乗組員やえの疑問

スカイツリーの周りに緑はあるの?

スカイツリーおじさんの解説

2011年6月から植栽工事が始まっています。
4階の交流広場周りには
高さ6〜7m程度の高木が植わって、
それらの様子が敷地の外からも見えますので
これまでとは少し雰囲気が変わったように
感じられているのではないでしょうか。
最終的には合計350本の高木が植わります。
工事としては、
低木や芝なども順次、植えられていきます。

東京スカイツリータウンには、
低層の建物を「丘」に見立て、
そこを、そぞろ歩きができるような
屋外の「通り道」がつくられます。
その「通り道」や広場周り、建物の壁面にも
植栽を施す計画になっていて、
この「丘」が「緑の丘」となるよう考えています。

CGなどでご覧になったことがあるでしょうが
敷地南側を流れる北十間川に面したところは、
一部が桜並木となる予定です。
サクラは、お花見はもちろんのこと、
和歌や俳句などでもよく題材に扱われており、
古くから日本人にとってなじみが深く、
日本を代表する花のひとつといえるでしょう。
海外からおみえになった方にも、おのずと
日本らしさが伝わるのではないかと思います。

東京スカイツリータウンの東側、
段丘状のところには、アカマツを植えています。
一見すると、どこかの松林のよう。
商業施設やオフィス施設のランドスケープに
マツを用いることは珍しいのですが、
これは、「江戸五木(えどごぼく)」といって
江戸時代に江戸で重視された造園木のひとつに
アカマツが入っていることから、
江戸らしさをもたらすことを意図して用いています。
「江戸五木」とは、アカマツ以外には
モッコク、イトヒバ、カヤ、イヌマキの
4種があります。
そのほか「江戸五木」には入っていませんが
シダレヤナギやシダレザクラなど
江戸の庭園になじみ深い樹木も植わります。

実は、江戸時代は
園芸文化が花開いた時代でもありました。
将軍や大名から下町で暮らす庶民まで、
花や緑を熱心に育て、愛でていたのです。
その白熱ぶりは、幕末に来日した海外の方が
驚きをもって日記に書きとめるほどだったと聞きます。
そうした中、よりディープに、
品種改良した珍花が重宝されていました。
こうした江戸園芸文化を受け継ぐような
珍種の植物も入りますのでお楽しみに。

建物の設計でもそうでしたが、
プロジェクトの場所性や歴史性を考慮し、
訪れる人が心地よくなることを考えて、
ランドスケープも設計されています。
この地がかつては「本所区小梅瓦町」と呼ばれ
梅が多かったことから、
ウメを西側に用いる予定なのもその証左のひとつです。
ちなみに、
ここに植えられる樹木の一本いっぽんは、
2009年から樹木選定を始めており、
主に関東一円から移植するものなんです。
そのほか、舗装パターンや素材にも
テーマや環境貢献などの意味が込められています。

植物は日々生長し、変化していくものです。
また、既に植えた木にセミやチョウチョウが
飛んできていたように
人と生きものが集う場所になれば幸いです。
このように、植栽計画という意味での
ランドスケープに完成はありません。
一際高くそびえる東京スカイ『ツリー』と共に、
時間が経つと共によりいっそう魅力が増し、
どこか江戸の匂いが立ち上るような風景が
生まれることに期待しています。

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2011-10-04-TUE