みうら |
(県くじを引く)
細長いとこだねぇ。
これは富山県でしょうか。 |
ほぼ日 |
いえ、高知県ですね。 |
みうら |
ぼくは、高知県が、
この事務所の中のどこに落ちてるかを
知ってるんですよ。 |
ほぼ日 |
は? |
みうら |
まあ、この事務所には
日本が入っていると言ってもいいくらいだ、
ということです。
どのあたりが高知県か、わかります?
ぼくはいまピーンときています。
あそこの角なんです。
近づくと、ほら、見てください。
高知県の写真とかが落ちてるでしょ。 |
ほぼ日 |
ははは、すごい。 |
みうら |
このことに、実はいま
自分でもびっくりしました。
さて、今日は、
高知県の話をするときに欠かせない、
とっておきの話を
させていただきたいと思います。 |
ほぼ日 |
お願いします。 |
みうら |
高知県といえば、坂本龍馬です。
坂本龍馬さんの誕生から、
お亡くなりになるまでのことが、
一堂に会している建物、それが
坂本龍馬記念館です。
そこには、各地の記念館と同じく
蝋人形が存在していまして、
生まれてから死ぬまで、
人生のいろんな局面の龍馬さんが、
蝋になっています。 |
ほぼ日 |
はい。 |
みうら |
ここで問題なのは、
みなさんは、坂本龍馬と聞いて
どういう映像を頭に描くでしょうか、
ということです。
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ほぼ日 |
龍馬といえば、あの有名な写真の‥‥ |
みうら |
もたれた姿勢で、
靴を履いて、遠くを見ている、
あのイメージでしょ?
あれを見て、みんなは、
「お、龍馬だ」と思っているわけです。
そこを突いてきた歴史館、
それが坂本龍馬記念館です。 |
ほぼ日 |
突いてきた? |
みうら |
ほとんどこの資料しか
手がかりがないわけですから、
生まれたときの顔なんて
いまは誰にもわからないわけです。
しかし、龍馬さんが生まれたときの
蝋人形を作らなくてはいけない、
そういう状況だと思います。
蝋人形になった赤ちゃんをよく見ると、
眉間に皺がびっちり寄ってるんです。 |
ほぼ日 |
ははは。 |
みうら |
すべてをここに合わせているからです。
そういう理由から、龍馬さんは、
結婚したときも眉間に皺を寄せています。
普通、結婚って
うれしいもんじゃないですか。
そんな苦悩の表情をして、
結婚式をしている人はいませんよ。
この1枚の写真から、
びっくりするほど蝋人形が作られている、
その証拠を
お見せいたしましょう。
龍馬さんのお姉さんです。
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ほぼ日 |
これは‥‥ |
みうら |
お姉さんの顔の資料は
残っていなかったんでしょう。
顔は龍馬さんです。
つまり、女装になってます。 |
ほぼ日 |
眉間に皴が。 |
みうら |
龍馬さんと並んで姉弟ふたりとも、
眉間にびっちり皺を寄せて
同じ顔をしていました。
歴史上の人物は、
全く資料がないほうが
自由自在に作れていい、
ということがわかると思うんです。
なまじっか残ってしまっているだけに、
そこから離れることができないでいるのです。 |
ほぼ日 |
たしかに、ほかの表情だと
「ちがう!」という印象になる
懸念がありますね。
しかし、坂本龍馬も
始終、そんな難しい顔を
してたわけじゃないですよね。 |
みうら |
そりゃあ、龍馬さんだって
誰かがおかしい冗談言ったとき、
パーッと、笑ったこともあったでしょう。
でも、写真が残っちゃってたもんでね、
シリアスというイメージを
植えつけちゃったんです。
|
ほぼ日 |
何が残るか、というのは
重要なことですね。 |
みうら |
まあ、そういった
生まれてから大活躍されて
お亡くなりになるまで
ほぼ同じ顔でおられる、という
めずらしい記念館が、
ここ高知県にあるということです。
この記念館の蝋人形は、ほかにも
あっと驚くポイントがあります。 |
ほぼ日 |
何でしょう。 |
みうら |
龍馬さんだと思って、
ずーっと見ていきますとね、
不思議なことが起こりはじめます。
勝海舟とかが乗っている船が、
わーって、次に進んでいくと、
いきなり、マリリンモンローが出てきます。
「あれ?
