もしもタイムマシーンがあったら その2

(昨日までの、もしもの世界)
好きな彼女に
なんとか理由をつけて
電話をかけた高2の夏に
関根さんは戻りたいとおっしゃるのですが‥‥。

関根

これは逃げてたらだめだ、と
自分でも思いました。
そういえば、シェイクスピアか誰かが
後悔にはふたつの顔があると言ってた、
ということを思い出しました。
ひとつは、
「あのときどうして、
 思い切ってやらなかったんだろう」
もうひとつは
「どうしてあのとき、
 あんなことをしてしまったんだろう」

ほぼ日 高校生なら‥‥
関根 そう、若者なら後者を選べ、ぶつかっていけ。
なにもせずに終わるよりは告白して、
だめだったらだめと
答えを出したほうがいいだろうと、
自分に言い聞かせました。
そして、いよいよ彼女の家に電話しました。
電話の呼び出し音が鳴りました。
心臓の音のほうがすごかったです。
ほぼ日 うわぁ。
関根

そうしたら、お父さんじゃなくて、
彼女が電話に出ました。
「ああ、どうもどうも」
「今度の旅行、行けないの?」
「それはね」
なんだかどんどん
僕の書いた台本と全然違う展開に
なっちゃって。

ほぼ日 焦る、焦る。
関根

しょうがないんで、
アドリブで10分ぐらい話して、
それでもう、
なーんだったんでしょうねぇ、
追いつめられてたからでしょうね、
「今度の日曜日、どっか行かない?」とか
言っちゃったんですよ。

ほぼ日 おおおおお。
関根

そうしたら、それまで、
ふつうに上手に
同級生らしくしゃべっていたふたりの会話が、
無言になっちゃったんです。
昔の電話ってね、無言になると
「ツー」という
電話の音がするんですよ。

ほぼ日 そこまでシーンとなさって‥‥。
関根 「しまった! 
 シェイクスピアァー!!
 余計なこと言うなよぉーー!!」
一同 (爆笑)
関根

「余計なこと言うなよぉ、
 俺もう、親友失ったよぉぉぉ!!」

ほぼ日 ‥‥それで、どうなりました?
関根

「考えさせて」と言って
彼女は電話を切りました。
「だめだこりゃ、
 バカなこと言っちゃったもんだよ。
 どうして次の日曜日会おうとか
 そんなこと、言っちゃったのかなぁ?
 また電話するよ、でよかったのにな。
 テンパってたな、俺」
というわけで、僕はもう、
次の日から学校に
行けませんでした。

ほぼ日 そんなぁ。
関根 彼女に会うの嫌だもん。
カッコ悪いでしょ?
ほぼ日 そりゃまあ、そうでしょうけども。
関根

通学路で、ウーッて
おなかが痛くなって、止まっちゃうんです。

ほぼ日 そりゃたいへんです。
 
(続きます)
2008-08-05-TUE
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