日本代表に選ばれた上垣さんのパネットーネ。

ほぼ日

前回「ほぼ日のおかし」でサブレを作ってくださった
「le fleuve(ルフルーヴ)」から、
クリスマスシーズンに人気の
「パネットーネ」が登場します。
シェフの上垣河大さんは、
来年開かれるパネットーネの世界大会(FIPGC)の
日本代表にも選ばれました。

バターと卵黄、バニラたっぷりの生地に
3種の柑橘ピールと香り高いチョコレートを混ぜ込んだ
パネットーネ。
上垣さんが「これ以上リッチなお菓子はない」というほど
贅沢なお菓子ですが、
出来上がるまでの工程を知れば
お手頃に感じてしまうほど、
作るのが難しいものでもあるんです。
パネットーネのひみつ、ぜひのぞいてみてください。
食べたときのたのしみ方が
きっと増えるはずです。
上垣河大さんのプロフィール

種の声を聴く

──
前回、サブレの取材で工房へ伺ったときに
パネットーネの試作をされていましたが、
あちらが完成したんですね?! 
上垣
はい、現時点での完成形です。
というのもパネットーネって、
普通のお菓子と全く違うところがあるので、
僕の中では研究中の部分もあるんですけれど。
──
変わったお菓子なんですか。
上垣
パネットーネは「発酵菓子」といって、
パンのように酵母種で発酵させてから
焼き上げるお菓子なんですね。
バターと卵黄たっぷりの生地に
柑橘のコンフィ(シロップ煮)やチョコ、
バニラもかなりの量が入るので、
僕はこれ以上リッチなお菓子ってないんじゃないか
と思っています。
イタリアではクリスマスを待つまでの間、
12月に入って食べはじめられます。
──
すごく特別感がありますね。
上垣
そのぶん作り方も特殊なんです。
たとえばサブレのような焼き菓子だと
2~3回試作をして、
配合と焼き加減さえ決まれば商品にできます。
けれどパネットーネの場合は
試作する前にまず、
酵母種をベストな状態に持っていくのに
何日もかかるんです。
──
生地のもとになる“種”ですね。
ちょうど私たちが取材に行かせていただいたときに
「エサをあげる時間だ」
って言われてましたね。
上垣
水と小麦粉を入れてこね直しながら
培養していたんですけど、
夏場はちょっと調子が悪いときがあって
たまに冷蔵庫で休ませたりしていました。
パネットーネの種は乳酸と酢酸のバランスが大切で、
「乳酸:酢酸=3:1」という割合を目指しています。
けれど冷蔵庫のような低い温度だと
酢酸の方が増えてしまって、
焼き上げたときにツンとした酸っぱい匂いが
強くなっちゃうんです。
反対に酢酸が少なくて乳酸が増えすぎてしまうと
今度は風味がないパネットーネになるんですね。
バター、卵、バニラ、柑橘などの素材の香りに
発酵の複雑な風味が合わさるのが
パネットーネの重要な特徴の一つなので、
乳酸と酢酸の塩梅が肝になります。
その塩梅を保つのは、
例えるなら金属の板の上にボールを置いて、
常に真ん中にあるように維持するみたいな作業です。
──
それって、バランスを取るのが
すごく難しいですね。
上垣
難しいです。
種に元気がないからといって
発酵時間を長くとりすぎても、
生地の骨格になるグルテンが
酵素によって分解されてしまって
形を保てないような状態になったりします。
種は“生きもの” ですから、
ひとつの状態に留まることがないんですよ。
とにかくデリケートなので、
常に種と対話しながら調整しています。
──
対話、ですか。
上垣
そう、今どうしてほしいのか
種の声を聴くんです。
パン屋さんもそうですけど、
僕らは自分たちの都合で動いていないんです。
お腹がすいたからお昼にしようとかではなくて、
今なら生地から手が離せるから食べとこう。
僕らが暑いからエアコンを入れるんじゃなくて、
生地がしんどそうだから室温を下げようという、
そういう世界です。
──
もう、一緒に暮らしている感じですね。
上垣
そうです、飼ってます。
ここまで手間のかかるお菓子は他にないですから、
製品としてはみんなあまり作りたがらない。
イタリアだとクリスマスのお菓子として
子供の頃から食べられているという文化がありますけど、
日本では一つのお菓子にすぎないですしね。
──
生産性という意味ではあまり高くないんですね。 
上垣
クラシックな作り方のものは、
経済合理性とは無縁の世界です。
もちろん今はいろんな技術が開発されて、
できることも増えてきています。
出来上がりで重要なのが、
発酵の香りと生地の保湿なんですね。
乳酸が発酵過程でつくる保湿成分があるんですけど、
そのおかげでパネットーネは
テクスチャーが滑らかでしっとりしているんです。
現在ではそれは乳化剤を添加することで可能になっていて、
うちでは生地には使ってないんですけど、
イタリアでも普及しているみたいです。
──
作りやすくなっているんですね。
上垣
工場規模で大量生産をするためには
クラシックな作り方だと安定しないので
そういったものを加えたり、
酵母の発酵した香りをつけるために
種を加熱して不活性にしたものを生地に加えて、
膨らませる役割はイーストで補ったりしているようです。
僕も、そういう製法でどこまでできるのか知りたくて
問屋さんが開く講習会に勉強に行ったりしているんですけど、
今のところクラシックな製法の方が
風味が好きかなと感じています。
──
じゃあ、クラシックな製法に
こだわられているわけではないんですね。
上垣
そうですね。
基準にしているのはやはり
「おいしいかどうか」です。
僕自身が農家で、無農薬の野菜や
ナチュラルな食生活の中で育ってきているので、
まず自分が口にしたいか、したくないかで
材料も添加物も選んでいます。
うちでもベーキングパウダーなんかは使ってますし。
おいしいということを最優先にしながら、
必要のないものをできるだけ排除していきたいと
考えています。
(つづきます)
2025-12-05-FRI

