世界で一番、カウンター付きのレストランが
多い国ってどこなんだろう‥‥。
カウンターだけのレストランじゃなく、
カウンター「も」あるレストラン。
イタリアのバール。
スペインのバル。
イギリスにはパブという、
カウンターが主役のようなお店が沢山存在している。
けれどそれらはレストランというよりも、
お茶やお酒を飲むスタンドのような存在で、
レストランというには少々、カジュアルすぎる。
さて、どこだろう‥‥、とちょっと思案して、
なるほどそうか、アメリカだと気が付きました。
アメリカで最も一般的なレストランといえば
コーヒーショップ。
もれなくカウンター席が用意されます。
そこに座るお客様は大抵がひとり客。
一人で食事をするさみしさを、
お店の人との会話でまぎらわすことができるから、
人気の席でもあったりする。
しかも他のテーブル席よりも確実にカウンター席は、
サービススタッフと接する機会が確実に多いのです。
カウンターの前にはキッチンから
料理がでてくる場所があります。
料理ができあがるたびに
サービススタッフがやってくるのはカウンターの中。
それからカウンターにはコーヒーマシンが置かれてる。
アメリカのコーヒーショップではコーヒーはお替わり自由。
料理を運び終えたウェイトレスは、
コーヒーが入った耐熱ガラスのポットを持って、
客席の間を歩いて、
「コーヒーのお替わりはいかがですか?」
とお客様に声をかける。
お客様から呼ばれなくても、コーヒーを注いで回る。
それが、サービスがいいとお客様に思っていただく
仕組みのひとつだったワケです。
つまり料理が出てきたり、
コーヒーマシンが置かれたカウンターの中は、
サービススタッフの作業の要。
そのカウンターに座るということは、
優先的にサービスを受けることができるということ。
お店の人の働きやすさと、
レストランでは寂しい思いをすることが多い
お一人様との利害が見事にあった場所‥‥、
それがコーヒーショップの
カウンター席という場所なのです。
アメリカのコーヒーショップを真似ることで、
日本で生まれたファミリーレストランも
生まれた当時はカウンター席を必ず設けたものでした。
アメリカの本家の店舗をそのまま作ったデニーズは
言うにおよばず、すかいらーくもロイヤルホストも
キッチンの前にはカウンターがあり、
しかもそこにはコーヒーマシンが置かれてた。
お店によって、使い終えた食器を
一時期保管するための場所がそこに置かれていたりもして、
客席でサービスする人たちは必ずそこを通らないと
仕事ができないようになっていたのです。
おいしい料理や気軽な値段、清潔なお店などの
レストランをステキにみせるどんなことよりも、
働いている人の笑顔とやさしいひとこと、
つまり人と人とのつながりを大切にした
アメリカの人のレストラン観が、いまだにアメリカでは、
カウンター席をかたくなに守らせている。
一方で、日本のファミレスからは
カウンター席がほとんど姿を消しました。
理由はドリンクバーが当たり前になってしまったから。
コーヒーを注いで回りながら、
やさしい会話をするコトをあきらめてしまって、
それで「よいサービスを優先的に受けることができる」
役目を持ったカウンターは
日本のファミレスから姿を消した。
ちょっとさみしいコトではあります。
けれど一方。
「料理が作られる臨場感と、
優先的にできたての料理を味わうことができる」
機能をもったカウンターは、
なくなるどころか日本の飲食店の
見せ場のひとつであり続けている。
寿司屋。
天ぷら屋。
焼き鳥屋。
専門店と呼ばれる店のカウンターは一等席。
ほどよきサイズのカウンターがあるというのは、
すなわち店主が料理に自信があるということの
メッセージだったりするステキさ。
予約の電話をかけるときも、
「カウンターはまだ空いてますか?」と聞いたりもする。
日本のレストランはそういう意味でとても独特。
オモシロイなぁ‥‥、と思います。
ところで前回までにお話しした「25席」というヒント。
カウンターがあるだろうと思ってかけた電話の答えが
「いえ、当店にはカウンターはございません」。
どんなお店なんでしょう?
かなり興味をひかれます。
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