですよね‥‥、と。
さて、どんな人を彼は「野暮」といったのでしょう。
また来週といたしましょう。
|