菓子職人の集大成。贅沢で繊細なパネットーネをご堪能ください。

「ほぼ日のおかし」シリーズで、
すばらしい動物のサブレをつくってくださった
「ルフルーヴ」の上垣河大さんに、
今度はクリスマスシーズンにあわせて、
パネットーネをつくっていただきました。
パネットーネとは、パンのように
酵母種で発酵させてから焼き上げるお菓子。
繊細で扱いがむずかしいと言われ、
上垣さんは「パネットーネは職人の集大成」と
おっしゃるほどです。
このたびつくってくださったのは、
バターと卵黄、バニラたっぷりの生地に、
伊予柑、レモン、ブラッドオレンジの
3種類の柑橘ピールと
香り高いチョコレートを混ぜ込んだ、
オリジナルパネットーネです。
贅沢で繊細なパネットーネを
今年のクリスマスにどうぞご堪能ください。

ルフルーヴのパネットーネ 6.500円(税込・配送手数料別)

20251212日(金)午前11

※他の商品とのとりまとめが可能です。
その場合は、「出荷時期のいちばん遅い商品」に合わせて、
すべての商品が出荷されます。
とりまとめる場合には、どうぞご注意ください。

「ルフルーヴのパネットーネ」
バターと卵黄、バニラたっぷりの生地に、
広島県の伊予柑、レモン、ブラッドオレンジ3種類の柑橘ピールと
チョコレートが入ったクリスマスにぴったりのお菓子です。

原材料名

小麦粉(国内製造)、バター、卵、グラニュー糖、チョコレート、いよかんピール砂糖漬け、オレンジピール砂糖漬け、メイプルシュガー、ココナッツシュガー、レモンピール砂糖漬け、蜂蜜、バニラビーンズ、塩、発酵種 / 乳化剤

  • ※蜂蜜を使用しているため、1歳未満の乳児に与えないでください。

特定原材料28品目

小麦・卵・乳成分・オレンジ・大豆

内容量

1個(500g)

保存方法

高温を避け常温で保存してください。

賞味期限

2025年12月25日(木)
  • ※お手元に届きましたらお早めにお召あがりください。

商品のお届けについて

  • ※他の商品をとりまとめて注文した場合、「出荷時期のいちばん遅い商品」に合わせて、すべての商品が出荷されます。出荷時期が先の商品ととりまとめる場合には、どうぞご注意ください。
  • ※常温便でのお届けです。
  • ※お届けは国内のみで、海外への出荷はできません。
  • ※万が一不良品だった場合の返品交換はお受けいたしますが、
    その他の理由での返品はお受けいたしません。あらかじめご了承ください。
  • ※お届けに際して、取り扱いに注意を払って配送手配いたしますが、多少の割れや欠けが起こる場合がございます。なにとぞご了承ください。