龍馬がモンローに扮装したか?」
というところでしょう。
そのまま回っていくと、ガンジーや
藤山寛美さんの楽屋姿に、
龍馬さんが変身してるところが見られます。
びっくりしますので、
ぜひとも、ごらんください。
|
ほぼ日 |
龍馬が変身してるんですか?
(ふつうにそういう人たちの
蝋人形が展示してあるのでは‥‥) |
みうら |
ぼくは、そうとってます。
歴史の流れから、龍馬さんが
マリリンモンローの姿をされて
最終的に藤山寛美さんとなって
楽屋におられるところで終わる、
すべて龍馬さんがコスプレを
されているのかな、ということです。 |
ほぼ日 |
‥‥そっちのほうがすごい感じがしますね。 |
みうら |
ところでウチのペスを
ご紹介したことがありましたっけ? |
ほぼ日 |
ペス? |
みうら |
いま、巷では
ペットブームって言いますけど、
ウチのペスはそれとは一線を画しています。
ぼくはペスと名づけてるだけで、
実は違うんですよ。
実は高知県の土佐犬なんですけれども。 |
ほぼ日 |
土佐の闘犬ですね。
メダルとまわしをしています。 |
みうら |
これはお店屋さんで
「大」「中」「小」売っていたなかの
「中」です。
旅から戻るときに荷物としてギリギリなのが
「中」です。
「大」は、もう、人が乗れます。 |
ほぼ日 |
はははは。 |
みうら |
「大」は、
置いてあるんじゃなくて「飼ってるの?」
と、言われるくらいな
勢いを持っていると思いますが、
くやしいかな、ぼくは「中」を選択しました。
「中」には、ちゃんと玉がついています。
「小」には、ついていませんので、
「大」「中」「小」に悩まれたら、
もれなくついてる「中」から
いかれたほうがいいと思います。 |
ほぼ日 |
よくご購入に踏み切られましたね。 |
みうら |
何ごとも買えば大丈夫だ、
ということがわかりますよ。
これを買ったことによって
何かひとつ、人生をクリアしたな、
という気がしています。
1個怖いものを
買ったことによって、
10個怖いものをなくした
感じなんですよ。
|
ほぼ日 |
いつも、みうらさんの事務所のドアを
入ってすぐのところで、
このペスが迎えてくださるので‥‥。 |
みうら |
そうでしょ?
さほど、目線も怖くないでしょ? |
ほぼ日 |
(怖いです) |
みうら |
やっぱり、怖さを克服するとか、
人生を一歩先に進めるときには、
買ったほうがいいんですよ。
そのために、お金ってあるんですよねぇ。
お金って、怖いものを
なくすための紙なんですよ。
あれは、幸せになる紙じゃありません。
「こうすると怖いものが1個消えるよ」
ということを、土佐犬が教えてくれます。 |
ほぼ日 |
なるほど。 |
みうら |
高知県には、
土佐犬の絵が描かれた紙袋が
売っています。
ぼくはそれを「ダサ袋」と呼んでいます。
四国にいるときは、
持っていてもぜんぜん平気なんですけれども、
羽田についた瞬間酸化する、
というんでしょうか、
色がパーッと変わるようになり、
すごく異臭を放つんです。
しかしこれらは、何も高知県じゃなくても、
東京都でも買えるんです。
文房具屋さんでね。
たとえば、これ。
これを持ってても、
誰もジーパンだと思わないと思うんです。
「あの人、ジーパン地でできた
カバン持ってる」
って、思わないのに、なぜジーパンなのか。
しかも、「ヒューマンダイアログ」。
「なんだ?」って言われますよ。
人類の対話ですか?
なぜそんなことを、こんなジーパンに
言われなきゃなんないでしょうか。
リバージって何なんですか。
よく、こういう袋で、
「田舎からみかんがたくさん送られてきたから
持っていきなよ」
って、ポンポーンと入れられて
渡されますが、
おのれがリバージだと思って
家まで帰る怖さって、ないですよ。
何かのものすごいことが
書いてあるかもしれないのに、
人は、ここらへんに無頓着すぎます。
フロリダって書いてあります。
これを見て、
「あ、あの人フロリダに行って来たんだな」
なんて思わないじゃないですか。
下に書いてある、小さい文字はもう
読み取れないですけど、
フロリダ州の、何かすごいことが
書いてあるかもしれません。
何が書かれてるのかすら
わからないものを持って
旅で「自分探し」なんて、ありえないですよ。
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ほぼ日 |
自分探しより、
まず自分の持ち物がどうなってるか
ちゃんとしろ、ということですね。 |
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今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は
下の動画でおたのしみください。 |