Gemellivoの
「カカオシュトレン」のこと。
シュトレン(Stollen)は、もともと、ドイツのお菓子。
クリスマスを待つ4週間の「待降節」のあいだに
すこしずつ食べる、伝統的な冬のお菓子です。
本国ドイツでも
いろいろなバリエーションがあるシュトレン。
Gemellivoでは、チョコレートを使った、
オリジナルの、個性的なシュトレンをつくりました。
竹内稔さんに、このシュトレンのことをおききしました。
2021年の冬から始めたのが、
Gemellivo季節限定のカカオシュトレンです。
アーモンドとくるみを入れたココア生地の上に
マジパンやオレンジピール、カレンズ、
セミドライにしたバナナを棒状に並べ、
巻き寿司の様に包んで焼き上げたものを、
チョコレートでコーティングしています。
2022年にはTOBICHI東京のイベントでも扱っていただき、
なみいる名店のシュトレンにまじって、
ぼくらのかなり個性的なこのシュトレンが
どんなふうに受け入れられるのか心配でしたが、
好評だったときき、ほっとしたものです。
このカカオシュトレンを、今年はここで販売します。
はじめて、というかたも
おおぜいいらっしゃると思いますので、
ぼくらのカカオシュトレンのこと、
すこしお話しさせてください。
じつはこのシュトレン、
昨年のものからバージョンアップしています。
昨年のものは、細かく切るとチョコレート部分が、
若干ですが、割れやすかったのを、
ハチミツ加えることで割れにくくしました。
といっても味に強く影響するほどではありません。
いわゆるドイツ菓子のシュトレンを知る人なら、
「あの甘いお菓子ですね」とおっしゃると想像します。
けれども、Gemellivoのシュトレンは大人向け。
口にいれるとスパイスと苦味、
そのあとに甘みが拡がるような組み立てになっています。
「なぜこんな大人っぽい味に?」と聞かれたら、
ぼくら(自分=稔、弟でシェフの健、
そしてパティシエールの粕谷祐姫)の好み、
というほかありません。
つまり、わがままなレシピです。
チョコレートのものって、つくり手としても、
ついつい甘いものになりがちなんですが、
食べ疲れちゃうんですよね。
そうならないように、甘さを抑えました。
じつは「うんと甘い」レシピも考えたんです。
でも結局、こっちのほうが食べ飽きないんですね。
香りを残す工夫。
カカオ菓子は、
どうしても「チョコレートのお菓子」という
印象になってしまうものなんですが、
このカカオシュトレンは、
チョコレートに引っ張られすぎないように
バランスを考えました。
まずはスパイスに、
シナモン、カルダモン、ナツメグ。
これらは洋菓子や料理によく使われるものですから、
みなさん、親しみがあると思います。
そのスパイシーな「シュトレンらしさ」を、
チョコレートに持っていかれすぎないように、
ということが、ぼくらの課題でした。
そのためのチョコレート選びは慎重におこないました。
こういう菓子って、
コーティングするチョコレートや
ふりかけるココアパウダーによって、
出来上がりが別物と言ってもいいほどに
違ってしまうんです。
Gemellivoのカカオシュトレンには、
ビターなものが相性が良いだろうと、
いろんなメーカーのものを試した結果、
ヴァローナ社のものを基本にすることにしました。
ヴァローナ社は、フランスで1922年に創業した
業務用のチョコレートメーカーです。
いいカカオ豆を使ったここのチョコレートは、
ヴァローナ社のwebsiteに書かれているように、
力強い苦味と渋み、
フルーツかと思うほどの酸味があり、
森林浴のような山の香りと、
ブーケのような華やかさがあるんです。
ただしヴェローナだけではなく、
別のチョコレートを合わせることで、
最終的な味の調整をしています。
なんども試作を重ねて。
Gemellivoのカカオシュトレンは
ほかにもさまざまな検討と調整を重ねました。
たとえば、甘み。
コクを出すために、白糖を控えて、
きび糖と黒糖を使うことで、
甘い、だけではない奥行きがうまれました。
ラム酒入りのマジパンを入れ込んでいるのも、
味だけでなく香りとコクのため。
そのラム酒の香りづけには、
熟れたバナナをセミドライにしたものを入れています。
これは、ラム酒にレーズンと
オレンジピールを漬け込んでいたとき、
もう少し香りに華やかさが欲しいと思い、
いろいろと試した結果、
熟したバナナを入れた時の香りが
よりイメージに近かったからです。
それで、自家製でセミドライにした熟れたバナナを
いっしょにラム酒に漬け込みました。
完成したシュトレンは、
香りの余韻がとてもよくなりました。
またアーモンドも、ホールから手で刻む事で
より香ばしさが感じられるようになっています。
素材のどれかが立ちすぎるのではなく、
スパイス、レーズン、オレンジピール、
バナナ、ラム、アーモンドの香りが、
カカオ生地の味を引き立てる、
そんなバランスになっているんです。
コーヒーや紅茶とともに、というだけでなく、
ウイスキーやブランデー、ラム、
赤ワインなどの洋酒との相性も良いのが、
このカカオシュトレンです。
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