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「育てるカシミア」の正しい育てかた

「育てるカシミア」をどう育てるかは、その人次第です。
お好きなペース、お好きな着かたで、
たのしんでいただいたかまわないのですが、
できるだけ長くいい状態を保つには、
それなりの、ちょっとしたコツがあります。
ここでは、その具体的な方法、
とくに洗濯とお手入れについて、くわしくお伝えします。

ご家庭でお洗濯いただけます。

ソーピングしていない「育てるカシミア」は、
水洗いをくり返すことで、やわらかくなっていきます。
一般にカシミア製品は扱いがデリケートと言われますが、
ちょっと気をつけて、正しい方法さえ守れば、
ご家庭でもお洗濯いただけます。
手洗いはもちろん、以下を守っていただければ、
ご家庭の洗濯機で洗っても、だいじょうぶです。

①洗濯ネットに入れて、かならず
「手洗い(ウール洗い)モード」で単品洗いすること。

②縮みをふせぐため、30℃以下の水を使用すること。
③ウール・おしゃれ着用の中性洗剤を使うこと。
④洗濯ネットは、サイズの合ったものをえらび、
カシミアをきれいにたたんで入れること。


洗濯時間については、いちばん長くて、

洗い5分 すすぎ10分 脱水3分

より安心なのは、

洗い2分 すすぎ2分 脱水1分

くらいを、目安にしてください。
とくに、脱水時はフェルト化するリスクが高いので、
脱水時間には注意してくださいね。

お洗濯のとき、これだけは気をつけて!

1 長時間水につけない。
2 つよい摩擦を発生させない。


カシミアの繊維の表面には、スケールと呼ばれる
うろこ状の表皮があります。
スケールは水につけると開き、
そのまま時間が経つと、やがて開ききってしまいます。
長時間水につけていても、動かさなければ影響ありません。
しかし、洗い、すすぎや、とくに脱水の際、
摩擦によってスケールが絡み合うと、
繊維がフェルト化し、縮んでしまいます。
つまり、フェルト化することが、
カシミアの洗濯でいちばん恐いことなのです。

干しかたも大事です。

洗いおわった「育てるカシミア」は、
タオルにくるんで水気をあらくとり、
そのあと、別のタオルの上に平置きして、陰干しします。
(ハンガーにかけると、かたちが崩れてしまいます)

袖口や裾の部分は編み目がつまっているため、
糸が水を吸ってふくらんだときに、
ふくらんだ分の逃げ場がなくて、波打つことがあります。
そのまま放っておくと、波打ったままになってしまうので、
干すときに、かたちを整えることを忘れないでください。

乾燥機の使用は厳禁です。
いくら正しい方法で洗濯しても、
それだけで、一気に縮んでしまいます。

乾いたあと、タンスなどにしまうときには、
きれいにたたんで、湿気がこもらないよいように、
なるべく衣類の上のほうに保管してください。

このとき、防虫剤・防湿剤も忘れずに。
「だいじょうぶだろう」なんて、たかをくくっていると、
虫食いやカビで、せっかく育てたカシミアが
台なしになってしまいます。

お洗濯は、ほどほどに。

洗って育つとはいえ、あまりひんぱんに洗濯するのは、
編み地を痛める原因になります。
1シーズンに2,3回をめどにするのがいいでしょう。
(気にせずラフに着ちゃいたい!という場合は別ですが)

シーズンが終わったら、
汚れをしっかり落として、きれいにするため、
クリーニングに出すと、より万全です。
その際は石油系ドライクリーニングをご指定ください。

また、ニット製品の特性上、着ていくうちに
毛玉ができることがあります。
アクリルなどとちがって、カシミア100%の場合には、
それほど大きな毛玉にはならないと思いますが、
どうしても気になる場合は、
指先でつまんで、やさしく引き抜いてください。
編み地をまちがって切ってしまうこともないので、
ハサミを使うより、このほうが安全です。

「育てない」のも、またよし。

育てる前の新品の「育てるカシミア」の
かための肌ざわりも、実はあんがい魅力的です。
このままの状態をキープして着たいというかたも、
けっこういらっしゃるんじゃないかと予想しています。

その場合は、ご家庭で洗濯はせずに、
ドライクリーニングに出すようにしてください。
着ていくことでこなれてきますし、
ドライクリーニングでも、ある程度やわらかくなりますが、
水洗いするよりは、しっかりした生地感を
長くたのしめると思います。